新たな潮流【ネオ「自築消費」】から中国消費の変化を看破せよ!
おはようございます!ニュース連動型おじさん、だっくでございます。
今日1/16は、薮入り(やぶいり)と言って、かつて町屋(商家)などに住み込んで奉公していた丁稚や女中などの奉公人が、主家から休暇をもらい実家へ帰ることのできた日だそうです。
奉公人たちは毎年1月16日と7月16日の2日しか休みがもらえないのが一般的だった。「奉公って、ハードでスーパーブラックなの?」と思うかもしれませんが、江戸時代の労働慣行と現代の労働基準を直接比較することは難しいです。封建的な主従関係ありきですし。
ただまあ、盆暮れが家族との再会や故郷への帰省の機会というのは、2025年の現代にも通じる感はありますね。
さて、今日はところ変わって中国についてです。中国の消費市場が大きな転換期を迎えています。
かつての「世界の工場」から「世界最大の消費市場」へと変貌を遂げつつある中国。その中で、新たな消費行動の兆候として従来とは一線を画す「自築消費」という概念が注目を集めています。
そんな訳で、中国の消費市場の変化とネオ「自築消費」の実態、そしてその背景にある要因についてお話ししますね!
ところでAIちゃん、僕確かに「チャイナドレスの可愛い少女はお願いしたよ。でもさ、未来過ぎない、これ?」いや好きだけどさ、なんか違うんだよ。。。
最近の中国は経済低迷で元気がないけれど。。
博報堂生活綜研(上海)が1月15日、中国伝媒大学広告学院と中国の消費動向についての調査結果を発表しました。
生活のレベルを下げる「消費のダウングレード」を感じるとの回答は80%に達したそう。
例えば、節約志向の高まりを受けてディスカウント店が盛況ですね。ブランド品の安価な代替品「平替(ピンティー)」を探し求める動きが広がっています。
消費のダウングレードに関するSNSでの投稿数は、2023年から24年にかけて約5倍に増えたとも言われます。
調査では、調査で消費に対する意欲を100点満点で尋ねたところ、24年は平均で67.3点で新型コロナウイルスの感染拡大前の19年の74点を下回ったそうです。
そうやって、なんか元気が無くなる方向で寂しくなるだけかと思いきやそうでもないとのこと。
景気の減速を受けて安価な商品を購入するなど消費に慎重になる一方、自己肯定感を高めるために「自築消費」を積極的に求める傾向があると分析しています。
「自築消費」とは何か?歴史を振り返り
中国の高度成長期の需要の変化の潮目
「自築消費」とは、消費者が自らの価値観やライフスタイルに基づいて、能動的に消費行動を構築していく傾向を指します。
これは単なる物質的な欲求の充足を超えて、個人の自己実現や社会的アイデンティティの表現としての消費を意味するものです。
この傾向は、2000年から2012年にかけて、中国のGDPベースの家計最終消費支出は年平均15.1%という驚異的なペースで拡大した際に生まれたと言われます。
その際、中国の消費者は、経済成長と共に所得水準が向上し、より多様化・個性化した消費行動を取るようになりました。
例えば、高品質な商品やサービスへの需要増加、体験型消費の重視、環境に配慮した商品選択など、消費者の嗜好がより洗練され、複雑化しました。
ひと昔前の中国は、お金をたくさん使って工場や道路を作ることで経済を大きくして、外国に物をたくさん売ることで儲けていました。
でも、そのころからは、人々が買い物をしたり、サービスを利用したりすることで経済が大きくしていき、安けりゃいいじゃんだけではなく、サービスの質に拘るようになった訳です。
「自築消費」がもたらした市場の変化経緯
「自築消費」の台頭は、企業にとって新たな市場機会を生み出しました。
消費者の多様化・個性化するニーズに応えるため、企業はより細分化されたマーケティング戦略や商品開発が求められるようになりました。
例えば、家電製品市場では、単なる機能性だけでなく、デザイン性や環境への配慮など、より付加価値の高い製品への需要の高まりがありました。
また、住宅市場においても、単なる居住空間としてだけでなく、ライフスタイルを表現する場としての需要が増加。
さらに、健康志向の高まりに伴い、オーガニック食品や健康食品、フィットネス関連サービスなどの市場も拡大もありました。
教育分野でも、従来の学校教育に加えて、オンライン教育や体験型学習など多様な選択肢の誕生。
これらの変化は、中国市場に参入を考える外国企業にとっても重要な意味がありました。
まあ、過去の話っちゃ過去の話ではあるんですが、2025年の今の中国を見る上でこの歴史的経緯はとっても重要なんです。
2025年の新しいネオ「自築消費」はひと味もふた味も違う
こうやって、質に拘りつつお大尽で札びらでぶん殴るような消費を続けることは出来なくなりました。いかに中国共産党が対外的にGDP成長率を誇張したところで庶民の財布は正直なものです。
しかし、「実消費支出記録調査」を見ると、23年に比べて24年に支出を増やした人と減らした人はほぼ同数でした。
また、カテゴリーによっては支出を増やした人が減らした人を上回るカテゴリーもありました。生活者は単に節約一辺倒というわけではないというのが分かったそうです。
コスパ重視、消費ダウングレードという大潮流は間違いなくあるにしても、それだけではないのです。
「自分の実力、自分らしさを再確認するための消費」や、節約ムードの中でも「複合的に理由を用意して、初志貫徹で買いたいものを買う消費」、「贈り物や誰かを支えるためのモノを買い、他者の役に立つ自分を見出そうとする消費」といった新たな消費行動が見えてきました。
博報堂生活綜研(上海)は改めてこれを「消費を通じて自分らしさを確認、再構築し、自己肯定感を高めていく」消費行動を、私たちは「自築(中国語:自筑 Zizhu)消費」と名付けています。
いわば、ネオ「自築(中国語:自筑 Zizhu)消費」です。
消費ダウングレードのムードが高まりすぎ、不安や違和感を覚えるというのは当然のこと。
僕ら日本人も日が没するが如くGDPでどんどん他の国に追い抜かれ、かつてジャパンアズナンバーワンなんて驕り高ぶった時代があったなんて本当かどうか実感を失いました。生活水準がじわじわ落ちて、貧すれば鈍するを実感し、悲しい気持ちになったではありませんか?同じですよ。
そんなわけで今の中国では、経済力やセンスを持ち、やりたいことができ、時に誰かの役にも立てる。そしてハズレを引かず、上手に消費を楽しめる。そんな自分を消費を通じて自ら築き、自己肯定感を高めていきたい、という生活者の欲求が芽生えていると言います。
周囲との差を埋めたり、他者からの評価を得るための消費ではなく、消費ダウングレードのムードに流されず自分らしさを築いていくことを大切にする孤高の自分イズム。
中国では、本当にもう商品が売れないのだろうか?そんなことはない
調査会社インテージでも以下のようなレポートが上がっている。
例えば、 Supreme Shanghai。広いフロアスペースにはマーク・ゴンザレスのアート作品や巨大なスケートボウルも鎮座し圧巻な店構えの今年、中国に初上陸した「Supreme」旗艦店には、悪天候にも関わらず、入店列ができていたそう。
例えば、HAUS NOWHERE SHANGHAI。中国アパレルに陰りは見えていない。「淮海中路」エリアに、今年リニューアルオープンしたこの店にも
オープン当初、この施設にも長蛇の列ができた。
例えば、肉肉大米。
株式会社物語コーポレーションの子会社物語香港有限公司が、挽きたて、焼きたて、炊きたてが楽しめるハンバーグ専門店『肉肉大米』(読み:ローローダーミー)を、2024年10月1日(火)に中華人民共和国香港特別行政区(以下、香港)にてグランドオープンした。
和風ハンバーグ3つとおかわり自由のご飯とみそ汁がついたセットが78元(約1600円)と、決して安くないが、連日、ご飯時には行列をなしており、大変盛況だそうだ。
長い引用になるが、以下の内容は博報堂の分析と重なる。
確かに商売に絶対は存在しません。トランプ2.0によって中国は関税によってアメリカへの輸出が大きく阻害される可能性は高いと言えます。また、中国が公式に報じる値が信用に値せず、経済が縮小していることは間違いが無いでしょう。
ただ、ここにきて意外な話を目にしました。
中国企業は思っていたよりもアメリカとの関係を楽観しています。それも日韓とは比較にならないくらいです。
その予測が正しいかどうかは定かではありません。
しかし、仮にアメリカが引きこもって鎖国のようになったとしても、中国にはそれでも莫大な市場があり、ロシア、東南アジア、そして欧州需要への拡大に手を着実に広げています。
一概に中国全般を「オワコン」扱いをするだけではでかい商機を見誤る可能性があると僕は思います。無論、どこを攻めるかというターゲティングは必要です。世界の工場たる中国は無くなりましたから、そうではない今がどのようなものかを直視していく必要があるのです。
いやはや、僕は個人的には正直「しょんぼり」縮小均衡への一辺倒かと思っていたんですが、そう決めつけるのはとんだ短慮だったかも知れません。
あなたはどう思いますか?
ではまた
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