古今叙事大和本紀 第二章 明石の怪物
気がつくと、赤い甲冑を身に纏わせたあの大男と肩を並べて歩いていた。
岳は、一体どうしてこうなったのかは分かっているようで、実は全く分かっていなかった。
天鈿女に問いてもよく分からないらしく、まさかこの大男に直接聞ける訳もない。確かこの男は彦五十狭芹彦と名乗っていた筈。あの石像の神の名もこの男の名も、何故こう長々しいのか…。呼ぶ方の身にもなってくれと岳は何故か憤っていた。
普段ならそんな事で憤る筈もない岳であったが、とにかくそばにいるだけで暑苦しい他この上ないのだ。
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