私の短歌「またぐ」を詠んでみた
そういえばトイレはまたくものだった膝が震える田舎の駅で
NHKラジオ「文芸選評」2021年11月6日のお題は「またぐ」でした。普段意識して何かを「またぐ」ことがあまりないので、このお題は難しかったです。
私が詠んだ短歌は今回3首。前回まで3回連続で9首投稿して全滅だったので、悪あがきは止めて、素直に出てきた歌を3首だけ投稿したら、この歌を採用していただきました。永井祐さん、ありがとうございました。
「またぐ」と言われて思い浮かんだのは和式トイレです。最近見なくなりましたが、古い駅舎にはいまだあるんですよね。慣れないので、しゃがむ時に躊躇が生まれます。特に冬であれば、膝が震えるような感覚があります。
三段の跳び箱またぎ越せなくて体当たりした居残りの夜
次は小学生の時の実体験です。私は運動音痴で、跳び箱も鉄棒も、他の生徒が普通にできることが全くできませんでした。体育で居残り練習なんて、いまの時代には考えられないでしょうが、昭和の時代にはあったんです。何度やってもできない私に、教師はあきらめませんでした。
「やればできる」というのは昭和の熱血教師に共通した傾向だったでしょう。「やってもできないこともあるんだ」とわからせるためではなく、無意識だったと思いますが、私は跳び箱に向かって走っていき、単純にぶつかって跳び箱を崩した記憶があります。私が「あきらめなかった」のは教師に「私はできないんだ」ということをわからせることだけでした。
夕方のロンドン夜中のニューヨーク仕事は時差をまたぐものなり
大人になった私は、外資系金融の世界に足を踏み入れ、跳び箱をまたげなくても鉄棒で逆上がりができなくても問題ない仕事に満足していました。唯一厳しいと思ったのは時差との折り合いです。朝は西海岸、日中は日本国内とアジア、夕方は欧州、そして夜中に東海岸とやり取りをしないといけない生活はさすがにしんどいものです。
夜は一度帰宅して食事をして30分ほど仮眠してから夜の10時頃に起床し、電話やメールをしてから2時くらいにベッドに入る。時には徹夜も・・・そんな生活を繰り返して気が付くと40代も後半。そこからキャリアチェンジをして脱出しましたが、その年まで我ながらよくやったと思います。(終わり)
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