#2幸せのカテゴリー/Mr.Children 歌詞考察
今回はMr.Childrenの隠れた名曲、「幸せのカテゴリー」の歌詞解釈をしていこうと思います。
まずは一度曲を聴いてから読んでいただけるとよりお楽しみいただけます。ぜひどうぞ。
・幸せのカテゴリーとは
1997年3月5日にリリースされた、Mr.Children6枚目のアルバム「BOLERO」に収められています。
「BOLERO」は、「Tomorrow never knows」や「シーソーゲーム-勇敢な恋の歌-」などのヒットした5曲を含み、累計売上300万枚以上の大ヒットとなったアルバムです。
そして、このアルバムの5曲目に収められているのがこの「幸せのカテゴリー」です。
「幸せ」という言葉がタイトルに含まれているものの、歌詞は次第に冷めてきた男女の様子、恋に対して一歩引いた視点を持つようになってしまったような男の心情が描かれるなど、悲しい曲でもあります。
それでは早速、恋愛の酸いも甘いも経験してきた桜井さんが表現する冷めた恋愛模様を見ていきましょう。
・1番
この曲に出てくる二人は長く付き合って倦怠期のカップルなのでしょう。
「好き」「愛してる」と言葉を伝えても、キスをしても二人の間にできた溝が埋まりません。
付き合っているのに「孤独な風」は胸を吹き抜けていくばかりです。
そんな二人にももちろん出会ったばかりの初々しくドキドキワクワクしていた時期がありました。
あの頃の弾んだ胸の高鳴りは息をひそめて、二人がただ単に生活を共有するという日常の中で凍り付いてしまったようです。
私はこのカップルのことを「未婚の同棲カップル」だと解釈しています。
「結婚前に同棲すると離婚率が上がる」だなんてどこかのメンタリストが話していましたが、「夢のような毎日」は傍から見ればいつ結婚してもおかしくない二人にとって手を伸ばして届く距離にあるはずの結婚生活。
カップルにはつきものな倦怠期、これを乗り越えればきっと幸せな生活が待ってると語り手は言い聞かせ続けてきました。
だから「孤独な風」がいくら吹こうとも、ギリギリのところで留まれていたのではないでしょうか。
大人な二人は時には大切な喧嘩することも意見をぶつけ合うことも、ただ「面倒くさい」という気持ちから避けてきました。
形式だけ見れば結婚寸前の同棲カップル。自分たちもこのカタチがスマートであり、周りからしたら羨ましがられる関係性だったのかもしれません。
そんな世間的に見て幸せそうに見える関係を桜井さんは「幸せのCategory」と表現したのだと思います。
ただそれも今となっては消えゆく一方です。
・2番
「不安はあるけど大丈夫だ」と思い込んでた彼にとって、以前は忠告も占いも、聞く必要のない情報。
無邪気に、根拠無しに、「自分たちはきっとうまくいく」と信じ切れていたころが二人にもありました。
しかしそれは同時に、今後訪れる二人にとって乗り越えるべきだったものをクリアできない無防備さでもあったのです。
誰だって付き合いたての最高に楽しい時期は全てが順調だと思うはずです。希望しか見えないことがどんなに幸せなことか。
ただその幸せって、一度の勘違いやたった一言の「別れよ」の言葉だけで崩れ去る脆いものでもあります。
語り手はそれに気づいてしまったのです。
「日のあたる場所」とは二人の先にもあったはずの結婚なのだと思います。でもその道を歩くのは「君」でなくてもいいのかもしれないと語り手は思うようになってしまったようです。
だんだん互いの嫌なところが露見してきて、でもそれを含めて愛すのでもなく、正そうとぶつかり合うのでもなく、二人の溝は深まっていく一方でした。
それならいっそ恋人同士ではなくなれば、相手の良いところだけ見ることが、思い出すことが出来るのではないか。
そう考えられるのだけれど、今君と一緒にいるのはもう懲り懲りなようです。
この最後の「懲り懲り(コリゴリ)」で1番サビの最後「Category
(カテゴリー)」と韻を踏んでいるのが桜井さんらしくて大好きなポイントです。
・Cメロ~ラスサビ
恋愛ってすごく自分を見つめなおすことだと私は思います。
誰が好きか、自分がどんなところを重視していて、どんなところを見られているのか。
また、自分と似ている共通点を相手の中に探してしまうこともよくある事でしょう。
似ているから好き、全然似てないから好き、人によってそれぞれだと思いますが、好きかどうかは別として自分と似た人は心安らぐ存在ではないでしょうか。
さらに「身代わり」という言葉の意味は、
①自分自身の代わり、自分に見せかけたもの
②自分ではない他の誰かの代わり
の二つの意味がありますが、今回のは①の意味だと思います。
つまり恋って本当の自分を他人の中から探すようなものであり、それを桜井さんは「身代わりを探す」と表現しているのだと思います。
色んな事を考えて、気付いて、語り手は少しだけ愛についてわかったようです。
「自由」の対義語は「統制」や「制限」です。
これまでの語り手の中にあった「愛し方」とは世間一般で言われているような定説ばかりだったのだと思います。
それこそかたちだけに囚われた、恰好ばかり良いもの。
つまりお行儀よく区分された一般論でしかない「幸せのカテゴリー」。
しかしそれがいつも、誰にとっても通用するとは限らないことを語り手は知ります。
君がそれに気付くまでは、もしくは違う身代わりが見つかるまでは「幸せのカテゴリー」に別れを告げます。
・まとめ
今回はMr.Childrenの「幸せのカテゴリー」を紹介しました。
幸せって何だろうって考えたときにパッと思いつくものって大抵一般論でしかなくて、今や「結婚」=「幸せ」っていう時代でもないですから、25年以上前からそのことに気付いて曲にした桜井さんのすごさを感じる1曲です。
次回もMr.Childrenの曲を紹介しようと思います。
ネクストだいちズヒントは「ケロイド」です。
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また次の記事でお会いましょう。それでは聞いて下さい。
Mr.Childrenで「幸せのカテゴリー」
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