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NHKの大学広報ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』がとても良かった話

リアルタイムで見逃していたものの非常に気になっていて、昨夏にようやくNHKオンデマンドで全5回観れました。
「令和3年度(第76回)文化庁芸術祭 テレビ・ドラマ部門 大賞」も受賞されているそうですね(無駄に権威付け)。
そんなところちょうどNHKで見逃し配信がされておったので2回目を見てしまっておりました。

松坂桃李さん演じる真が、アナウンサーから大学広報に転職したところから始まります。とても良いキャラ。
広報が主人公のドラマということで観てみたのですが、社会課題や組織の闇にまで幅広く切り込んでいて、さすがのNHKでございました。

「好感度」というキーワードも秀逸。
直近、個人的に『孤独のグルメ』ブームも起きていたので、松重豊さん演じる大学総長もとても良かった◎

孤独のグルメでの松重さんと雰囲気が違い過ぎてよかったです。

「意味」と「好感度」

主人公の真は、「好感度」を下げないために徹底して「意味」のあることを言わないというスタンス。

危機管理広報のプロの方が、不祥事の記者会見では「なるべくつまらなくする」ことがポイントだとお話されていたことを思い出しました。
パブリシティを獲得したい(記事として情報を掲載いただきたい)場合、制作者に興味をもっていただけそうな「意味」を提示することがポイントになるので、逆の話ですね。面白くなければ記事の作りようが無いと。

日常会話の中でも「意味」を持った発言をするということは自分の立場を示すことでもあります。
これは、反対の意見を生む可能性もあり、すなわち「好感度」が下がってしまう可能性もはらんでいるのです。
私もわりと好感度追求型人間だと思うので笑、振り返るとなんとなく「意味」を持たない(持たせないようにしてしまっている)コミュニケーションって多いかもなぁと思いました。

なんの改善も必要なく、完璧で快適な世界だったら終始このスタンスで良いのでしょう。残念ながらそうでもなかったりするわけですよ。

作中で引用されていた、キング牧師の名言が印象的でした。

「問題に対して沈黙するようになった時、我々の命は終わりに向かい始める。そして最大の悲劇は悪人の暴挙ではなく、善人の沈黙である」

「好感度」を気にするあまり、本当は向き合わなければいけない課題や問題に対して目を背けてしまい、「意味」を持たないコミュニケーションに逃げて蓋をしているということは、個人でも組織でも無意識的におこりがちなのかもしれないなぁと、なんかそんなことを考えさせてくれる、とても素敵な作品でした。

幸いありがたいことに、危機管理の最前線を体験したことが無いのですが、
「もし自分がこの立場だったらどうするんだろう?」と考えるといい感じに胃が痛くなる場面が多かったです。笑
コメディ要素もちょこちょこはいっている気がしており、広報関係なく、ドラマとしても楽しめる作品かと思いますので、皆様是非に!

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