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20年後も忘れない思い出〜旅の記録7〜


暑い熱気で目が覚める
時計を見ると朝の5時を指していた。

夜は冷えるのに昼間は日陰を探しながら歩きたくなる。

昨日しっかりと脱水できなかった洗濯物も、砂埃を含ませて完全に乾いている。喉もカラカラだし想像以上に乾燥しているのだろう。


今日はガンジス河のサンライズを観ると決めていた。

どうやらインドの朝は早いようだ。

街を歩けばチャイを飲みながら、話す人々。

列車で飲んで以来、すっかり朝に飲むチャイの虜だ。


インド人曰く、チャイは生活の一部らしい。朝に1杯、仕事の休憩中にまた1杯。夕方にも1杯飲んで夜にまた1杯。

多い人だと1日に何杯のチャイを飲むのだろう。素朴な疑問が頭をよぎる。

コミュニケーションの場なんだ。まるでイタリア人が飲むエスプッレッソ文化のような粋な文化。


ガンジス河では沐浴をする人々。その横では歯を磨いている人々やシャンプーをしている人。

その近くを、布に包まれた死体が流れている。

なんだか、その光景を自然に受け容れることが出来た。

死は自然なことなんだと改めて感じた。

少し街や河沿いを歩いた後、予約していたボートに乗り込みサンライズを観に行くことにした。

ボートは、オールが水につくたびに聞こえる "ポチャ ポチャ" という音と共に、どんどんと沖に進んでいく。

顔に飛んでくる水が、眠たい目をどんどんと開いてくれる。

かなり進んだ所でボートが止まった。

どこまでも水平に広がる河に現れる朝日。
朝陽はどこで観てもやっぱり良い。

ただ、こういった場所、シチュエーションで観る朝日は普段とは違う特別なモノに感じるのはなんでだろう。
今日の朝陽が "20年後経っても忘れない思い出" になるような気がした。

「朝陽も観たし、夕陽も観よ」
一人で呟いた。

そーいえば、今日は色んな寺を回る予定。

オートリキシャーのドライバーと交渉して、1日チャーターで案内してもらうことにした。


何軒の寺を回っただろうか
各寺には各個性があって、何軒まわっても全然飽きなかった。

おそらく8軒ほどの寺を回った後、謎の絨毯ショップに連れてかれた。
僕は「いらないよ」と言うけれど、向こうは何とか買ってもらおうと必死だ。

シルク製の絨毯やスカーフ。

確かに綺麗かったけれど、貧乏旅行の僕にとっては、何にも魅力的には映らなかった。

自分の置かれているシチュエーションが変わったら、魅力的に映るんだろうな。
物事を俯瞰的に見ると、すごく面白いことがよくある。

もちろん主観も大事だけれど、俯瞰的に見てから主観的に見る。
それを心掛けている。
まだまだだけれど。


そんなこんなで、密かに欲しかったダボダボズボンは手に入れた。
これを履いて旅人気分でも味わおう。

部屋の鏡でファッションショーばりに履いたダボダボズボンを見ながら、「夜はプージャ(ヒンドゥー教の祈りの祭)でも観に行こう。」
と決めた。


〜続く〜


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