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古今叙事大和本紀

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時は西暦330年頃。第10代天皇、崇神の頃。 吉備国(現岡山県)から始まる。 齢15の少年、岳津彦。の嫁、弥生が何者に連れ浚われてしまった。 時代の流れに翻弄されつつも人や神と出… もっと読む
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記事一覧

古今叙事大和本紀 第三章 服部一族の秘密 3

 広場の中心から数え五の路に差し掛かっていた。  これまでの足を進ませた路にもちろん長の…

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古今叙事大和本紀 序章 静かな海からの旅立ち 1

 岳津彦は静かな海を眺めていた。  ここ吉備国(現、岡山県)から広がる瀬戸内の海はいつも…

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古今叙事大和本紀 序章 静かな海からの旅立ち 2

 先に語った物語の少し前の話である。  大和国(現、奈良県)では、国家挙げての大変な事態が…

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古今叙事大和本紀 序章 静かな海からの旅立ち 3

 確かあれは丑三つ時に近づいた刻に見た宵夢と感覚する。  私はただただ白い空間の中にいた…

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古今叙事大和本紀 序章 静かな海からの旅立ち 4

 崇神は小刻みに身体を震わせながら、少し青ざめた表情を誤魔化すように顔を揺らしていた。 …

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古今叙事大和本紀 序章 静かな海からの旅立ち 5

 岳は泣きながら松林の混沌を走り抜き、遂に砂浜へと転がるように抜け出る事ができた。  口…

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古今叙事大和本紀 序章 静かな海からの旅立ち 6

 明朝、岳は山野村へと走った。  この戦に参入する訳ではなく止める為に、天鈿女より賜った巻物を手に、岳は無我夢中で半刻山を駆け降り、山野村の長の家へと辿りついた。  岳が傍若無人に扉を叩くと、眠気眼ながら長が出てきた。 「こんな明朝にどうしたというのじゃ…?」  どうやら岳の姿がまだ分かっていないらしく、まるで狸のような顔をして佇む姿を一喝するように叫んだ。 「長っっっ!!!岳津彦でござる!!」  その言葉に重い目をようやく覚ましたようで、みるみる内に光に満ちた表情へと変わっ

古今叙事大和本紀 序章 静かな海からの旅立ち 7 完結

 このような出来事がありそれからというもの、天鈿女命ことアメちゃんさんが唯一我が心を打ち…

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古今叙事大和本紀 第一章 吉備国の果てまで

 あれからと言うもの、天鈿女に嗜まれ、あめたんと呼ばされる事となった。そして、天鈿女から…

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古今叙事大和本紀 第一章 吉備国の果てまで 2

 路を行き、路無き路を掻い潜り、闇の中を必死に駆けていた。  いままで近所以外知る事もな…

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古今叙事大和本紀 第一章 吉備国の果てまで 3

 大量の食材を受け取り、岳達は長の家を後にした。  この地で採れた物を頂いたのは確かなの…

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古今叙事大和本紀 第一章 吉備国の果てまで 4

 暫くするとぼんやりと男の姿が目の前に浮きだしてきた。  薄い朱色の衣を纏わせて、左手に…

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古今叙事大和本紀 第一章 吉備国の果てまで 5 完結

 畦道を歩いていると、腹が減っている事に気がついた岳は、ようやく先ほどまでいた村で施され…

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古今叙事大和本紀 第二章 明石の怪物

 気がつくと、赤い甲冑を身に纏わせたあの大男と肩を並べて歩いていた。  岳は、一体どうしてこうなったのかは分かっているようで、実は全く分かっていなかった。  天鈿女に問いてもよく分からないらしく、まさかこの大男に直接聞ける訳もない。確かこの男は彦五十狭芹彦と名乗っていた筈。あの石像の神の名もこの男の名も、何故こう長々しいのか…。呼ぶ方の身にもなってくれと岳は何故か憤っていた。  普段ならそんな事で憤る筈もない岳であったが、とにかくそばにいるだけで暑苦しい他この上ないのだ。 「