20年後も忘れない思い出〜旅の記録10〜
「今だ!」
車やオートリキシャーの間をすり抜け道路を渡る。
信号が少なく、そもそも機能していない。
むしろ信号を守る方が珍しい。
慣れてなかった頃は、道路を渡るにも一苦労だった。
僕はいつものように、バラナシの大通りを歩いていた。
こうやってあてもなく歩いて、何か面白そうなモノや場所、人を探すのが大好きだ。
「ゴンっ」
右半身に軽い衝撃が走った。
すぐに右を見ると、オートリキシャーとすごく申し訳なさそうな顔で僕の方を見るドライバー。
「めっちゃ痛いやんけ」
僕は普通に関西弁で文句を言った。
「Sorry」
絶妙に申し訳なさそうな顔でそう言われたので、許してしまう。(結構怒ったけれど)
そーいえばインドの教えで、こんな事を聞いた事がある。
「生きる上で人に迷惑をかけるのは当たり前。
だから人に迷惑をかけられても許せる人になりなさい」
この考え方素敵だと思う。
この考え方を踏まえて、インドの街中の光景を見れば、なんだか納得できる。
視点が変われば、世界は変わる。
日本では、「人に迷惑をかけてはいけません」
と家でも学校でも教えられる。
たぶん両方の良いとこどりをしたら、素敵な人になれそうだ。
今日でバラナシも最終日。
明日には、列車でコルカタに行くことにしていた。
本当は隅々まで見たかったけど、もう時間がなさそうだ。
次に置いておこう。そして、絶対にまた来よう。
明日の列車のチケットを買うために、駅に来た。
相変わらずの行列。
雑多とした駅。
待合室には、大方のスペースを陣取る牛の親子。
段ボールを敷いて寝ているホームレス。
何回か見たら、その光景が当たり前になるから面白い。
無事にチケットも手に入れ、最後にガンジス河を拝もうとガンガー沿いのゲートにやって来た。
沈む夕陽を見ながら、これからどんなことが起こるのだろうと、想像しながら
〜続く〜
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