教師でも専門家でもない僕がオンライン実験教室を始めた理由

今年の春から実験的に始めたオンライン実験教室。やるたびに参加者の方からのあたたかい声をもらえて、気付いたら始めて半年ほど経っていました。これから少しづつですが、これまでの過程を備忘録的に書いていこうと思います。

第1回目のテーマは、「実験教室を始めた理由」について。

なぜ教育関連の仕事をしているわけでも、研究者でもない私が子供向けの実験教室を始めたのか。その理由を今日は書いていきます。

多くの人が抱える「実験=ハードルが高い」という錯覚

みなさんは「実験」というワードを聞いた時、どんなイメージをしますか?

「白衣」「ビーカー」「アルコールランプ」「理科室」「化学薬品」「化学」といったものを想像する方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そして次に「馴染みがない」「自分でやるのは難しそう」と感じる方もいらっしゃるかもしません。

わたしが実験教室でもっとも教えたいと考えている、小学校1~3年生の子供達にも実験に対するイメージを聞いてみました。どんな答えがかえってきたと思いますか?

もっとも多かった答えは、「面白そう、楽しそう」でした。しかしそれと同時に「理科室でやるもの、自分だけじゃできないこと」といった場所やタイミングを選ぶイメージをもっている人がほとんどでした。
(※大規模に調査したわけではないので、あくまで一例の可能性もあります)

さてここでいま一度、このnoteのテーマである問いに戻ってみましょう。なぜ私は実験教室を始めたのか?

その答えの1つ目は、多くの人がどこかのタイミングで感じる「実験=やってみるハードルが高いもの」というイメージを「どこでも、誰でもできるもの」に変えたいから。実験は思った以上に身近にあって、簡単にできることだと伝えたい。それが実験教室を始めた理由の1つです。

2つ目は、小学校低学年の子供達がもっている実験に対するポジティブな想いを、そのままずっと持ち続けてもらいたいと考えたからです。

「楽しい、おもしろい」気持ちは、何かをする原動力になります。そして1つでもそう思えるものを持ち続けられれば、人生はきっと彩りをもったものになると私は信じています。

だからこそ、実験に対して楽しさの火種をもっているのであれば、その火が絶えないように、そして将来よりその火が大きくするための力になれれば、きっと楽しめる世の中になるはずと考えました。

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この2つが実験教室を始めた理由です。

しかし、「そもそもなぜ実験にこだわるのか?」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。実際私は普段は広報PRの仕事をしており、研究をしている訳でもありません。むしろ理科実験といった場合には、まったく関係ない領域で仕事をしています。

そこでもう少しだけ、なぜ私が実験に注目するのかを説明させてください。

日常は実験の連続だ

私が実験に注目する理由、それは毎日生活をするなかで子供でも大人でも実験は切ってもきれないものだと考えているからです。

それを説明する上で大切なことは、私が考える「実験」は理科実験だけを指しているわけではないことです。では、何を指しているのか?

広辞苑で実験を調べてみるとこう書いてあります。

実験
理論や仮説が正しいかどうかを人為的に一定の条件を設定してためし、確かめてみること。

もう少し噛み砕いて自分なりに解釈すると、「なんでも良いので疑問をもったことについて仮説をもち、それが正しいか試して検証してみる」となります。私がこのnoteで言っている実験も、まさにこのイメージです。

言葉で書くとなにやら小難しく、大人はともかく子供でこんなことができているのは、ほんの一握りなのではと感じるかもしれません。しかし、そんなことはありません。

例えば「ネジを外すとどうなるか知りたくて、そこらかしこのネジをドライバーで回して外してみた」、「化粧を塗ってみたらどうなるか知りたくて、口紅を塗りたくってみた」といったのも、まさに疑問→仮説→検証をやっており立派な「実験」です。

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わたし自身も幼少期は、PCを分解したり、ウォシュレットのボタンを押してトイレを水浸しにしたり。いろいろな「実験」をやっていました。

そう考えると、みなさんも何かしら夢中になっていた実験を思い出しませんか。もちろん今この瞬間も実験している人もいるでしょう。
(ぜひこれを読まれている皆さんのイチオシの実験も教えてください!)

(後々怒られたかもしれませんが、)それをやっていた瞬間は間違いなくワクワクしていたし、誰に強制されたわけでもなく仮説を考え仕組みや理由を考えていたと思うのです。

この時の高揚感が私の場合は理系への進学の後押しになり、疑問に思ったら実験した経験が今でも仕事で困った時に役に立ったりしています。こうした幼少期の何気ない小さな「実験」の経験が、28歳になった今でも役に立っていると思うのです。

実験の経験は私たちの意思決定や考え方に少なからずポジティブな影響を与えているはず。だからこそ、実験を思いっきりできるような環境をつくって、楽しく毎日「実験」している子供たちを増やしたい。この仮説をもったのが、わたしが実験に注力する理由です。

実験体験をもっと手軽に、簡単に

最後に私が目指す実験教室の形について妄想も含めて書きたいと思います。

実験教室をつくる上で、これだけはぶらさずにやっていきたいと考えているポリシーが2つあります。

1つ目は、基本的に家の中にあるものだけでできる実験にする。実験のハードルを下げるという目的は言わずもがなですが、もう1つ理由があります。

それは「実験」を自分でもいろいろ考えてやってもらいたいという点です。

ホームセンターや専用のキットを買う必要がなく、家の中のものだけでできれば、実験教室が終わっても再度トライしてみたり、別の方法を試してみたりしやすくなります。

第1回目の実験教室では、牛乳にレモンを入れて固める実験をやったのですが、その教室でも牛乳の代わりに麦茶を混ぜてみたり、レモンの代わりに鰹節を入れてみたりと私自身も思いつかなかったような方法を試す子供が数多くいました。

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これはまさに家の中のものだけでできる実験ならではの良さだと考えています。だからこそ、このポリシーは今後も守っていきたいです。

2つ目は、失敗という考え方を持ち込まないこと。

学校での勉強の多くは1つの「正解」があり、正解するための方法を学ぶことがほとんどです。実験教室でも「どうしたら失敗しないか?正解はなにか?」といった質問をよく受けます。

しかしあくまで私がやりたいのは実験の過程を経験してもらうことであり、想定していた結果になったかどうかは重要ではありません。正解探しは毎日の学校や塾の勉強で嫌というほどやっているはずなので、むしろ想定外の結果になって欲しいとさえ願っています。

なので、絶対に失敗という単語は使わないようにしたいのです。どんどん試して、予想外の結果になったことをみんなで認められる実験教室にしたいです。

この2つをまずは1年間やり切り、家で実験をするこどもたち(通称「おうちで実験マスター」)を累計7000人増やす。これが直近の目標です。4月から始めて、現時点で累計2500人程度なので、高いかもしれませんが決して無理な数字ではないと思っています。

実験の内容も配信方法も何もかも手探りですが、果たしてどのような結末になるのか、これからも私自身が始めた「実験」の過程もオープンに発信できたらと思います。

それでは続きはまた次回!

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