第51号 海馬を電気的に刺激することで記憶力が増強する、キャリア構築にあたりやっておいた方が良いことは何ですか？

// 2022年7月24日 第51号
// １. 注目ニュース：海馬を電気的に刺激することで記憶力が増強する
// ２. 質問コーナー：キャリア構築にあたりやっておいた方が良いことは何ですか？

こんにちは、東京大学の池谷裕二研究室と松尾豊研究室で脳や人工知能の研究をしている紺野大地です。

「絵を描いてくれる人工知能DALL·E2」のインビテーションが遂に届きました！
サムネイル画像はDALL·E2に描いてもらったもので、今後BrainTech Reviewのサムネイルはこの形式でいこうと思います。
（たまたまですが今号がBrainTech Review51号ということで、そこそこ区切りも良いですね😊）

DALL·E2による他の候補

では、今週も始めていきましょう！

１. 今週の注目ニュース：海馬を電気的に刺激することで記憶力が増強する

今回扱うのは、
「海馬を生理的なパターンで電気的に刺激することで記憶力が増強した」という2018年の論文です。

ヒト海馬を特定のパターンで電気刺激することで記憶力が増強した、という論文︎（2018年）。

海馬を一律に刺激するだけだと記憶力が低下するため、生理的なパターンを模倣した刺激が重要という点が興味深い。

将来的に、認知症患者などにも適用しうる研究だと思います。https://t.co/JwxsWEbK2d pic.twitter.com/1YtgDoHO6P

— Daichi Konno / 紺野 大地 (@_daichikonno) July 23, 2022

将来的には、認知症患者の記憶力増強にも繋がりうる研究だと思います。
いったいどんな内容でしょうか？

背景

近年、認知症患者の数は世界的に急増しており、対応が急務となっています。
しかしながら現時点では特効薬と言える薬は存在せず、残念ながらその見通しもたっていないのが実情です。

神経科学において「海馬を適切に刺激することで記憶力の増強を試みる」という動物実験は以前から行われており、2010年代後半にはヒト被験者でも行われるようになってきました。
これらの研究は一定の成果を見せてきたものの、なかには「海馬を一律に刺激してしまうとむしろ記憶力が低下する」など相反する結果も得られていました。

そこで本研究において筆者らは、「海馬を生理的なパターンで詳細に刺激することで記憶力を増強できないか」という仮説に取り組み、結論として成功しています。

具体的には、どのようなパターンで刺激を行ったのでしょうか？また、将来的にはどのような応用が考えられるのでしょうか？
以下で見ていきましょう！