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「自分と同じ失敗をしてほしくない」という落とし穴

「同じ失敗をしてほしくないから」という想いで、後輩や子どもに、自分の経験を伝えるのは、適解なのか?

この問いは、教育に携わる人だったら、きっと頭に浮かぶことと思う。

最近読んだ本「フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則」からインスピレーションを受けたことがある。

子どもから、失敗する権利を奪わない。
人は経験学習して、試行錯誤する力を養うので、この考え方はぼくも共感するところ。
その時おとなは「信じて、待つ。」
でも、待っているときに逡巡する。
そのままいったら怪我するんじゃないか。
うまくいかなかったら残念な気持ちになるんじゃないか。
そうやって予測をたてると、先回りしてサポートしたい気持ちとの押し問答が止まらない。

信じて、待つ。ことに葛藤するのは、やはり自分の中でなんらかのルールに基づいて「このやり方がいい(よくない)だろう」と確信めいたものがあるからだろう。

本(フローとストック)で解説されている思考のフレームワーク、CAFS理論では
C:具体(Concrete)
A:抽象(Abstract)
F:フロー(Flow)
S:ストック(Stock)
でマトリックスをとる。CAFS理論の解説は本に譲って割愛するので、興味があれば読んでほしい。(2024年上半期のお気に入りtop3に入る本だった)

で、下の図の順番にに現象は進む。

ここで、ポイントなのは円環になっていないということ。
(説明をかなーり割愛してるのだけど)解釈の入った行動→解釈の入らない事実、にシフトするのはとても困難だという。

ものごとをありのままに観られるようになる。
言い換えれば、アンラーニングのこと。

本書では、世代交代でもおきない限りこのサイクルは周りはじめない、という。
それくらい、ルールや常識には強力な引力がある。

図の左側(フロー)は、いわゆるイノベーションの領域。
ものごとを再定義して、新たな仮説をたて、発明が進む。

なので、解釈の入った行動→解釈の入らない事実、へのシフトは意識と社会のアップデートのためには欠かせない。

けれど、起きにくい。

それはなぜか。
「こうしたらうまくいく。だって世の中はそういうルールだから」
をこれから学びを得ていく子どもに、先立って伝えているから。

すると子どもの思考は、おとなのルール/常識が思考の土台になってしまう。社会全体をみてもイノベーションはおきない。

これは、ぼくの暫定的な結論。
個人のアップデートにとってはもちろん、社会全体がアップデートしていくためにも、失敗を回避するための経験談を過度に伝えることは避けたい。
信じて、待つ。こそイノベーションにつながる水やりだと思う。


フローとストックはこの本です。

具体と抽象を書いている細谷さん

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