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プロジェクトの円滑な進行管理について考える ー 決裁権×意欲の四象限の活用

このnoteでは、クライアント側のプロジェクトメンバー各人の属性を決裁権×意欲の四象限を用いて把握することで、適切なコミュニケーションとプロジェクトの円滑な進行管理が実現できるのではないだろうかという話をしてみたいと思います。


決裁権×意欲の四象限とは

決裁権×意欲の四象限とは、以下の図表です。

縦軸を決裁権横軸を意欲とし、クライアント側のプロジェクトメンバー各人をマッピングするものです。
メンバーは図表の上部に行くほど決裁権を持っており、右に行くほど意欲が高いと判断します。
4つの領域をA,B,C,Dと表すと、それぞれにはこのような人がプロットされます。

A:決裁権があり、意欲も高い人
B:決裁権はあるが、意欲は低い人
C:意欲は高いが、決裁権はない人
D:決裁権もなければ、意欲も低い人

決裁権とは

ご存知の方がほとんどかと思いますが、決裁権とは物事を最終的に決定する(決裁をする)権利のことです。
この四象限でいうと、社長をはじめとした経営層は上部に位置します。

当然ですが、クライアントの決裁権を私たちではコントロールできません
Cにいる人を「この人はプロジェクトに意欲的だから、もっと決裁権を与えてあげてください」とお願いして実現する(Aに移動させる)ことは基本的に不可能でしょう。

目の前にいるクライアントが決裁権を持っているか否かを確認することだけに徹します。

意欲とは

ここでいう意欲とは、簡単にいうとプロジェクトに前向きかどうかです。意欲の高いor低いは、さまざまな角度で判断し得ると思います。

例えば

  • 打ち合わせへの参加率

  • プロジェクト内での発言量

  • タスクへの対応スピード

一概に高い/低いのジャッジをするのは難しいかもしれません。ある程度は主観で決めるしかないでしょう。
ただ、そこまで厳密に判断しなくてもいいと思います。なんとなくでいいです。

この意欲も私たちでコントロールすることは基本的に難しいでしょう。当然コミュニケーションのとり方次第では相手の意欲を高めることもできるかもしれませんが、再現性の高い方法ではないと思います。


このような前提を踏まえた上で、具体的にこの四象限をどのように使っていけばいいのでしょうか。
この四象限を使う目的は「クライアントとの適切なコミュニケーションとプロジェクトの円滑な進行管理が実現する」ことです。そのために活かせそうなポイントを2つ書いてみます。

ポイント1. Cの人を上手に巻き込み、プロジェクトを活性化させる

1つ目のポイントはCの人を上手に巻き込み、プロジェクトを活性化させるです。復習ですが、Cは「意欲は高いが、決裁権はない人」です。

Webサイト制作のプロジェクトのような立場も経験も異なる人が複数関わる場合、どのようにプロジェクトをドライブさせる(推進力を持って工程を前に進める)かを考えることは非常に重要です。

Aの人(決裁権があり、意欲も高い人)がプロジェクトに参加していれば話は早いのですが、現実は参加していないケースも多いでしょう。

プロジェクトを前に進めるためには、さまざまな事項を決断していく必要があります。そして、決断するためにはメンバー同士の議論やそこから生まれた意見の集約、定量的・定性的なデータの収集などが欠かせません

要は、プロジェクトをドライブさせることは大変な作業です。1人でも多くの人が主体性を持って取り組まないと、意見も情報も集まらなければ、決まるものも決まりません。

もうおわかりかもしれませんが、ここで重要になってくるのがCの人たちです。彼ら彼女らは決裁権はないものの、プロジェクトへ前向きに参加してくれます。
私たちはCにプロットされた一人ひとりを認識し、プロジェクトを活性化させるような働きかけをしましょう

具体的には定期的に意見を求めたり発言をふったり、進行において重要なタスクをお願いしたり、彼ら彼女らのアウトプットに対して前向きな姿勢で場を盛り上げることで良いグルーブを作ったりしましょう。

※他の人をぞんざいに扱うという話ではありませんのであしからず。

意思決定はできなくとも、決定するために必要な要素を提供してくれるはずです

ポイント2.ポイント1で醸成された前向きな雰囲気とアイデアをもとにBの人を動かす

Bの人は「決裁権はあるが、意欲は低い人」です。

そもそもプロジェクトが上手く進まない要因の一つに「決裁権のない人にモノゴトを決めてもらおうとしている」というミスがあります。

決裁権のない人たちが、どれだけプロジェクトに前向きであろうと、良いアイデアを出そうとも、それを実行するかどうかは全く別の話です。
少し冷たい言い方になりますが、決裁権のない人といくら話が盛り上がって意気投合したとて、決裁者が首を縦に振らなければプロジェクトは前に進みません。

ただ、Cの人たちと話が盛り上がる/意気投合するというのは、ポイント1でも書いたように非常に大事です。
次のステップでもあるポイント2は「ポイント1で醸成された前向きな雰囲気とアイデアをもとに決裁者を動かす」です。

彼ら彼女らを動かすためには、まずその人たちが「自分が決裁者である」と認識してもらうことが重要です。
仮に意欲が低いにしても「あなたたちがモノゴトをジャッジしないといけないのですよ。そうしないと、ここにいる全員が困りますよ」と伝えて、プロジェクトに対して責任感を抱いてもらいましょう。

認識のしてもらい方ですが、口頭だけではなくドキュメントに書いてもいいと思います。デザインに対する意思決定者はBさん、戦略に関する意思決定者はB'さん、と整理することで、クライアント側も「これを決めるときは〇〇さんに聞けばいいんだ」と意思決定のプロセスが明確になります。

あとは私たちと(主に)Cの人たちで、意思決定するために必要な材料と雰囲気を用意しましょう
例えばトップページのデザインを決めるのであれば、デザイン案とそれを選んだ理由や背景、クライアント側の想いや熱意をテーブルに並べましょう。

意欲の低いことの是非は置いておいて、私のようなプロジェクトの進行管理の責任を負う立場からすると、意思決定者を握ることは最重要課題の一つです。
Bの方々の立場をハッキリさせて、決めるための材料と雰囲気を整えた上でキチンと決めてもらう。
こうすることで、円滑な意思決定や進行管理を期待しましょう。

まとめ

以上、クライアント側のプロジェクトメンバー各人の属性を決裁権×意欲の四象限を用いて把握することで、適切なコミュニケーションとプロジェクトの円滑な進行管理が実現できるのではないだろうかというお話でした。

ポイントはBとCの人たちを明確にすることです。もちろんAのような人が最初からプロジェクトに参加してくれれば問題ないのですが、私の経験上はB , C , Dの人たちで構成されているプロジェクトは少なくない印象があります。

前提としてこの四象限をクライアントに見せることは基本的に想定していません。社内メンバーの共通認識として、参考に作っておく程度でいいと思います。

大事なのは、決められた期間、予算、人員で最大限のアウトプットを提示できる仕事をすることです。そのための"適切なコミュニケーションとプロジェクトの円滑な進行管理"です。手段でしかありません。そして、この四象限もその一助として使う程度の手段です。

プロジェクトの進行管理を担う人たちにとって、何かのヒントや参考になっていればうれしいです。一緒にがんばっていきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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