見出し画像

20年後も忘れない思い出 〜旅の記録2〜


これで資金は8万円になった。2週間のインド旅には十分な資金だと思い余裕綽々で出発日当日を迎えた。

空港でお見送り的なのは小っ恥ずかしかったので、家の玄関でいつも通り「いってくるわ」とだけ言い、家を出た。
平然を装ってたけど、内心は "ワクワク" と "不安" が交互に行き来してた。

45L程の自分の頭より高いバックパックを背負ったら、何だか強く逞しくなった気がするのは自分だけなのかな。

今の自分の荷物と比べると、昔はかなり多くの量の荷物を背負っていたと思う。
荷物の量は、自分の自信と余裕、不安度、に比例するのだと思う。

空港に行くまでの電車、高速バスの中、何故かワクワクとバックパックパワーで笑顔になってしまう。自分の中では "The旅人" の格好でイケてると思ってた勘違い野郎だった。

たいして読みもしない "地球の歩き方 インド編" を読みながら関空行のバスに乗ったことを今でも覚えている。

その時は、一か八かで※アライバルビザを取る予定だったので、何回も同じ所を見て、アライバルビザの取り方を予習した。
※アライバルビザ: 現地で所得するビザ

インターネットでも、もちろん調べたけどインドの情報はどこもバラバラ。取れるのか取れないのか分からなかった。
その情報の中には、"賄賂を要求される" "運次第で発行してもらえない" "担当官の気分次第" といった不安だらけの情報で溢れていた。

そうこうしている内に、あっという間に関空に着いた。

無事にチェックインを済ませて、時間通りに飛行機が飛び立った。
エアーインディアのチープなシートに座り、10時間程の空の旅が始まった。

これから始まるラスボス(インド1人旅)との闘い。
左手にワクワク右手に大きな不安を握りしめて。

よく眠れないままインドに着こうとしていた。
入国審査カードが配られ、英語に悪戦苦闘をしながら何とか書き終えた。(地球の歩き方のおかげ)

遂に着陸。インドの蒸し暑いムワッとした空気の中、人の流れに従いながらArrival visaと書かれてあるカウンターに進んだ。
そこではインド人2人がマイペースに仕事をしている。
僕は、優しそうな顔の方のインド人に 合っているか分からない英語で 「I want to get an Arrival Visa」と尋ねた。
インターネットの情報とは裏腹に、驚くほどスムーズにアライバルビザは発行された。

やっぱり自分の目で確かめないといけないなぁ という事は肌感覚で分かっていたし、今でも大事にしなきゃいけない。特に今は、偽の情報だらけだから。

その後、母親と同じくらいの歳の日本人女性がビザを取ろうと入ってきた。
女性は「ビザすぐ取れた?」と聞いてきたので、僕は少し得意げに「めっちゃスムーズでしたよ」と答えて、申請用紙の書き方を少しレクチャーした。

僕もそろそろ行く時間になったので、それを告げると女性は「Good luck またどこかで!」と、無邪気な少年の様な笑顔で言ってくれた。僕も負けじと「Good luck またどこかで!」と満面の笑みで応えた。

僕は「またどこかで!」という言葉が好きになった。


〜続く〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?