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台湾でコロッケ屋さんをオープンして良かったこと

ご報告が遅れてしまいましたが、3月25日にコロッケ屋さんをオープンしました!

オープン1週間前に地元のFBグループに投稿したところ、わずか2時間で予定数の4倍となる合計200個超のご予約をいただき、広報については大成功。

ただ、初日にキャパを上回る量の予約を受け付けてしまったのは大失敗で、準備段階から地獄絵図となりました…。

そのおかげで初日はまったく楽しむことができないうえに、隣家からは油臭いとの苦情が入り、閉店した頃には完全燃焼。もうコロッケ屋さんなんてやらない! と本気で思っていました。

もちろん、翌日には隣家との問題も解決し、現在は自分ができる範囲でぼちぼちと楽しみながら営業しています。

現在の状況は、毎日午後2時に開店し、早いときには4時には売り切れ。遅くとも5時までには完売しています。今のところは成功していると言って構わないでしょう。

それだけを聞くと「儲かってるじゃん!」と思われるかも知れませんが、実際は売っている数が少ないだけです。

というのも、コロッケは仕込みに手間がかかります。蒸し、切り、炒め、混ぜ、揚げ…。コロッケを作るには、料理におけるほぼ全ての技法が必要です。

だからこそテイクアウト食品としての需要があると考えたわけですが、実際にやってみると想像以上に手間と時間がかかり、スケールアップできないことに気付きました。

現状、作れば作るだけ売れるとは思います。冷凍にして卸すことも考えられます。しかし、時間的な制約から今以上に拡大することができないのです。

とは言うものの、自分で作ったものを自分で売り、お客さんに喜んでもらってお金を稼ぐということにも想定を超える楽しさがありました。

これまでにぼくが起業してきたものは、どれも他人の手を借りなければ成り立たないものでした。その分、スケールアップもしやすかったですし、自分の時間が拘束されることもありませんでした。

コロッケ屋さんだって、たくさんの人の助けを借りてはいます。ですが、喜びも悲しみも全て自分である程度コントロールできるのは大きな違いです。

例えば、お客さんの反応をダイレクトに見られます。お客さんの満面の笑みを見るのは何にも変え難い喜びですし、反対に何か問題があった時も自分で調整できます。

そして一番良かったことは、自分のコンプレックスを取り除けたことです。

ぼくは台湾に移住して7年ほどになりますが、これまでずっと日本円を稼いできました。物価の高い日本の収入を得て、物価の安い台湾で暮らすのは生存戦略として正しいことです。

しかし同時に、心の中にずっと引っかかりがありました。

ずるい。という感情です。

台湾に居ながらにして日本円を稼ぐことは容易ではありませんし、そもそもぼくは日本のNPO法人の代表理事なので、これを否定するわけではありません。だから今後も日本円を稼ぎそれが主要な収入源であることに変わりはないでしょう。

ですが、ぼくは台湾の離島という小さなコミュニティにいながらにして、そこでの経済活動には貢献していません。

これからも台湾で暮らしていくならば、台湾人を対象に台湾元を稼ぐこと、またはそれができる力が必要だとずっと考えていました。

それができてようやく、この島の一員になれるのだ。できないうちはお客さんでしかない…。ずっとそう考えてきたのです。

コロッケ屋さんを開いて気付いたこと、得たことは数え切れないほどあります。ですが一番のごほうびは、このコンプレックスを取り除けたことです。

まだ始めたてだから周りの人が珍しがっているだけかもしれません。これからも今のように即完売の状況が続くかはわかりません。

しかし少なくとも、支持してくださる地元の方がおり、自分に自信を持つことができています。

正直、コロナで仕事と収入が激減しなかったらコロッケ屋さんを始めることはなかったでしょう。昨年は身動きが全く取れず鬱になりかけましたが、今は晴々とした気分です。

不安定な現状にいら立ち、先の見えない未来に不安になることはほとんどありません。毎日、目の前にいるお客さんのために、安心安全で美味しいコロッケとメンチカツを作る…。

ってことだけでいっぱいいっぱいなので笑

ちなみに今の生活は、朝にコロッケの仕込み、終わったらECOFFや他の副業、コロッケ屋さんオープン、営業終了後にカミさんと2人でパン粉付け。空いた時間にまたECOFFや他の副業。ガイドの仕事が入ったらコロッケ屋さんは臨時休業。という感じです。

今年いっぱいはコロナの影響でECOFFもガイドも仕事量が少ないので問題ありませんが、来年はどうなるか分からないです。

が、屋台は景気の影響を受けにくく、着実に日銭を稼げるので大切にしていくつもりです。今のところは。

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