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『ダブドリ Vol.7』インタビュー01 多嶋朝飛(レバンガ北海道)

2019年9月28日刊行(現在も発売中)の『ダブドリ Vol.7』(ダブドリ:旧旺史社)より、多嶋朝飛選手のインタビューの冒頭部分を無料公開いたします。インタビュアーはTGI D-RISE時代のチームメイトである及川啓史氏。なお、所属等は刊行当時のものです。

中3のときに行った北陸高校の練習で、初めて全国クラスを見たときに、雰囲気に圧倒された。どのみち故郷の帯広を出るならここで勝負したいと思った。

及川 本当にすげえ不思議。不思議な感じしかしない。
多嶋 なんでおまえからインタビューを受けなきゃいけないんだよ。
一同 (笑)。
及川 まさか俺もインタビューするようになるとは思わなかったんですけど。でも一緒にやってたときから、聞きたくてもちょっと恥ずかしくて聞けなかったりとか、知りたいことは結構あったので。ぜひ、多嶋朝飛っていう人物を紐解いていければと思います。
多嶋 お願いします。
及川 まず最初に、ここまでのバスケットボールキャリアをお話ししていただけたらと思うんですけど。いつからバスケを始めたんですか?
多嶋 小学校3年生。
及川 強かったんですか?
多嶋 自分たちの代になったときに、十勝地区では優勝できた。北海道の大会では勝てなかったんだけど。
及川 じゃあ、そんなに強豪のミニバスとかではないんだ。
多嶋 いや、全然。みんなちっちゃかったし。
及川 中学校も北海道ですか?
多嶋 そのまま上に行った。大空小、大空中。
及川 へー。で、高校から飛んだんですね。
多嶋 北陸(高等学校)。
及川 なんで北陸にしたんですか。
多嶋 地元の帯広の高校には行かないんだろうなっていうのは、何となく自分でもあって。
及川 それはバスケットボール的な理由で?
多嶋 バスケットボール的な理由で。当時強かった東海大四(現東海大学付属札幌高等学校)とか大麻高校とか、やっぱり北海道で1、2番だったチームに行きたいなっていう。そういう世界しか見てこなかったし、誘いもあったし。どうしようかなって迷ってるときに、たまたま帯広の高校の先生が北陸の先生とつながりがあって、帯広にこんな中学生いるよって紹介してくれたのがきっかけで、練習に行ったの。
及川 北陸の?
多嶋 そう。「北陸ってどこや?」と。
及川 北陸ってどこですか?
多嶋 福井県。
及川 福井か。
多嶋 「福井か。で、福井ってどこや?」って。
及川 そうっすね。俺も定かじゃない(笑)。
多嶋 中3のときに行って、初めて全国クラスを見たときに、雰囲気に圧倒された。
及川 やっぱり違うんですね。
多嶋 どういうふうに自分にチャンスが向いてくるか分からないけれど、どっちにしろ帯広を出るんだったら、ここでやってみたいなって思ったのがきっかけだった。
及川 北陸もそのまま「いいよ、おいで」みたいな感じになったんですか?
多嶋 北陸は、来る者拒まずみたいな感じだから。
及川 ああ、そうなんですか。
多嶋 俺の場合は紹介もあって、監督が来てくれって言ってくれたから、最終的に選んだっていう形にはなった。でも、北陸に行きたいって思ってる生徒がいたら「どうぞ」っていうチームだから。
及川 あ、そうなんだ。じゃあAチームとかBチームとかに分かれたりしてるの?
多嶋 分かれるよ。全中でどうのこうの、ジュニアオールスターでどうのこうのとかいう選手もたくさん入ってくるし、バスケットが本当に下手くそな人も入ってくる。
及川 バスケやってみたいです、みたいなレベルの?
多嶋 いや、一応やってはいたんだろうけど、でも上手じゃない子もたくさんいる。
及川 へー。面白いっすね、その環境。
多嶋 うん、いろんな意味で面白かったね。
及川 寮に住んでたんですか?
多嶋 寮。

社会人でバスケを続けるなら、バスケの成績と給料が連動するプロが良かった。そう思ってた時に栃木に声をかけてもらって、トライアウトに合格したのがスタート。

及川 北陸から、大学は東海ですよね?
多嶋 そう。本当は違う大学に行けって高校の先生から言われてて。
及川 ほうほうほう。その先生って、香川ファイブアローズにいる派手なジャケットのひげの先生ですか?
多嶋 そうそうそう。津田(洋道)先生ね。俺らのときの監督。
及川 顧問とかではなくて?
多嶋 要は北陸バスケット部を作り上げた人。
及川 あー、そうなんですね。
多嶋 あの人が一番上にいて、俺らのときは今もコーチやってる久井(茂稔)先生っていう人が基本的には見てくれてた。
及川 ああ、そうなんですか。
多嶋 じっちゃんはたまに来て「うえーい」って叫んでるだけ。
及川 この前、香川のスポンサー会に行ったときに「朝飛さんとめちゃくちゃ仲いいんです」って言ったら「B2でよろしくな」って言われたので「伝えときますね」って言っておきました(笑)。
多嶋 (笑)。で、津田先生からは別の大学を薦められてたんだけど、色々あってその話がダメになった。もうインターハイも終わっちゃってたから、あわてていろんなバスケの強い大学と話した結果、東海が手を挙げてくれた。
及川 ふーん。
多嶋 強いのは知ってたけど、きついのも知ってたから、最初は「大学行ってまできついのはな」って思った。でもちゃんと教えてもらえる所だからいいか、と考え直して。
及川 俺らの高校のときって、ギリbjリーグが始まったくらいじゃないですか。
多嶋 そう。大学のときにはもうbjと当時のJBLに分かれてたかな。
及川 そうですよね。漠然と「そこまで行きてえな」みたいに思っていたんですか?
多嶋 高校のときとかは思ってない。俺、2年の冬からやっと試合に出始めたし。3年でやっとスタメンになれたって感じだったから、そのままの勢いで「じゃあ大学も」って考えだしたし。3年になって、初めて強い大学に行きたいなと思った。
及川 ふーん。
多嶋 大学も、3年まではまともに出られてないから、3年から出始めて、やっと戦えるようになってきたなって思ったときに、じゃあ次どうしようっていう。でも、サラリーマンにはならないだろうなっていうのがあったから。
及川 なんで?
多嶋 俺ね、興味ないことはできないと思うんだよね。
一同 (笑)。
多嶋 身が入らないと思う。
及川 あー。
多嶋 バスケでも、他のことだったりしても、もし俺が興味あるんだったら、そこに対して一生懸命やって、仕事もできると思う。でも、普通にデスクワークしたりとか、営業したりしながらバスケットだと、バスケの成績が給料に関係ないじゃん。それがすごく自分の中で気持ち悪いなって。
及川 はいはい。
多嶋 どうせ行くんだったらプロに行きたいなって。でも当時はレラ(レラカムイ北海道)と栃木(現・宇都宮ブレックス)しかまだプロがなかったから。
及川 bjのトライアウトは受けなかったんすか。
多嶋 受けてない。
及川 地獄ですよ、あれ。
大柴 どういう意味で?
及川 まずシャトルランやらされるんですけど、シャトルランの前から次に受かる人たちは大体決まってるんで。
大柴 ああ。
及川 そいつらは、30~40回とかで「膝痛い」とか言って、やめちゃうんですよ。
大柴 ハハハ。
及川 自分みたいな紹介とか何もない組は、130~140回くらいまで必死でやるじゃないですか。その疲れた状態の自分らと、なぜか膝が治って戻ってきた奴らがスクリメージをやる。
大柴 ハンディキャップマッチ(笑)。
多嶋 でも、当時はそれ受けないとドラフトに掛からないって話だったよね。
及川 そうそうそうそう。絶対それを受けなきゃいけない、みたいなのがあって。俺もそれの3年目くらいのときに受けたんですよ。その前日にブレックスとDライズ(TGI D-RISE/NBDLに所属していたリンク栃木ブレックスの下部組織。パスラボ山形ワイヴァンズの前身)のトライアウトがあったんですけど「参加費無料でめちゃくちゃいいじゃん」って思いました。bjは5000円か8000円くらい取られてたんで。
大柴 あ、そうなんだ。
及川 練習がてらと思って行ったら、遠藤(祐亮/現宇都宮ブレックス)と(上杉)翔(現パスラボ山形ワイヴァンズ)ちゃんがもう決まってて。上杉は福島のチームで対戦してたんで、見覚えはあったんですよ。
多嶋 そっか。
及川 で、大学4年生くらいのときに、プロに行こうってなって?
多嶋 行きたいなと思ってたんだけど、そんなに簡単に決まらなかった。最後のインカレが終わったぐらいで「Dのトライアウトがあるから一回来てみないか」って栃木のほうから話をもらって、受けたら合格した。
及川 ふんふん。
多嶋 俺もその他の進路があったわけではなかったから、すぐに「はい、行きます」って決めたのがプロキャリアのスタート。
及川 栃木の場合は、教育というか指導方針もブレックスと同じだったし、上に上がるチャンスが提示され続けてたのは、良かったですよね。今はそういうシステムが無いじゃないですか。
多嶋 そう。入ったときは俺はDライズの一員としてやるんだって思ってたから。それがまさかブレックスと一緒に練習できるとは。ブレックスでプレーするチャンスも何回かあったから。
及川 はい。
多嶋 すごい濃密な2年間だった。きつかったけど。
及川 画期的なシステムでしたよね。遠藤だってコールアップされてずっとブレックスにいるし、あそこでやってた子たちはまだみんな頑張ってる。
多嶋 Dのメンバーはすごいね。
及川 今じゃいろんなとこにいますよね。やってないのは俺と石川(裕一)さん? 俺は一応、仮にも3x3をやってるか。
多嶋 でもイシもコーチやってるし。
及川 そうっすね。笠原(大史)さんも、みんなやってますもんね。鳴海(亮/現越谷アルファーズ)さんもやってるし。全然関係ないですけど、鳴海さんが結婚しましたっていうのが越谷の新聞に載ってて。
多嶋 知らなかった(笑)。
及川 めちゃくちゃどうでもいいんですけど(笑)。そこら辺のときの人たちって、連絡は取ったりするんですか?
多嶋 そうね。ツカちゃん(大塚裕土/現川崎ブレイブサンダース)は一個上で。連絡取るってほどでもないけど、試合で会う機会は多いし、会ったら話す。あと、サメ(鮫島宗一郎/現越谷アルファーズ)とかも、たまに北海道に来てくれて、会ったりする。
及川 そうなんすね。
多嶋 あと翔ちゃんは全然会えてないんだけど、たまに連絡取るかな。
及川 ビーコルにいた(細谷)将司(現秋田ノーザンハピネッツ)とか。
多嶋 将司も試合で会えば、いつもどおりのあの感じだよ。
及川 ふーん。
多嶋 でも楽しいよね。昔そういう環境で一緒にやってきたメンバーとB1で戦えるってなかなかないしさ。
及川 そうですよね。その中の人からインタビュー受けたりすることもあるしね。

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この後も、北海道での戦い方や多嶋選手の強さの理由を語ってくださっています。続きは本書をご覧ください。

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