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スローインの科学:筋トレ vs 練習、距離アップの秘訣とは?

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サッカーの試合で、タッチラインからゴール前までボールを放り込む[ロングスロー]。このスキルは、特にJリーグでも近年その重要性が増しています。今回は、このロングスローの飛距離を劇的に伸ばす方法について、興味深い研究結果をご紹介します。

今回取り上げた研究論文:

目次

  • 研究の概要

  • 実験方法

  • 驚きの結果

  • 効果的な筋トレプログラム

  • 練習方法の詳細

  • 理想的なスローイン技術

  • まとめ

研究の概要

イギリスのリバプール・ジョン・ムーアス大学と静岡大学の研究チームが、[6週間]にわたる大規模な実験を行いました。大学生のサッカー選手たちの協力のもと、毎週何十回ものスローインを測定し、ビデオで撮影してデータを分析するという綿密な研究です。

実験方法

研究チームは、選手たちを3つのグループに分けました:

  1. コントロールグループ(何もしない)

  2. 筋トレグループ

  3. スローイン練習グループ

測定には[ハイテクカメラ]を使用し、ボールの軌道を細かく追跡。高さや角度まで詳細にデータ化されました。

驚きの結果

研究の結果、[筋トレグループと練習グループの両方]が、平均で[1メートルから1.4メートル]の飛距離増加を達成しました。

  • 筋トレグループ:17メートル → 18.3メートル(約1.3メートル増加)

  • 練習グループ:16.4メートル → 17.8メートル(1.4メートル増加)

この結果は、[筋力と技術の両方が同等に重要]であることを示しています。

効果的な筋トレプログラム

研究で使用された筋トレプログラムは以下の通りです:

  • [上腕三頭筋のカール]:ボールを前に押し出す力を生成

  • [腹筋]:体幹の安定性と回転力を向上

  • [腕立て]:上半身の全体的な筋力を強化

  • [スクワット]:下半身の安定性を向上

これらのエクササイズを[週2回、3セット、各10回]ずつ行いました。

練習方法の詳細

練習グループは以下のようなプログラムを実施しました:

  • 頻度:週2〜3回、30分間

  • 1回の練習で約60回のスローイン

  • 手順:

    1. 5分間のウォーミングアップ

    2. 15回の立ち投げスローイン

    3. 15回の5m助走つきスローイン

    4. 休憩

[毎回最大の力で投げる]ことがポイントです。技術的なアドバイスは最小限に抑え、選手たち自身が試行錯誤しながら最適な投げ方を見つけていきました。

理想的なスローイン技術

研究から明らかになった理想的なスローイン技術のポイントは以下の通りです:

  1. [リリース角度]:[約30度]が最適(理論上の最適角度とほぼ一致)

  2. [リリースのタイミング]:早すぎると上向き、遅すぎると下向きになるため、適切なタイミングが重要

  3. [体全体の使用]:[ムチのようにしならせる動き]で、ボールに最大の速度を与える

まとめ

この研究から、ロングスローの飛距離を伸ばすには[筋力トレーニングと技術練習の両方]が同等に重要であることが分かりました。筋力だけでなく、リリースのタイミングや体の使い方など、技術面の向上も飛距離アップには欠かせません。

次にJリーグの試合でロングスローを見る機会があれば、選手の体の使い方やリリースのタイミングにも注目してみてはいかがでしょうか。きっと新たな発見があるはずです。


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カテゴリー:サッカー科学、トレーニング理論
#サッカー #ロングスロー #スポーツ科学 #トレーニング

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