第46号 夢を見ている人とリアルタイムで意思疎通に成功、神経科学系の博士課程に進むべきでしょうか?
// 2022年6月11日 第46号
// 1. 注目ニュース:夢を見ている人とリアルタイムで意思疎通に成功
// 2. 質問コーナー:神経科学系の博士課程に進むべきでしょうか?
こんにちは、東京大学の池谷裕二研究室で脳・老化・人工知能の研究をしている紺野大地です。
先日、「DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)を活用して研究所を作りたい」というツイートをしたところ、予想外に多くのいいねが集まりました。
DAOについては素人なのでこれからしっかり勉強したいと思いますが、ぜひいつか本気で実現したいと考えています。
研究所作りに興味のある方、いつかぜひ一緒にやりましょう!
では、今週も始めていきましょう!
1. 今週の注目ニュース:夢を見ている人とリアルタイムで意思疎通に成功
今回扱うのは2021年4月に発表された、
「明晰夢中の(夢を見ていることを自覚している)人とリアルタイムのコミュニケーションに成功した」という論文です。
被験者の中には、「夢を見ながら引き算に答えることができた」という人もいたという驚きの結果が報告されています。
まだまだProof of conceptの段階ではありますが、夢を見ている人と双方向性のコミュニケーションを取ることができるというのは、非常に面白い発想だと思います。
以下で、詳しい内容について見ていきましょう。
背景
本研究で対象としたのは、明晰夢(lucid dream)を見ている被験者です。
そもそも明晰夢とは、
「睡眠中にみる夢のうち、自分で夢であると自覚しながら見ている夢」のことであり、明晰夢の経験者の多くが、
「夢の状況を自分の思い通りに変化させられる」と言うそうです。
こちらの記事によると、明晰夢を月に1回以上経験するのは人口の10%程度存在し、人生で一度でも経験したことがある人は人口の約50%にものぼるそうです。
自分は人生で一度も明晰夢を経験したことがないので、上の記事を読んだ率直な印象は「本当にこんなに存在するのか?」というものですが、統計的にはそうなっているようです。
さらに、明晰夢はトレーニングによりある程度の確率で意図的に見れるようになるという研究や、外部からの脳刺激で強制的に明晰夢を引き起こすことができたという研究もあるようです。
このように明晰夢については色々なことが知られているとはいえ、
「明晰夢状態の人と双方向性のコミュニケーションを取ることが可能か」については、これまで全く知られていませんでした。
この研究では、そんなチャレンジングな内容に挑戦しています。
以下で、詳細を見ていきましょう。
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