サッカーの枠組みを理解しようpart2

 前回はサッカーの局面を4+1で整理して捉えるという話をしました。そして今回は各局面においてチームとしてどのような行動があるのか?を整理していきたいと思います。その中でもこの記事の中ではボール保持時についてお話していきます。

1、守備→攻撃

 まずは時系列を踏まえて、攻撃→守備の切替が発生している局面から考えてみましょう。時系列を踏まえるということは何かというと、前回お話したように、局面の流れとしては「守備→攻撃」から「攻撃」という形になるのでまずはこの切替の部分からお話しします。奪った瞬間には大きく2つの行動に分けることが出来ます。

2、速攻(カウンター)

 まず1つ目は速攻(カウンター)と言われるものです。このカウンターを定義すると「相手の守備組織が構築される前に素早くフィニッシュへ持っていくこと」となります。
 ちなみに速攻(カウンター)を成功させる可能性を高めるには、素早いスプリント能力がある選手、素早いプレーの中で正確にプレーできる技術がある選手、瞬時にスペースを見つける能力のある選手などが必要となってきます。このカウンターを武器にしてプレーモデルの基盤を作っているチームには、こういった能力のある選手がいることが前提となってきます。
例えば、2018年W杯フランス代表や近年のポルトガル代表などがこの局面の強さを全面にプレーしています。

3、遅攻(組織的攻撃へ移行)

 そしてもう一つはこの速攻から相手の守備組織が構築されると、遅攻(組織的攻撃)へと移ります。そう、このタイミングで攻撃という局面に移り変わっていきます。
 ここで考えなければならないのは、いつ速攻を狙って、いつ遅攻に切り替えるのか?それはチームとして決めることになります。よくどこかのサッカー協会的にはまず速攻を狙うべきだという原理・原則を唱えていますが、そうではありません。プレーモデルがどのように設定されているのかでそのチームの選手は判断し実行に移します。そしてこれは監督が決める仕事になります。
 ちなみに私が指導しているチームでは「前向きにボールを奪って、ボールホルダーがフリーの場合」に速攻、そうでなければ遅攻といった原則を設けております。これで選手が速攻か遅攻にするのかの判断を助けています。

4、攻撃

 そして遅攻をチームとして判断、相手の守備ブロック形成が速いと攻撃の局面に移行します。この攻撃はセットされている状態なので、状況が整理しやすくチームの狙いを見るには観やすいかもしれません。
 この攻撃では以下の様に4つの行動があります。

5、攻撃の始まり(ボール保持)

 まずは攻撃の始まり(ボール保持)となります。ここではボールをどこからどの様に運ぶのかを探っている状況になります。ここで大切はピッチを広く使い、相手のプレッシングを受けない様にすることです。ディフェンシブサードでこの展開を迎えることが多く、GK、DF、MF(ボランチなど)がプレーに直接関与します。

6、前進

 続いてボールをゴール方向へ向かわせる前進へと入っていきます。この前進では主に2つの方法があります。①中盤を経由する②ダイレクトになります。
 ①はDF→MF→FWといった様に中盤を経由して前進していく方法です。これを採用するには、テクニックの優れた選手、狭いスペースでもプレーできる選手、戦術能力の高い選手が求められます。FCバルセロナ、マンチェスターシティ、横浜Fマリノスといったチームがこの方法を採用しています。私が担当しているチームでもこの方法を採用しています。
 ②はDF→FWといった様に中盤を経由せずに前線の選手へパスを送る前進方法です。フィジカル能力の高い選手、フィード能力の高い選手、セカンドボールを回収できる選手がいるチームが採用する方法になります。プレミアリーグ(イングランド)のチームに多いですね。
 近年ではどちらか一つの方法を採用するのではなく、両方を採用してチャンスを作り出そうとするチームが増えてきています。

7、フィニッシュ

 そして最後の場面であるフィニッシュです。ここではサッカーの醍醐味である得点をするためにチームが行動します。ここではFWや攻撃的な中盤の選手がシュートをよりいい状態で打てる様にアクションを起こします。クロスシュートや中央からのコンビネーションによるシュートなどを駆使します。
 日本人の永遠の課題とも言われているフィニッシュ。ここはいくつかのあるある考え方で劇的に変わっていくのではないだろうか?と最近思っています。自チームにも取り入れた概念・原則です。また違う記事で触れていきます。

8、最後に

 もっと細かく分類することも出来ますが、大まかに分類していくと以上の様になります。そしてその各状況でのプレーの意図・狙いは変わってきます。つまり今自分はどの局面の何をしなくてはいけないのか?を理解することは、サッカーをプレーすることにおいてとても重要です。
 例えば幅を取るというコンセプトもボールを前進させる時の適切な幅とフィニッシュの時の適切な幅は一緒ではありません。これはサッカーのゴールが中央にあるという原理からして普遍的なことです。基本的な枠組みを理解して、サッカーを観る・指導するといったことは大事なことです!
 次回はボール非保持時についてのまとめていきます。

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