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守衛の犬
2021年7月15日 22:22
夏といえば思い出す小説が、いくつかあります。 たとえば、神吉拓郎の「ブラックバス」で、少年が今はなきテニスコートを前にして耳を澄ます、幻のテニスボールが跳ねる音であったり。 あるいは、ヴァージニア・ウルフの「サーチライト」で、クラブのバルコニーに腰掛けて歓談する男女のそば、石畳の遊歩道を照らす円形の光であったり。 それらは夏の日の一瞬を鮮やかに切り取り、その空気までも文章のなかに封じこめま