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第12号 モルモットの脳と人間の脳を"つないだ"という研究、BMIによる神経細胞刺激で電磁気が一般的なのはなぜでしょうか?神経伝達物質をマイクロスケールで放出するような装置があれば、新たなBMIになりうるのではないでしょうか?

// 2021年6月26日 第12号
// 1. 今週の注目ニュース:モルモットの脳と人間の脳を"つないだ"という研究
// 2. 質問コーナー:BMIによる神経細胞刺激で電磁気が一般的なのはなぜでしょうか?神経伝達物質をマイクロスケールで放出するような装置があれば、新たなBMIになりうるのではないでしょうか?

こんにちは、東京大学の池谷裕二研究室で脳・老化・人工知能の研究をしている紺野大地です。

いよいよ関東も梅雨入りしました。梅雨はあまり好きではないので、早くカラッとした晴れの日が続く時期になってほしいものです。

先日、「人工知能によるスキルのブースト」についてツイートしました。
近年の人工知能の進歩は凄まじく、特にDeepLやGPT-3の進歩には驚くばかりです。

最近は、「英語はもう勉強しなくてもいいのではないか」と本気で思いつつありますし、数年後には「書店に並ぶ本の90%はGPT-3が書いたもの」という時代になりかねないとすら思っています。

"英語が話せない"という理由で海外旅行を躊躇していた人や、"文才がない"という理由で作家になることを諦めていた人にとっては紛れもなく朗報だと思います。

未来の世界は、"才能がない"という理由で夢を諦める世界ではなくなるのかもしれませんね。

今回は、「神経伝達物質をマイクロスケールで放出するようなBrain Machine Interface」という新たなコンセプトのBMIについての非常に興味深い質問もいただきました。

では、始めていきましょう!

1. 今週の注目ニュース:モルモットの脳と人間の脳を"つないだ"という研究

今回取り上げるのは、
「モルモットの脳活動を人間に"送信"し、人間がその意味を理解することができた」という驚きの論文です。

最近、脳とコンピュータとをつなぐ「Brain Machine Interface (BMI)」というワードをよく聞きますが、この研究は「脳とコンピュータ」ではなく「脳と脳」とをつなぐ「Brain "Brain" Interface (BBI)」という、なかなかにクレイジーな研究です。

いったいどんな内容なのでしょうか?

この研究の内容を理解するためには、Brain Brain Interface自体は過去にも既に(しかも人間で!)行われていることを知っておく必要があります。

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