ある大手企業の工場を救った、MRシステム制作秘話 【複合現実】
こんにちは!
企業の工場システムの受託開発や、AR・VR・MR・AI技術を使用したシステム開発を行っている株式会社connect 代表の清野大輔(せいのだいすけ)と申します。
今回は弊社の事業のひとつ、MRを使ったシステム開発を行った時のことについてお話します。
そもそも、MRって何?
MRは、Mixed Realityの略で、日本語で「複合現実」と訳されます。
その名の通り、現実世界と仮想現実を組み合わせる技術です。
ARのように単純に現実世界へデジタル映像を投影するのではなく、現実世界の中に仮想世界の情報や映像が「まさにそこにあるように」存在させることができます。
ヘッドマウントディスプレイのような専用機器を使用するので、「VRと何が違うの?」と思う方も多いかと思います。MRの専用機器は視界全体を覆うVRとは違い、メガネのようにレンズが半透明になっていて、これを通じて仮想世界の情報や映像を操作することができます。
たとえば、手術室で、オペに関わる人が数人いたとして、全員が同じ患者さんの心臓モデルについて、それぞれの角度からの視点で見る、なんてこともできます。
大手製造会社の工場を救ったMRシステム
工場での手作業をシステム化できないか?
今回の話は、大手製造会社から、「工場の煩雑な手作業を効率化したい」という相談をいただいたことから始まりました。
お困りごと
煩雑になっていたのは、管理者の管理のもと、仕事を請け負っている作業員が、指示書に沿って原料を投入していきます。
原料・投入口はいくつも存在し、うっかり間違ったものを入れると大変なことになってしまいます。
下請けの業者は短期間で変わることもあり、いちいち説明するのは一苦労。
そこで、新しく入った人でも作業のやり方がわかるシステムをつくり、教える手間をなくしたい、という相談をいただきました。
驚くほどアナログだった確認作業
投入作業そのものも煩雑でしたが、管理方法についても、アナログで煩雑な状態でした。
これだけフローを重ねても、残るのは紙切れ1枚。
下請けの人が本当に正しい行動をした証拠にはなっていませんでした。
プロジェクト開始!
上記の課題を解決するために、プロジェクトは始まりました。
つくるのは、簡単に言うとこんなシステムです。
ヘッドマウントディスプレイをつけると、空間に指示書が表示される
作業が終わると、作業内容が自動で指示書に貼付されるため、報告書の役割も果たす
私はシステムをつくるプロジェクトマネージャーとして、企画・設計・マネジメントを担いました。
開発期間は約半年です。
完成したシステムは…
MRを活用し、どんなシステムができたのか?
工場での作業員になった気分で読んでみてください。
※実際の工場を別の場所で再現しています
1.指示書をもらう
2.原料をピックアップしに行く
3.運んできたものが合っているか確認
原料を投入口に持っていく
誤った投入口に向かうと…
正しい投入口を発見!
最後に指示書をもう一度確認
投入完了!
ひとつの流れは30-40分で終わります。
これを繰り返すだけで、作業者の仕事は進んでいきます。
ちなみに、すべて音声でも指示が聞こえています。
▼システム利用の様子を動画にしました。
どのように表示されるのか、よりわかりやすいかと思います。
上長が確認するのもラクラク
一連の流れを終えると、自動的に作業報告書が作成され、もちろん企業側で自由に見ることができます。
それまで、作業完了を確認するたびにいちいち手で押していた印鑑も、電子印にしたことで管理が圧倒的にラクになりました。
提案時の難題
提案するとき、ひとつ大きな難題がありました。
それは「インターネットが使えない」ことです。理由は、外部に企業の情報を漏らさないため。
システムとの連携にWIFIが使えないので、工場内にローカルで通信システムを組みました。
なぜ、大手企業から依頼が?
この案件は、とても規模の大きい企業からの依頼でした。
なぜ、中小企業の弊社が、大手企業のシステム開発を行うに至ったのか、気になる方もいるかもしれません。
実は、この案件の少し前にものづくり補助金が採択され、千葉県の雑誌・記事で取り上げられたようで、それを見て連絡してくれたそうです。
最終的に、予算内に収め、期日にも間に合わせて納得の行く仕上がりのシステムを納品することができました。
弊社だからできること
少しでもMRに興味を持ってもらえたでしょうか。
弊社が行うことは、基本的にはこの3つです。
お客さんがやりたいことを聞き、吸い出すこと。
それを、今ある技術を使って具現化できる方法を提案すること。
できなければ、新規開発すること。
シンプルですが、この提案と企画設計を、私の長年の経験から的確に出来ることがうちの会社の強みです。
さらに思い描いたことを具現化できる協力会社やチームとのつながりもあります。
ジャンルは問いません。もし、「開発したい、つくりたい」というものがあれば、相談してもらえたらなにかお手伝いはできるかと思います。
▼お問い合わせはお気軽にどうぞ。