AIとお話ししたよ〜俳句におけるchatGPT3.5の活用実験

 最近、chatGPT3.5(無料版)を使うようになってきて、色々遊んでいます。ただ、バージョンのせいもあるのでしょうが、なかなかこれという使い道が確立されません。なんとなく使い方は見ていたので、プロンプトの書き方がわからないみたいなことはないのですが、実務として回せる使い方がまだ見つかっていません。試しに、ガチガチに季語と情景を固めて俳句を作ってもらったら、上五一字空けの566の俳句が出力されました。chatGPTさん、さては、得意分野は俳句じゃなくてhaikuですね。
 今回は、季語との遠い連想を考えるのに、AIを使ってみました。NHK俳句で図示していたツリー方式の連想が連想を呼んで、発想が飛躍する感じをAIはできるのか。苦闘の記録を残しておきます。

AIを用いた発想飛躍実験

(実験の方法)

 chatGPTに「〇〇から連想される言葉を10個挙げてください」と質問します。挙げてもらった10個のリストから、人力で比較的発想が遠いものを選び、また同じ質問を繰り返します。

(実験に使ったもの)

chatGPT3.5(無料版)

(実験結果)

紫陽花→色彩豊か→パレット→調合→実験→ヒューマンガイド→体験豊富→手に入れた(ここで文字数制限)→取得(手に入れた→手に負える

 手詰まりになるまで走ってみました。色彩から、美術、化学と連想が広がり、「実験」まできた時は調子が良かったんですが、ヒューマンガイド(観光ガイドのようなものをchatGPTは説明しています)でまた公園に戻ってからは、連想が滞ってしまいました。「体験豊富」で文字化けを起こし、様子がおかしくなってきて、「手に入れた」の連想の途中で一度文字数制限に引っかかりました。質問内容が固まりすぎているのも、負荷がかかって良くないですね。「体験豊富」で様子をおかしくしたというのも、もしかすると、chatGPTはムッツリなのかもしれません。
 しばし待って、「手に入れた」から再チャレンジしましたが、この辺りで連想が枯渇していき、「手に〜」ばかりになってしまって、遠い発想を見つけられる感じがしなくなったので、「取得」を選んだら、経済(「取得額」)や法律(「取得権」)のような社会用語ばかりになってしまいました。手詰まりを感じたので、一手戻して、文学的な発想を期待して「手に負える」という言葉でも走らせてみましたが、出てくる言葉はまたも「手に〜」ばかりで、連想の言葉が6個で止まってしまいました。これ以上の連想は難しいと考え、ここで打ち切りました。

(実験の考察)

 俳句を詠むときに行う、発想を飛ばすという作業をLLMを用いて試みましたが、日頃、俳句を詠む時に発想を飛ばしている感覚とは異なり、発想の広がりを感じることがなく、光速で進んでいる情報に質量が伴ったような感覚を覚えました。類語辞典で発想の飛躍を試みた人なら経験があるでしょうけれども、進んでいるようでちっとも先に進まない牛歩的な感覚です。
 何故、人間の発想はこんなに飛躍するのかと思いますが、例えば、忘れたり、事実を都合の良いことに書き換えたりするなど、情報処理が雑だからということがあるのかもしれません。もしくは、言語情報以外の情報に拠るところがあるのかもしれません。例えば、視覚、味覚、嗅覚、触覚など、感覚器官での連想や、記憶やこだわりに収束する連想などでしょうか。
 良くも悪くも、人間は意味という言語上の約束に囚われておらず、発想の飛躍という作業に限っては、軽薄でテキトーな方が良いということかもしれません。

(応用めいたこと)

 人間の連想の仕方は、過去を振り返る時は連想が収束的になりやすく、現在や未来に働きかけようとする時は、拡散的に連想が働くことが多いと思います。テーマを深めるか広げるかを考えた時でも、どちらが良いとか悪いではなく、一つのことにこだわる時はテーマが深まるし、色々なことに発想が飛ぶ時はテーマが広がります。
 今回は人力で発想を飛ばしてきましたが、意味を中心に据えた発想は、発想の広がりより発想の深まりに強く作用するものなのではないかと思いました。もちろん、人間でも、発想を広げようとしているうちに、どこかのタイミングで堂々巡りになってしまうことがあります。AIと人間で、意味が軸になるか、記憶やこだわりが軸になるかの違いはありますが、最初は広がって、徐々に深まっていくような連想の動き方は似ているのかもしれません。
 連想を広げるのを頑張っていたAIが、最後、同じような言葉に収束する時は、AIが鬱になったように見えました。意味の深まりの兆しでもあるのですが、こだわりにも見えるわけで、考えてみれば不思議なものです。

(余談)

 何度か同じキーワードで質問したのですが、答えを出す時は、ほとんど同じ答えは出すのですが、全く同じ答えは返さないのですね。これでは再現実験ができないですね。まあ、そもそも個人の審美眼が入っている時点で客観的な方法ではないから、そこまで気にしなくても良さそうですが……。

 この実験には第1回目の実験があったのですが、最初の連想実験のときは、質問文に最初のキーワード(今回の実験でいうところの紫陽花)を残してしまって、せっかく連想を広げても、言葉の群が最初のキーワードに収束してしまいました。ただ、キーワードの斡旋次第では、たくさんの連想を出力することができて、連想ゲームが作れるという期待ができます。作問にお困りのレクリエーション担当の方、お試しあれ。

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