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仮面ライダーアマゾンが、公共の電波に乗っていた時代と現在

Youtubeの東映特撮チャンネルで、仮面ライダーアマゾンの配信が始まっていますね。

私はTTFCで5年ほど前に履修した作品です。
今はアマゾンというとネット通販のことを指すのが一般的になってしまいましたが、やはり特撮ファンにとってのアマゾンとはこちらでしょう。

現代の表現について

とにかくこのアマゾンは野生児という設定から攻撃方法も「引っ掻き」「嚙みつき」などで、大切断で獣人を三枚おろしにしてしまったりもしますね。近年の作品ではまず見られない、直接的な惨殺をやってしまうヒーローです。
最近はよく過去の作品の再放送などで、

「現在では不適切と思われる表現がありますが、作品のオリジナリティを尊重しそのまま放送いたします。ご了承ください」

などというテロップが出たりします。この仮面ライダーアマゾンも、もし地上波で再放送となればこの注意書きが出る事でしょう。
私も創作に関わる人間なので、この話については色々と聞きますし考えさせられもします。しかし一言で言えば、
「無意味な規制が幅を利かせる、窮屈な世の中だ」
という結論になりますね。

令和最初の仮面ライダーだったゼロワンで、「殺す」という表現を避けたためか常に「滅ぼす」と言っていたのにとても違和感を覚えたものです。ひょっとするとコンプライアンスとは違うところに意図があったのかもしれませんが(ヒューマギアという設定を踏まえて、の可能性も)、敵に向かって
「何故俺たちを滅ぼさない!?」なんて、切羽詰まった状況での言葉選びとしては明らかに不自然ではないでしょうか。
子供への影響、という常套句であれもこれもダメ、そんな方針が賢明な教育だと本当に思っているのか、これはずっと思っている事ですね。

最近は「殺」「死」という字だけでも伏せられるようになってしまいました。特撮番組でもこれらのワードは禁句であるように、出てきません。

ヒーロー物の本質を考えてみて欲しい

別に「殺」や「死」を使ってもいいじゃないか、と安直に言っている訳でも昔に戻れと言っている訳でもないのですが、最近の風潮に物申したい人間として、かつて書いた記事を引用します。

これらの記事で、仮面ライダーの何が良いのかというのを自分なりに述べていますが、やはり視聴者が惹かれる理由として外せないのが、彼らは
「命のやり取りをしている」
という事なんですね。
仮面ライダーは、決して負けても平気な戦いはやっていないのです。それも日常では考えられない恐ろしい敵を相手に、です。もちろん、我々も社会生活を送りながら日々自分の戦いをしているのですが、怪人と殺し合いをしている人はいないでしょう。その非日常感をモニターの中に味わえるのが特撮番組の醍醐味であり、ヒーローの格好良さだと思っています。

それを映像で表現するにおいて、直接的な言葉はメイン視聴者である児童層に悪影響だから避けよう、というのはなんとも短絡的な大人のエゴであるように感じてしまいますね。「いいこと」をしている気になりたいだけなのではないか?と訴えたくなります。

アマゾン・山本大介役の岡崎さんは、この格好で冬も撮影に臨んでいたとか
今だとそれだけであらぬ方面からクレームが来そうです

仮面ライダーV3・風見志郎役の宮内洋さんが「ヒーロー番組は教育番組である」と仰っていたのは有名な話で、善悪や倫理観を伝えるものであるべきだと、私も思います。
不要に過激な表現をする必要はありませんが、命を懸けて戦うヒーローの物語に、生死に関わる言葉を置き換えたりするのもまた、本来の目的から逸れているのではないかと思ってしまうんですね。

この辺は個人の主観によるものなので一概に答えが出るものではない、と承知した上で、ここ数年の「清廉さ」を謳う風潮には異を唱えたい。
わざわざ危険な撮影で架空の存在を描く特撮番組の本質を、仮面ライダーアマゾンを観て感じ取ってもらいたいな~と思った、昭和生まれの男の戯言でありました。

それはそれとして、アマゾンの岡崎さんはとてもダンディだと思います
仮面ライダー=イケメンの図式は昭和からあったんですね

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