ガンダム・ダイレクトマーケティング
初めに言っておきますが、これはマーケティングにはなんの関係もありません。
***
知り合いに、いわゆるガノタがいる。
ガンオタ、鈍ってガノタ。
彼らの話を聞いていても、てんでさっぱり内容はわからない。わからなすぎて、ふーん、へー…とすらならない。小難しいカタカナと専門用語が飛び交うなか、ほぼ茫然としながら弁当をつつく。
さっきから一向に減らない。
「なあ、閃光のハサウェイみにいこや」
「いいよ」
恋人からの誘いに、何も考えずに反射で答えてしまった。悪い癖だ。
ガンダムなんて1ミリも興味ないよ!!!!!
思わず弁当を投げ捨てそうになった。
ファーストガンダムことRX-78-2ガンダムの見た目が好みではないし、そもそもかの有名なアムロ・レイはどっちがファーストネームなのかすら知らない。
別にロボアニメが嫌いなわけではない。
ダーリンインザフランキスとかプロメアとか、めちゃくちゃハマった。超能力も魔法も好きだが、それと同じくらいロボやメカが好きだ。でもガンダムは知らない。
ガンダムが今まで何シリーズあるのかすらも知らないし、そもそも見ることになぜか抵抗があった。古のオタクだけがわかるネタ…そんな空気を感じていたような気がする。
ファーストガンダムが放映されていた時代に生きていても、私はアムロよりもルパンが好きだったと思う(どちらも1979年の作品である)。
カリオストロの城はガンダムのおかげであまり振るわなかったと聞いたが、私にはそれがなぜだかさっぱりわからなかった。というか今でもわからない。若かりしアムロのあの無鉄砲さは、どうにも私の共感性羞恥を掻き立てるのである。
おおよそ、今のジャンプの主人公たちが、軒並みあり得ない苦しみを人生で抱えているのと同じように、アムロの抱える苦しみや葛藤が少年少女たちの心に響いたのだろうなとは思う。知らんけど。
さて、話を戻そう。とにかく、私はガンダムに1ミリも興味はなかったし、その映画だってどうせ結局見に行くことはないだろうと思っていたのだ。
もうあの時のことはよく覚えていない。
気づけば、私はわざわざ逆襲のシャアを見せられて、あれよあれよという間に映画館の席に座っていたのであった。(あんなに長かったのに、後から小説を読むと全体の本当に序盤でしかなかったことには驚いた。)
そして映画を見終わった後は、HG 機動戦士ガンダム RX-78-2 ガンダム[BEYOND GLOBAL] 1/144を渡されていた。わざわざニッパーまでつけてくれていた。配慮はありがたいけども…。
その後、この話を嗅ぎつけた別のガノタにユニコーンガンダムを勧められた。そしてハサウェイの小説ももらった。これをダイレクトマーケティングと言わずしてなんと言う。こんな手厚い布教は初めて受けた。Twitterでよく見る、漫画を全巻送りつけられた人の気持ちがわかった気がした。
でも……
うーん………
……
好きかも。
普通に好きかも。ガンダム、いいじゃん。
プラモデルもなんか、ちまちました作業が楽しい。私こういう工作的なこと好きだし。
ユニコーンガンダムもめっちゃよかったし…
まあこうなるよね。
金を出すタイプのオタクは沼にハマるとこうなる。仕方ない。お小遣い頑張って貯めた。
みんな!ガンダムはいいぞ!
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