04「ハエが浮かんだスープ」ただしい人類滅亡計画―反出生主義を考える―

 計10人の人間たちは、自らの暫定的な立場を明らかにした。

滅亡賛成……ブラック、ブルー
滅亡反対……イエロー、オレンジ、ホワイト、レッド、ゴールド
保留……パープル、シルバー、グレー

 魔王が見守る中で議論が始まる。

この世界は不幸で満ちている

レッド:
 さて、ブラックくん。君は「人類は滅ぶべき」などと大見得を切ったからには、その理由を説明できるんだろうね? まずはそれを聞かせてもらいたい。

ブラック:
 むしろ俺は「なぜ人類が滅ぶべきではないのか」を教えて欲しいくらいだ。

シルバー:
 まあまあ。客観的に見て「人類が滅ぶべきでない」という意見を持つ人の方が少数派なのは確かですから、ブラックさん率いる滅亡派が理由を説明するのが自然では?

ブルー:
 あのう、ブラックさん。僕も滅亡派なんですけど、僕の考える理由を言ってもいいですか?

ブラック:
 好きにすればいい。

ブルー:
 いま、ブラックさんが「なぜ人類が滅ぶべきではないのか教えて欲しい」って言いましたけど、僕もそんな感じはずっとしてるんです。いや、そこまでハッキリ考えてたわけではないんですが。

 世の中ってすごくつらいことが多いし、不幸な人がたくさんいるじゃないですか。戦争とか貧困とかイジメとか、イヤなことを数え上げたらキリがない。僕はいつも、どうしてこんな世界に生まれてきちゃったんだろうって思ってます。人類は有史以来そんな過ちを繰り返し続けている。そんな世界、いっそ滅んでしまった方がいいような気がするんです。

シルバー:
 ブルー君はずいぶんなペシミスト(悲観論者)なんだね。

オレンジ:
「過ちを繰り返す人類は滅ぶべき」……まるでRPGゲームの魔王が言いそうなセリフだな。

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