第108号 低侵襲脳刺激により認知症治療を目指すブレインテック企業Sound Wave Innovation社を深堀り、海外にはどのくらいの頻度で行きますか?
// 2024年2月29日 第108号
// 1. 今週のトピック:低侵襲超音波脳刺激により認知症治療を目指すブレインテック企業Sound Wave Innovation社を深堀り
// 2. 質問コーナー:海外にはどのくらいの頻度で行きますか?
こんにちは、東京大学で医師かつ脳や人工知能の研究をしている紺野大地です。
日本総研によるブレインテック資料の最新版が発表されています!
ブレインテックの全体像、国内外の取り組み、アカデミアやインダストリーの最新事例などがまとまっており、非常に参考になります。
素晴らしい内容で、この分野に興味がある人は必見だと思います!
では、今回も始めていきましょう。
1. 今週の注目ニュース:低侵襲超音波脳刺激により認知症治療を目指すブレインテック企業Sound Wave Innovation社を深堀り
先日、読者の方から以下の質問をいただきました。
不勉強ながら存じ上げない会社だったので調査し、その結果を報告させていただきます。
Sound Wave Innovation社とは
Sound Wave Innovation社は、「超音波を用いた低侵襲治療技術」を強みとする企業であり、以降で紹介するLIPUS(Low-Intensity Pulsed Ultrasound, 低強度パルス超音波)やSWCS(Shock‐Wave Ablation Catheter System, ショックウェーブカテーテルシステム)などの新技術の研究開発と社会実装を行っています。
Sound Wave Innovation社の社長である下川宏明先生は東北大学大学院医学系研究科の名誉教授でもあり、循環器内科で虚血性心疾患や心不全を専門とされています。
一方で脳の専門家ではなく、Sound Wave Innovation社も事業の中心はLIPUSを用いた狭心症治療やSWCSを用いた不整脈治療といった心疾患治療となっています。
ただし研究を進める中で、LIPUSがアルツハイマー型認知症や脳血管型認知症にも有効である可能性が示唆されてきたため、事業のスコープを広げつつある、という状況のようです。
以下では、アルツハイマー型認知症や脳血管型認知症に有効な可能性があるLIPUSについて深掘りします。
LIPUS(低強度パルス超音波)とは
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