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国連の良心的兵役拒否のパンフレット和訳

こんにちは。
散歩の時にキンモクセイのいい香りがする季節になりました。
さて、ロシアではプーチン大統領が兵役拒否者に厳罰を科す刑法改正案を承認したり、お隣の国の韓国では超人気アイドルのBTSのメンバーが順次兵役について再びメンバーが全員揃うのは2025年頃になりそうだとか、兵役という社会制度について世界にはバラエティに富んだ法と慣習があることが伝わってくるニュースを見聞きする昨今ですが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。

国防の一端を担うという大切な義務を果たすのは確かに尊いことですが、昔から自らの思想や良心に従って兵役に就くことを拒否する人々は少なからず社会に存在していました。
そうした行為を良心的兵役拒否/Conscientious objection to military serviceと呼び、そうする人のことを良心的兵役拒否者/Conscientious objectorと呼びます。実は国際連合は徴兵制を採用している国々に良心的兵役拒否の権利を保障するように勧告していて、特に21世紀に入ってから人権理事会は積極的に意見募集を通じた実態調査をして分析レポートを公表し、2013年には兵役拒否の権利を擁護する法理論についてまとめた90ページの小冊子も発行されています。
さて、2021年の11月18日にそうした一連の活動の成果として良心的兵役拒否とはどのような権利とみなされるべきかA4一枚にまとめたパンフレットが発行されていました。他の国連文書と違い英語版しかないみたいですが、短いものなのでDeepLの力を借りて訳してみました。ご笑覧ください。

英語版は下のリンク先でPDFをクリックしてダウンロードしてください。

国連のHPなのでジッサイ怪しくない

良心的兵役拒否

「殺人を拒む権利は全面的に認められなければならない」
ナイジェル・ロドリー卿、自由権規約人権委員会の前議長

  1. 良心的兵役拒否の権利は思想・良心の自由、信教の自由に基づくものである。(市民的および政治的権利に関する国際規約の第18条)

  2.  情報の利用可能性:兵役の影響を受けるすべての人は良心的兵役拒否の権利および兵役拒否者の地位を得るための手段に関する情報を入手することができるべきである。

  3.  申請手続きへの費用のかからないアクセス:良心的兵役拒否者としての資格を申請するための手続きは無料であるべきで、手続き全体のいかなる部分にも費用がかからないようにすべきである。

  4.  申請手続きは兵役の影響を受けるすべての人々が利用可能であるべきで、それらの人々には徴集兵、軍隊の職業軍人、予備役が含まれる。

  5.  選択的良心的兵役拒否:異議を唱える権利は平和主義者にも、ある状況では武力行使が正当化されるが、別の状況では正当化されないと考える選択的拒否者にも適用される。

  6.  非差別的:代替サービスの手配は、彼らの信念が宗教的であるか非宗教的かの性質による差別なしにすべての良心的兵役拒否者が利用できるようにすべきである。

  7.  申請には期限を設けない:兵役開始前、兵役中、兵役後のどの段階でも異議申し立てができること。

  8.  国際法上、照会は必要ない:人権理事会は、一部の国が良心的兵役拒否の申し立てを調査手続きなしに有効なものとして受け入れている事実を歓迎した。

  9. 査問のプロセス:良心的兵役拒否の申し立てを調査手続きなしでは有効と認めない国は、文民当局の完全な管理下にある独立かつ公平な機関を設置すべきである。

  10. 誠実さ:申請手続きは合理的かつ適切な基準に基づくべきであり、申請者を自動的に失格とするような種類のどんな条件の設置も避けるべきである。

  11. 適時性:良心的兵役拒否の主張の検討プロセスは適時であるべきで、武器を持つことを伴うすべての職務は、その決定があるまで停止されるべきである。

  12.  不服申し立ての権利:良心的兵役拒否者の地位に関するいかなる決定の後にも、独立した民間の司法機関に上訴する権利が常に存在するものとする。

  13.  繰り返される裁判や処罰を受けないこと:良心的兵役拒否者は、再度の兵役命令に従わなかったことを理由に、繰り返し処罰されるべきではない。

  14. 投獄された良心的兵役拒否者の釈放:国家は、兵役に対する良心的兵役拒否にのみ基づいて投獄または拘禁されている個人を釈放すべきである。

  15.  代替勤務は、良心的兵役拒否の理由に適合し、非戦闘員または民間人としての性格を持ち、公共の利益に適い、懲罰的な性格を持たないものでなければならない。

  16. 代替勤務の許容される期間:兵役期間より長い期間は、代替勤務のための追加時間が合理的かつ客観的な基準に基づいている場合にのみ許される。

  17.  良心的兵役拒否者の個人情報は国によって公にされず、彼らの犯罪記録は抹消されるべきである。

  18. 表現の自由:良心的兵役拒否者を支援する者、または良心的兵役拒否の権利を支持する者は、表現の自由を十分に享受することができる。

詳しくは、良心的兵役拒否に関する国際連合人権高等弁務官事務所の報告書をご覧ください。(A/HRC/35/4 および A/HRC/41/23


以上です。
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