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世の中は渋い

自分の人生初のアルバイトは足場のバイトだった。

新築などの建物を作る際に大工さんなどが使う鉄の足場を作る職人さんの手伝いをしていた。

とにかくこの仕事は本当辛い。

自分は夏休みにバイトをしたのですが、外の炎天下の仕事がこんなにも大変だと知らなかった。

足場で使う鉄の棒が、炎天下を浴びているとアッツアツの鉄板と変わらないので、汗をかいた状態で肩で担ぐと「ジュー…」と焼ける音がしてた。

こんな大変な仕事を日々されている職人さん方はホント尊敬しかなかった。

そんなある日、いつも通りギリギリの体力の中で「辛いな…」と思いながら仕事をしていると職人さんが

「いやー今日の現場は渋い‼︎」と言った。

ん?渋い?

渋いってお茶とか渋柿とは食べた時に言う…

ただこの現場にお茶も柿もない…

一体どういう意味なんだ⁈

当初聞いた時は今までにない表現で理解が追いつかなかった。

渋いって意味を調べてみると

1 渋柿を食べたときなどの、舌がしびれるような味である。「―・いお茶」

2 はででなく落ち着いた趣がある。じみであるが味わい深い。「―・い声」「―・い色のネクタイ」「目の付け所が―・い」

3 不愉快そうな、または、不満そうなようすである。「―・い顔をする」

なるほど、この状況は3番の不愉快って意味に値するのかな?

でも職人さんを見ると笑いながらその時は言っていた。

ってことは不愉快って訳ではなさそうだな…

そのなると1番の「舌が痺れるような味」って事かな?

もう大変すぎて
「今日の現場は舌が渋れるような味の現場!」
って事を言いたかったって事か。

凄く秀逸な表現だな。

ただ辛いなって思うより渋いなって思ってた方が気持ちがなんか楽になる気がする。

なんかカッコいいし、不思議とちょっと心に和みが出来る。

それ以降「辛いな」って思う時は「渋いな」って変換している。

今の世の中辛い事たくさんありますが、そんな舌が渋れるような渋い日々を頑張って生きましょう!

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