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高崎寛之

その名前を初めて聞いたのは、かれこれ5、6年前だと思う。
当時、徳島ヴォルティスが初めてのJ1を戦っていた。

徳島はぶっちぎりで弱かった。
初めてのJ1を地方クラブが戦っていくのは簡単なことではない。
あっという間にJ2降格が決まってしまった。

そんなチームの中でも、1人気を吐いてゴールを決め続けていた選手がいた。
高崎寛之である。

チームがどんなに弱くても、降格間違いなしと言われても、ひたすらゴールを決めた。
その活躍が注目されて、代表に行くんじゃないかみたいな話があったような気もする。

最終的に、徳島ヴォルティスはかなり早い段階で降格が決まってしまう。
「そんなもんだよな」
そんな表情が選手からも見られる中、泣き崩れてスタッフに抱えられ、ピッチを後にした選手がいた。
その選手こそ、高崎寛之だった。
自分の中に、高崎という選手が強くインプットされた瞬間だった。


それから数年後、高崎寛之は鹿島アントラーズから松本山雅FCにやってきた。
「徳島にいたあの高崎?」と思ったことを覚えている。
それくらい徳島時代のインパクトが強かった。

しばらくして、味スタにヴェルディとの試合を見に行く機会があったのだが、その試合で高崎は見事ハットトリックを決めた。
この活躍もあり、試合は文字通りの完勝だった。

そのシーズン、高崎は16ゴールを記録。
次のシーズンは19ゴール。
エースにふさわしい大活躍だった。

でもチームはJ1に昇格できなかった。
最後の試合、高崎はいつも泣いていた。

結果的に、翌シーズンにはJ2優勝を果たして昇格も決まるのだが、8ゴールに留まる。
今年戦ったJ1では、なかなか活躍の機会を与えられず0ゴールに終わった。

その結果をうけてか、高崎は今シーズンで松本山雅FCを退団することになった。
年齢的なものもあるだろうし、指揮官の反町監督が退任したこともあるだろう。
高崎は新天地で活躍の機会を伺うことになる。


高崎が残したものは結果だけではないと思う。
その姿は多くのサポーターの目に焼き付いたはずだ。

街を盛り上げようとグッズを作ったり、

犬好きが興じてドッグカフェをオープンしたり、

オフを返上して街頭で募金活動をしたり、


ピッチ以外の振る舞いでもサポーターの心をがっちりと掴んだ。
それだけに、今回の退団の報にがっかりするサポーターも多いわけだ。
もちろん自分もその1人。


この文章が本人に届くとは思えないが、最後に。
ヒロくん、松本のために戦ってくれて本当にありがとうございました。
加入が発表された時の「あの高崎か!」という驚きは忘れられないし、ヴェルディ戦のハットトリックとか、雨の中の直接フリーキックとか、数々のプレーが脳裏に焼き付いています。
また新しいチームでも、サポーターの心をガッチリ掴んでくださいね。

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