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映像作品感想

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映画中心の感想集です
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2022年12月の記事一覧

映画感想「Mr.Children GIFT for you」(Filmarksより)

今年の映画締めに、と観てきた。 今年30周年を迎えた記念ツアー「半世紀へのエントランス」の模様と、ファンのコメントで綴ったドキュメンタリーフィルム。 と、概要はこれが全てなのだが、ステージ上の50代男性4人の眩しいこと眩しいこと。 バンドなんて、アマチュアならまず10年も続けられない。プロになって成功しても、20年続いているグループはそう多くない。 ミスチルは日本でもトップのバンドで、音楽シーンの先頭に立ち続けている存在だが、だから30年続いたのだろうか?売れたから? 勿

映画感想「すずめの戸締まり」…純然たる日本の映画

入場者特典に釣られ、三度目の鑑賞に赴いた。 リピートで解るもの 某映画解説者さん曰く、「映画を解説するには最低三回観ます」との事。その映画の本質を捉え、未見の方にプレゼンする深度の理解を得るにはその回数が必要という実感であろう。 筆者は解説者ではないが、この「すずめの戸締まり」を三回鑑賞して何が見えたか、という問いかけには一つの答えを得た。 初回鑑賞、どころかその前から小説版を読んでいて、その段階でこの作品に抱いていた印象が「君の名は。」「天気の子」に続く三部作の完結編だ

映画感想「劇場版 仮面ライダーゼロワン REALxTIME」(Filmarksより)

半年の延期を経て公開となった、ゼロワン単独の劇場版。 TVシリーズの後日談となっており、新たな敵、エスの率いるシンクネットと飛電或人の戦いが描かれる。 図らずもヒューマギアが日常に溶け込む近未来を描いた作品が、現代の社会に渦巻く人の心やシステムの揺らぎを描き、この2020年を克明に記録する作品になった事は興味深い。 かつて敵だった滅や迅、天津垓は本編での戦いを経て頼れる仲間となり、共闘する訳だが面白いのが或人と同じ枠に入らず別の場所同士で戦う。 だがZAIAスペックで連携は取

映画感想「仮面ライダーギーツ×リバイスMOVIEバトルロワイヤル」(Filmarksより)

冬、恒例の新旧合作映画。 普段と様子の違うDGP?の中で衝突するリバイス勢とギーツ勢、そこに龍騎勢が参戦する混戦模様が描かれる。 結論から言うと、リバイスの拙さが最後まで足を引っ張っている。バトルロワイヤルと謳って龍騎が出るなら、思いきってリバイスを外せば良かった。前半のリバイス要素はこのタイミングで?な四男の登場とその悪魔を出すためだけのもので全く面白くないし、バイス復活もクエスチョンしか沸かない。TV本編の頃からのキャラの成長も見えず、先輩ライダー感がまるでないのも✖️

映画感想「WE ARE X」(Filmarksより)

20年以上ファンであるバンドのドキュメンタリー作品、満を持しての日本公開に心が躍った。 音楽に限らず、プロとは人を惹きつけ、集める存在であると改めて認識する。彼らは優れた音楽と共に困難に立ち向かう姿を見せ続けてくれている。その物語が進行形である事を訴えてくれた。 ART OF LIFE第2章とも呼ぶべきこの映像作品は、海外で高評価を得たことも含め日本の音楽史に深く刻まれたと思う。

映画感想「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」(Filmarksより)

12年ぶりの続編。 奇しくも今年はもっと長い間隔の2作目があったので数字の上では見劣りしてしまうが、これだけの時間をかけた事に納得してしまう映像世界がスクリーンに広がっていた。 Dolby cinema+3Dの料金分の価値はあった。 前作は映画館で二度鑑賞。 12年の間に映画を観る目が肥えたのもあって、映像美に圧倒されるとまではいかなかったものの、近代兵器と原始的戦闘術のぶつかり合いとスピード感溢れるアクションは見応え充分。 パンドラの描写は素晴らしかったが、近年はゲームで

映画感想「映画大好きポンポさん」(Filmarksより)

初日鑑賞。 凄腕プロデューサー・ポンポさんのアシスタントである映画オタク青年、ジーンが突如監督に抜擢。ポンポさんの企画を任される事になる…。 映画を作る、そのリアルとアニメ的コミカルさ、クリエイターの困難と喜びが存分に描かれており、そのテンポの良さに圧倒された。 劇中映画マイスターと現実のリンク、それがただの演出ではなく生き様の描写として物語を前へ、上へ押し上げていく。 作品中の名詞から洋画の雰囲気を持ちつつ、それでいて純然たる日本のアニメーションであるキャラクター達。「

映画感想「DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン」(Filmarksより)

Amazon primeにて、数年ぶりに鑑賞。 前はネット黎明期に、何処かで拾ったファイルで観たような。それほどアンダーグラウンドな作品だが、ここに監督、庵野秀明のエッセンスが詰まっている。 特撮シーンは本家と見紛う迫力。 火薬の使い方は本家以上かもしれない。役者の演技が拙く、失笑してしまう様なやり取りがあるもののおそらく、そこに重きを置いていないのであろうことが後の作品からもわかる。 何より、「核」を用いる状況になりそれを寸前で阻止するという作劇はシン・ゴジラの原型で

映画感想「十二人の怒れる男」…一つの部屋で起こる縦横無尽の人間ドラマ

1957年のアメリカ映画。 最高の教材 筆者がこれを観たのは8年前。まだ演技の勉強をしている頃で、古今東西問わず様々な映画を貪るように観ていた頃、この作品に出会った。 視聴手段はDVDレンタルだったと思う。タイトル以外何も知らず、おそらくは当時通っていた養成所で薦められたのがキッカケだったかと思う。 内容は、殺人事件について12人の陪審員たちが審議する様子を描いたもので、97分の間ずっと話し合いしかしていない異端の作品だ。 ところがこれは、60年以上経った今の時代にも通ず

映画感想「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」(Filmarksより)

話題に乗ろうとTV版完走の後、鑑賞。 TVシリーズの続きとして無限列車編の映像化。 原作未読なので純粋にハラハラドキドキと楽しむことが出来た。 R12指定ではあるが過激な描写はむしろTV版より抑えめなくらいである。 走る汽車の中での戦い、眠らせる敵の能力を驚きの方法で破り立ち向かう炭治郎。 主要キャラが持ち味を活かして激しく、時に面白く舞い踊る活劇の味は変わらない。 が、驚いたのはタイトルでもある「無限列車編」が前座に過ぎないこと。 これはもう観た人全てが思ったであろうが

映画感想「ラーゲリより愛を込めて」(Filmarksより)

予告で気になり、初日鑑賞。 太平洋戦争末期、ソ連により強制収容所に送られた日本兵達の物語。 極寒の強制労働や劣悪な環境により倒れて行く兵士達だが、その中にあくまでもダモイ(帰国)の希望を失わない男、山本幡男がいた…。 奇しくも現在、ロシアのウクライナ侵攻が続いている中で「侵略の惨状」を伝える実話。ソ連の侵攻は日本の中国侵略が原因だが、それも元を辿れば欧州の植民地政策がことの起こり。 国際社会は悲劇の連鎖を繰り返している。 結局、「終戦」とはなんなのだろう。山本さん達は戦争

映画感想「美少女戦士セーラームーンEternal 後編」(Filmarksより)

僅か一ヶ月ながら、随分待った感覚の後編。 デッドムーンとの戦いに外部太陽系戦士の4人参戦し、悪夢との決着に向かう。 前編はセーラー戦士のプロモーション的な趣があったが、後編は滅んだ月の王国、シルバーミレニアムにまつわる伝説が中心。 何故セーラームーンが四半世紀を経ても人気なのか、その回答の一つがここにある。 男子の様に強くなる為に修行をしたり、強敵との戦いを繰り返す訳ではない。 「一途に想い続ける」事で強くなり、絶望的な状況を跳ね返す。それは一生涯のレベルを超え、前世から

映画感想「美少女戦士セーラームーンEternal 前編」(Filmarksより)

まず、公開に漕ぎ着けられた事に拍手。 延期と同時に再設定されていた日が無事迎えられたのは胸を撫でおろさざるを得ない。 今回は原作第四部、TVのSuper Sの部分をCrystalの続編として映像化。 全体的にキャラのプロモーションに偏っていて、TVの各回をつなぎ合わせたような構成になっている。 これは劇場版としての説明の要素が強く、(殆どいないと思うが)全く初見の観客に配慮したものだと思う。 その割にちびうさ絡みの説明がないまま彼女中心でストーリーが進むので若干混線気味の8

映画感想「美少女戦士セーラームーンSuperS セーラー9戦士集結!ブラック・ドリーム・ホールの奇跡」(Filmarksより)

3時の妖精、という子供向けストーリーで ありながら、母娘のコミュニケーション など見所は大人の心にも響く。 改めて思うが、三石琴乃さんと荒木香恵 さんは声が似ている。 TVでのピンチヒッターが縁だったお二人 だが、ある種の運命だったのだろう。