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讒文芝居

●最近の此のバンド弩豪い

■Saint Motel (セイント・モーテル)

「怒るな、真垣。
人生には息抜きというものが
必要だぞ」
「あんたたちは、
息抜きのあいまに
人生やってるんだろう!!」
(ゆうきまさみ「究極超人あ~る」鳥坂・真垣)

人間は平常心でいる時が一番能力を発揮出来るのだ。
無理して意地張って気合いだけ入れたって
ダメだから。気合いなんか入れたら。

(京極夏彦「虚言少年」)

あの、敬愛する横尾忠則さんも作品制作にあたっては、
最終的に禅を取り込んでいたように思う。
何故なのか、宗教的問題ではなかろう。

思うに「無理をしない為」だったろうに鑑みる。
(裏は例に由って取ってません)

太極拳の回転のように、ボクサーの拳の握りのように
巧く力の減り張りを附ける。
古風も最新鋭も節操なく取り込む。
模写も真似もコラージュだってする。
大変な事はしない。永続きしないから。

全部、無理をしない為だ。

しかし、若い頃にはジャミロクワイを初聴きして、解った風に
「スケコマシ音楽じゃん」と女性蔑視も含む、鬱結自尊感情から来る
コンプラ的アウトな罵言を無理して、能く吐いて居た。
同様の軽薄で所謂チャラく衒いのない音楽全般に対してもである。
贅沢は敵だ、をスローガンにして居た愚かな軍国主義の頃の日本の様に
お洒落や楽しさを得手勝手に敵視して居た。
所謂「負け犬の遠吠え」要は悔しかったのである。
其れ以前に、怖かったのである。

負け犬が自分である事に。

別に、蛮殻を気取る体育系でも無いなら
掛け離れた虚弱体質で、虐められっ子だった割に、
硬派を気取り、実は軟派にも為れぬ軟弱野郎が実態で
モテなく容姿も醜いのを、必死に悲愴や壮大、運命宿命で隠さなければ
己が頼りない違法建築の様な人生に立っていれなかった。
脅迫観念に雁字搦めだった、あの頃。

誰も嗤ってなんて居ないのに。

そんな、
「見えない仮想的とは闘うが、他人を実際には面詰で罵ったり
勿論、殴った事も、無い。押したのさえ押競饅頭の時位の屁垂れ」の
歪んだ中二病的自意識が無ければもっと
お洒落で楽しい、寛げる大人の音楽が理解出来、豊かだったろう。
悔やんでも、今では遅い。否、遅くはない。

だって、人生は勝ち負けではないからだ。

ファンクやディスコの泥臭い莫迦っぽさやオールディーズの誠実さ、
クラシックのパロディなどを組み込み、やけに歌の巧い
ライアン・ゴズリングめいた伊達男が気障に歌う貴種流離譚ポップスは
そんな泥泥した自分にも
【セイント=聖なる】【モーテル=俗】を齎して呉れる。

嘗ては、無理して莫迦にして居た音楽たちが、其れでも云って呉れる
「無理すんなよ喃ー」と。


■Preach


■For Elise


■Slow Motion


■Destroyer


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