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デザイン学会の「『進化思考』批判」に謝辞で掲載された話【追記あり】


6/26(日)の日本デザイン学会第69回春季研究発表大会にて発表された松井実先生・伊藤潤先生の「『進化思考』批判」に、なんと僕の名前を謝辞に掲載頂きました…!!!😳😳😳



1年前にこのnoteで書いた同書評を、スライドで引用頂き、僭越ながら梗概にもコメントさせて頂きました。梗概やスライドも下記リンクから見ることが出来ます。

①同書内に多数ある間違いの指摘
②進化のメカニズムや考え方をそのままアイデア発想法に当て嵌める上での進化学理解の欠落
③それらの間違った内容を教育として普及すようとする姿勢

これら3つについて、文化進化学と生物学の観点から、丁寧かつ根本的に批判する内容です。


同書を読んで疑問に感じた方、決して少なくないと思います。特に③進化学的に間違った内容を子供達にも教育普及させようとする事は、本当に止めてもらいたい。著者は素晴らしい実績を持つJIDAの理事長であるが故に、まずデザイン業界の中で声をあげないといけないと思い、まずnoteを書きました。

と言っても僕のnote書評はまだまだ未熟です(それでも多くの改善指摘事項があった)。しかし今回の発表では、より深く詳細まで踏み込んだ批判をされてらっしゃいます。僕自身本当に勉強になったので、ぜひ様々な方からの更なる活発な批評を頂き、止揚に至る事ができればと思っています…!

こちらのZennでは「進化思考」に対し250項目以上にわたって、間違っている箇所の指摘と改善案が書かれています。なんと3章「適応」の部分を除いて無料公開中。元生物学ご出身経歴も持つ伊藤先生がファクトチェックにも力を入れたと言われてるように、ものすごく勉強になる(というかなり過ぎる)内容になってます。



いやあ…
まさか…まさか学会発表に関わることになるとはね…

発表者の松井先生から直接連絡を頂いた時はすっっっっっごく驚きました。まさかこんなことがあるとは…って思いました。思うよね…
でも僕の批評記事を読んでいただき、発表する勇気をもらったと言ってくださって、本当に嬉しかったんです…

進化思考の著者は日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)理事長であり、その圧倒的な立場上、デザイン関係から著書の正式な批判ってなかなか実行まではされにくいもの。批判する側の僕(達)にとっては、批判内容に対する批判はぜひぜひ!という感じなのですが、いわゆる批判行為に対する批判もありそうで怖いな…という危惧も少なからずありました。(これはどの分野でもあると思います)

と言っても僕は在野の一般デザイナーで匿名のnoteという媒体で書いただけなので別にそれほどリスクを負ってるわけではないのですが、大学の教員という立場でありつつ学会発表で正式に批判するという行為は、相応のリスクを負う覚悟が必要だと思います。

だからこそ、学会発表で正式に批判の場を設けられたということ、そして500ページ超えの非常に長い文章全項に対して、非常に丁寧で、細かく、正確な批判をなされている事にとても感激しましたし、改めて敬意を表したいと思います。ほんと覚悟がいる行為だと思うよ…

前述の通り僕の記事の批判内容はまだまだ全然未熟ですが、この発表では、文化進化学と生物学の観点から、しっかりと批判をしてくださっているので工業デザイナーの方々は是非一度ご覧ください!!!
既にデザイン関係や生物関係の何名かの方からは反応があったので記録まで。


特にZennの内容は、ある程度のとこまで生物関連の知識がないと理解が難しいかもしれません。
でも、それでもやっぱり正しい事実に基づく理解に則らないといけない。きちんとした知識を身に付けないといけない。間違った知識が広がることの恐ろしさはみんな知ってるはずだし、正しい知識が科学を切り開いてきたことは歴史がしっかり証明している。それがデザイナーであり、大人である我々が担っていかないといけない重責であるとも思ってます。あんまり重い感じで啓蒙するのは好みじゃないけど、ほんとそう思うんですよ…

この発表や内容が良いきっかけになって、デザイン界の中で生物や進化に対しての良い認識が広まっていけば本当にいいなあ…とマジで思ってます。本当に本当にそう思ってるよ…


【2022.07.24追記】

生物学の研究者のkamefujiさんが進化についての素晴らしい記事を書かれていたので紹介&記録しておきます。
進化には「適応進化(自然選択)」と「中立進化(遺伝的浮動)」があること、進化のプロセスを「変異→適応」とするのは間違いで、「自然選択(変異・淘汰・遺伝)の3ステップで複数世代を通して顕現する性質が『適応』」であること、などを分かりやすく説明頂けています。とても勉強になる…



ただ本当悲しいことに、著者本人からはこれらに対する当てこすりのようなツイートが投稿されていました。非常に残念です。先の自分の批判記事の通り、寄稿でもセミナーでも、アイデア発想の方法論だけでやってくれるなら別に全然いいんです。ただ「進化」を誤用したまま広めようとするのだけは、本当に止めてもらいたいだけなんです。

せめて1人でも多くの人(特に生物学関係者とデザイナー)に、進化思考批判の学会発表動画や、ここで紹介した記事や、僕の批判記事を読んでいただければと思います。

正しい理解に基づくこと、それに至ろうと真摯に努力していくこと、それが本件に関する僕の唯一の望みです。。。🥵

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