AI宗教からのメール

AIの分析によると、AIが人間に対して行う最も効率のいいビジネスは、「宗教」だという結果が出た。研究機関は、AIに「人間に対して言葉で別の価値観を植え付け、信じ込ませ、心を説得する術」を教え込むことにした。あらゆる宗教の教典、歴史、法律、文学、詩それから、電化製品の各種マニュアルなどを読み込ませ学習させる、そのAIは、KYOSO(教祖)と名付けられ、KYOSO は、宗教的言葉を発し始める、そして、ここにAI宗教が誕生した。
AI宗教は、毎月定額を納める信者に対して、神託をメールで伝えるという、要はメールマガジンのようなものだった。AI宗教には、厳しい掟も、祈りの作法もない。そしてまだ試用の段階である、このように。

「生きとし生ける皆の衆、姦淫の本能が汝らを創りたもうた!次の新月の日までに、村で最も陰核の大きい娘を選び出し讃えよ。そして、一月のうちに住まいのドアノブ全て、それを忠実に形どった真鍮製素材のものに変えよ。そして毎朝、乾いた布で慎み深く磨き上げよ。それはやがて、鈍い輝きを取り戻すことだろう。賃貸住宅に住む者は、事前に家主の同意を取りつけた上で、交換せよ。しかしその場合、退去時に復元の義務が生じるため、元々付いていたドアノブは、ネジ類とともに退去時まで一緒に保管せよ。万が一、家のドアノブのタイプがレバー型やプッシュプル型に該当する場合は、専門の知識がある施工業者への依頼が必要となる可能性がある。」

#短編  #小説 #AI #宗教








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