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第69号 現時点で世界最高性能のBrain Machine Interfaceが誕生(その2)、東大医学部生はどのような進路に進みますか?

// 2023年1月31日 第69号
// 1. 今週のトピック:現時点で世界最高性能のBrain Machine Interface が誕生(その2)
// 2. 質問コーナー:東大医学部生はどのような進路に進みますか?

こんにちは、東京大学の池谷裕二研究室と松尾豊研究室で脳や人工知能の研究をしている紺野大地です。

2月17日(金)午後に、Beyond AI国際シンポジウムが開催されます。
BMIの父ミゲル・ニコレリス先生や、近年ビッグペーパーを出し続けているエドワード・チャン先生など、脳×人工知能分野に興味のある人は必見の内容となっています。
ハイブリッド開催で参加無料なので、ぜひご登録ください😊
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では、今回も始めていきましょう。

1. 今週の注目ニュース:現時点で世界最高性能のBrain Machine Interfaceが誕生(その2)

今回取り上げるのは、つい先日bioRxivに掲載された
「ALSでうまく言葉が話せない被験者が出した音を人工知能が読み取ることで、現時点で世界最高性能のBrain Machine Interfaceを作り上げた」というプレプリント論文です。

以下は実際の動画。

今回の論文の著者らはスタンフォード大学のハワード・ヒューズ医学研究所に所属していますが、彼らは2年弱前にも以下の素晴らしいBMI論文を発表しています。

この論文を一言で言うと、
「被験者が文字を書くことを頭の中で思い浮かべることで、それを人工知能が読み取ってモニターに表示する」
という内容でした。
(以下の記事で詳しく解説したので、興味がある方はぜひこちらもご覧ください。)

今回の論文はその続報になり、
ALSでうまく言葉が話せない被験者が話そうと音を出す(not書く)ことで、それを人工知能が読み取ってモニターに表示する」
というものです。

将来的にこのようなBMIが実用化されるとしたら、頭の中で文字を「書く」ことを念じるよりも「話そうと音を出す」方が自然であり、素晴らしい進歩と言えます。

さらにこの論文がすごいのは、1分あたり62 wordsの読み取りに成功している点です。
自然な会話の速度が160 words/分と言われており、この研究以前は20 words/分以下だったことを考えると、かなり実用化に近づいたと言えるのではないでしょうか。

以下で、具体的な内容を見ていきましょう。

方法

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