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推しの子第14話感想…漫画家の悲哀と、師匠の優しさ

推しの子第14話「リライティング」の感想です。
前回と対になっている、重要エピソードだったと思います。

第十四話「リライティング」あらすじ
あかねの案内で、『東京ブレイド』が上演される劇場で初めて舞台を観たアクア。そこでGOAが脚本を手掛けた作品に衝撃を受けたアクアは、彼の実力を確信。そしてある行動に出る──!(公式サイトより引用)

アクアが舞台の凄さを知り、今回の東京ブレイドの仕事を成功させるために動き始めた、回でしたね。それに付随して、今回のトラブルの元になっている原作者、アビ子先生の掘り下げも行われました。

週刊連載はヒトを捨ててこそ

才能ある人間が陥るドツボそのものでしたね

とにかく鮫島アビ子先生の職場、というか自室…仕事環境が壮絶でしたね。求めるレベルに足りない、とアシスタントを切ってしまい自分一人で膨大な仕事を全てこなさなければならない、というのは現実でも聞いたことのある話です…音楽ですが、尾崎豊がそうだった、と聞きました。彼も個人事務所を立ち上げたはいいものの他のスタッフと上手くやれず、孤立していったそうですね。
アビ子先生も、仕事風景が出てくるのはこれが初なのですがもう限界が近い事は見てとれます。ここで、かつてアシスタントとして共同作業をしていた先輩・吉祥寺頼子先生が登場し後輩を気遣う気持ちと作品至上主義のアビ子先生が本音をぶつけまくるバトルが勃発。今週一番面白いところでしたね。

自分の漫画のほうが面白いし!
売上がどうした、と言えるこの人は強い

この「推しの子」自体が週刊ヤングジャンプの作品なので、この連載の過酷さはそのまま赤坂アカ先生の実体験なのでしょうか?まぁまともな生活は不可能ですよね…しっかり寝ていた、と聞く荒木飛呂彦先生はバケモノだと思います、あの絵を週刊で描きながら。

最近はとにかくブラック企業、ブラック労働を無くそう!という方向に世の中が動いていて、健全な労働環境が叫ばれるようになりました。しかし現実には長時間、休日返上な仕事もまだまだ多いはずです。この「漫画家」という仕事もその最たるものでしょう。ですが、これが改善されホワイトになる…というビジョンは見えませんよね。このアビ子先生を見ていればわかるように、仕事に対し真摯であるがゆえに自らブラックな環境に変えてしまっており、師匠である頼子先生をもってやっと会話が可能なレベル。これは他人が介入してどうにかなるものではありません。
少し話が飛びますが、私も某特撮番組のエキストラ撮影に参加した時にその大変さを肌で感じました。これこそ365日フル稼働している仕事です。そうでなければ、毎週放送など不可能であろうこともわかります。

結局、ブラックな仕事があって成り立っているものがあり、人間の心身を削らざるを得ない世界が存在するんですよね。そこは、もはや世の中単位で仕組みを変えなければホワイトにはなりません。では、そういうブラックな仕事は無くしていくべきなのか?という話ですが、無くすよりもそれに取り組む人達へ思うこととして、

やはり、アビ子先生にとっての頼子先生が必要。
逆に言えば、寄り添える戦力になる人さえいれば、ブラックな仕事でもこなしていける。

と、思ったんですね。仲間の力は偉大です。どうしてもヒトの限界を越えてしまいそうな仕事こそ、スペシャリストが何人も必要だし、その関係性も重要だな、と感じました。
実際には、個人が追い詰められてしまうケースが多々ある訳ですが…職場環境を良くする努力は絶対に欠かせない、という前提の上で「共に戦う仲間」がいてくれれば、仕事は終わるんだよな…という思いが、今回この第14話を観て感じたことです。

アビ子先生、頼れる人がいて良かったですね。
名前もそのまま頼子ですし。

アビ子先生もただ意固地なのではなく、
頼子先生の作品を愛しているからこそメディアミックスに対し
懐疑的になっていることを告げました。
これもまた、正解のない問題ですよね

アニメ舞台化の凄さを伝えるアニメ

前回の引きの通り、今回はアクアが2,5次元舞台に
圧倒されるところから始まりました

私も舞台リコリコに魅せられた人間なので、今回のアクアが感じた「舞台の凄さ」はよくわかっています。これを原作者のアビ子先生にも味わってもらおう、で今回は引きとなりましたが…この流れなら本来の脚本家であるGOAさんも報われそうな感じで、ホッとしています…やはり私自身が脚本家志望なので、どうしても彼に感情移入してしまっているんですね(笑)。

リアルでも、映像より舞台を好む役者さんは多いそうです
映像だとオーケーが出るまで繰り返しますが、演劇は一発勝負。
その緊張感や観客の反応がダイレクトに返ってくる点が
まさに麻薬だと、以前教えを受けていた方から聞きましたね

これまで、アニメの舞台化というものをここまでしっかり物語にしたアニメなど無かったのでないでしょうか。やはり映画に比べると演劇はハードルが高く、観劇の経験がない方も多いと思われます。そんな人達に舞台の面白さ、凄さを伝えようとしているのがよくわかった、第14話でした。
前回までのアクアのように「芝居って、作り物のセットの上で~~ごっこをやるものでしょう?」と思っている人もいるでしょう。そんな人に、鑑賞体験として無二のものだと知って欲しい気持ちは、私にもありますね。

そんな感じで、原作者との蟠りが解けそうな展開。
しかしまだ稽古が始まったばかり。
この先にも要注目ですね!

トリプルモップがけ、三本目はどう持つのか教えてください。


ここまでの感想記事です。

二期はアビ子先生が主役みたいに思えてきました。

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