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完成品を見直すということ

僕はパンが好きです。

思い出のパン屋さん

最近行けてませんが、一昔前は東横線沿線に住んでいたこともあり、目黒世田谷あたりのパン屋さんは網羅したものでした。
中でも一番好きだったパン屋さんは、学芸大学のラ・ブランジェリーピュールだったのですが、久しぶりに伺ったら閉店してしまっていて、とてもショックでした。あのお店のデニッシュ系のパンは衝撃的で、未だにそれを超えるデニッシュ系パンには出会えていません。
ご主人はどこかでまだ作られているのでしょうか。また食べたいです。本当に。

という思い出もありつつ。

革新的なコンビニパン

僕には子供の頃から好きだった一つのパンがあります。
とは言っても、僕は北海道のド田舎出身なので、どこどこにある何とかっていうパン屋さんのコレ!

というシャレたものではなく。

普通のスーパーで売られているものでした。

で、答えから言ってしまうと、そのパンはこちらです。

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共感してくださる方も多いはず。
北海道ではニューラウンディ(ニチリョウさん)が主流でしたが、東京では同じ感じでミニスナックゴールド(ヤマザキさん)という商品ををよく見かけます。

要はデニッシュ生地をねじりながら、中心から円形に巻いたものに、アイシング(あの砂糖の塊)をしたパンです。

これが好きでした。今も好きです。

なかでも、特に端(外側)が好きでした。
いい意味でのパサパサ感が、デニッシュ好きにはたまらないわけです。

渦の形状にしてしまうと、中心部に行けば行くほど、どうしても「しっとり」してしまう。

しっとり系が好きな方もおられるでしょうが、僕はどうしてもパサパサ派。中心に向かっていくほどテンションが落ちて行ったことを覚えています。

そんなモヤモヤを抱えながら、18にして上京。

「あ、こっちはラウンディじゃなくて、ミニスナックゴールドという商品なのね~。ふむふむ。。。」

なんて思いながら食べ過ごしていました。

そんなある日、こちらも北海道ではお目にかかれなかったコンビニ「ファミリーマート」(2013年から北海道初出店)に立ち寄ったところ、ぼくは昇天しかけました。

そこにおいてあったパンがこちら

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誰もが一度は見たことがあるでしょう。このパン。
今やロングセラー商品となった、このロングパターデニッシュ。

しかし、見てくださいこのフォルム。。。

お気づきでしょうか?


全部 「端」 なんです。


いやいや、これは鳥肌モノでした。

今までの僕の悩みを一瞬にして吹き飛ばした佇まい。
渦状だったものを0型にすることで、しっとり部分を作らず、パサパサ食感を最後まで損なわない、まさに革新的なデザイン。

即買いで食べましたが、期待通りパサパサ。

おそらく開発した人は、僕とおんなじモヤモヤを持っていたのかもしれません。

名も知らぬその開発者さんに敬意を込めて、袋の中にたまったアイシングのかけらもひとつ残らず食したのでありました。

ありがとうファミマ!ブラボー!

見直しの大切さ

そうしても新しいものを求めがちですが、過去の商品の中にも見えていない余白、価値が残っている。
ちょっとした変更だったと思います。同じ素材、味でも形状を変えることでこれだけ美味しくなる。非常に勉強になった出来事でした。

今や定番商品である、日清カップヌードルも本当に微妙なマイナーチェンジを繰り返して消費者を離さないようです(ヘルシーかどうかは別として)。

僕も作品を作り上げたときは、完成した!と思ってしまいます。
しかし「完成する」ということは、無いということを思い知りました。
自分が作る作品も、発表して完成!ではなく、あくまでその先の目標への道程なのだと改めて気づかされます。

歩みを止めないようにしなければ。このロングバターデニッシュを戒めとしよう。


余談ですが、このパンが好きな人は、ルマンドも好きなはずです。



おしまい。

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