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【完全解説】子どもの偏平足:家庭でできる3つの予防法

お子さんの偏平足に悩んでいませんか?私も一児の父として同じ悩みを抱えていたため、その気持ちはすごくよくわかります。

このような悩みに対して、私は10年以上の療育センターで勤務する理学療法士として、子どもの偏平足の予防と改善の方法を模索してきました。

この記事では、子どもの偏平足の定義や特徴、原因について詳しく説明します。家庭で簡単にできるチェック方法や、効果的な予防・改善のための運動、そして医療機関での評価と治療方法も具体的に紹介します。

この記事を読むことで、偏平足に対する理解が深まり、日常生活での適切な対応方法が身につきます。偏平足の早期発見と対策は、お子さんの将来の健康に大きな影響を与えます。ぜひ最後までお読みいただき、実践してみてください。

1. 子どもの偏平足とは?

1.1 子どもの偏平足の定義と特徴

 偏平足とは、足のアーチ(いわゆる土踏まず)が正常に形成されず、足底が平らになる状態を指します。足のアーチは歩行や立つときの衝撃を吸収し、足の力を適切に床に伝えるために重要な役割を果たします。

 子どもの場合、発育段階で一時的に偏平足になることが一般的です。これは、足の筋肉や靭帯がまだ発達していないためです。ほとんどの子どもは、成長とともに足のアーチが形成され、自然に偏平足が改善されます。しかし、稀に成人期まで持続する場合もあります。
 
 偏平足の程度が強い子どもの中には、立っている時の足を後ろから見たときに、踵が内側に大きく倒れている子がいます。このような状態は外反偏平足と呼ばれます。将来的に疲れやすさや足の痛みに繋がる恐れがあるため医療機関への相談をおすすめします。

1.2 子どもの偏平足の原因

 偏平足の主な原因としては、以下が考えられます:

  • 遺伝的要因: 家族に偏平足の人がいる場合、その子どもも偏平足になるリスクが高くなります。これは靭帯や関節などの骨格の構造や筋肉の柔軟性が遺伝による影響を受けるためです。

  • 疾患による要因:脳性麻痺や二分脊椎、ダウン症などの子どもは疾患の影響で靭帯の弛緩性や関節の過可動性、筋力の弱さを有していることがあり、これらの要因が外反偏平足を引き起こすことがあります。

  • 関節の過度な柔らかさ: 関節の過可動性を持つ子どもは足のアーチが崩れやすくなります。

  • 下腿三頭筋の硬さ:アキレス腱を構成する下腿三頭筋が硬いと、体重が加わった際に距腿関節の背屈が制限されるため、これを補うように踵骨が外反します。これによって外反偏平足を引き起こすことがあります。

  • 筋力の弱さ:内側縦アーチを支える機能を持つ足底筋膜や、足趾屈筋群、前脛骨筋、後脛骨筋、下腿三頭筋などの筋力が弱いと足のアーチが崩れやすくなります。

  • 過体重:体重が重いと、足にかかる負荷が増加し、偏平足の発生リスクが高まります。

  • 足に合わない靴の使用:足に合わない靴を履くことで、足のアーチに過度の負担がかかり、偏平足を引き起こすことがあります。
     
     偏平足の原因は多岐にわたり、先天的要因と環境的要因の両方が影響します。適切な対策を講じることで、子どもの足を良い状態に維持し、将来的な問題を未然に防ぐことができます。

1.3 子どもの偏平足の詳細

 足のアーチには内側縦アーチと外側縦アーチ、横アーチの3つがあります。この中で足の内側縦アーチが低下した状態を偏平足と呼びます。これに加えて踵が内側に倒れた(外反)状態を外反偏平足と呼びます。以下に、外反偏平足の病態とその影響について詳しく説明します。

①内側縦アーチの低下
 内側縦アーチは、足の内側にあるアーチで、足部の構造的な支持と衝撃吸収を担っています。外反偏平足では内側縦アーチが低下し、いわゆる土踏まずが地面に近づくか完全に消失します。内側縦アーチの低下は、アーチを支える靭帯の弛緩や筋力の低下によって生じると考えられています。

 内側縦アーチは足根骨(踵骨、距骨、舟状骨、楔状骨、第1~3中足骨)と、それを支持する靭帯(足底腱膜、長・短足底靭帯、底側踵舟靭帯など)によって維持されています。これらの靭帯が弛緩するとアーチが崩れやすくなります。

 内側縦アーチは足底筋膜や、足趾屈筋群、前脛骨筋、後脛骨筋、下腿三頭筋などの筋によっても支えられています。これらの筋力が低下するとアーチが低下します。

②踵骨の外反
 
踵骨の外反は踵骨が内側に倒れる(外反)状態を指します。これに伴って踵骨の上に位置する距骨も内側に傾斜します。
 
 距骨と踵骨の間に位置する関節を距骨下関節と呼び、足の可動性と安定性を調整します。この関節の不安定性が生じると荷重下において距骨が踵骨から滑り落ちるように内側に変位し踵骨が外反します。

 距骨の内側傾斜によって距骨頭や舟状骨が内側に突出し、足部の内側に圧力がかかりやすくなります。これが足部の内側の痛みに繋がる危険性があります。

③前足部の外転と外反母趾
 外反偏平足では前足部が後足部に対して外側を向く(外転)ことがよく見られます。また、荷重時に母趾の外側が床に押されるようにして内側を向く(外反)こともあります。これにより外反母趾が生じることがあります。

 外反偏平足は、足の内側縦アーチの低下と踵骨の外反が複合的に起こる状態であり、これにより足の機能や構造に複雑な変化を引き起こします。靭帯の弛緩、筋力の低下、距骨下関節の不安定性などが主な要因となります。これらの変化は、足部だけでなく膝や股関節、腰など全身に影響を及ぼすことがあるため適切な評価と治療が必要です。

2. 子どもの偏平足の症状

2.1 一般的な症状

 偏平足の一般的な症状は、足や足首の痛みと疲れやすさです。

 偏平足では、足のアーチが低下しているため、足底の筋肉や足部を構成する関節や靭帯に過度な負担がかかります。また、足の内側の突出部に圧力がかかりやすくなります。これらにより、足や足首に痛みが生じやすくなります。
 足のアーチが低下しているため、足部での衝撃吸収が不十分になります。体に加わる衝撃を足部以外の部分で支える力が余分に必要となります。また、足部の不安定性に伴って足の力が床に伝わりにくいために、同じだけの距離を歩く場合でも偏平足のない場合よりも多くの力が求められます。これらにより、長時間の立位や歩行で足が疲れやすくなります。

2.2 進行した場合の影響

 偏平足の症状は進行すると、足以外の関節にも影響を及ぼし、歩き方や姿勢の悪化に繋がります。

膝関節: 下腿が内に倒れることで内側の膝関節に負荷がかかり、膝関節の痛みを引き起こす可能性があります。

股関節: 膝が内を向くように股関節が内旋することで股関節の前面に負荷がかかり、股関節の痛みを引き起こす可能性があります。

腰: 膝や股関節のアライメントの変化が骨盤や腰椎へと影響し、腰痛を引き起こす可能性があります。

 早期に適切な対策を講じることで、症状の進行を防ぎ、足を良い状態に維持することが重要です。

3. 家庭でできる子どもの偏平足への対策

3.1 家庭での偏平足のチェック方法

 足のアーチの有無を確認するための方法はいくつかあり、家庭でも偏平足かどうかをある程度判断することができます。早期に気づくことで、適切な対策を取ることができます。子供の偏平足を家庭でチェックする方法として、以下の方法が役立ちます。

1. 足のアーチの確認
方法:
子供が立った状態で、足の内側を観察します。土踏まず(内側縦アーチ)がしっかりと形成されているかどうかを確認します。
ポイント: 土踏まずが見えず、足の内側が完全に床に接している場合は、偏平足の可能性があります。

2. ぬれた足跡の観察
方法:
子供の足を水でぬらし、濡れた足で紙の上を歩かせます。足跡を観察して、内側縦アーチの形状を確認します。
ポイント: 足の内側が広く濡れている場合、偏平足の可能性があります。

3. 踵の内側への倒れ具合の確認
方法:
子供が立った状態で、後ろから踵を観察します。踵が内側に倒れているかどうかを確認します。
ポイント: 踵が内側に大きく倒れている場合、外反偏平足の可能性があります。

4. 外転足と外反母趾の確認
方法:
子供が立った状態で、子供の足の指の向きを確認します。親指から小指までの指が外側(小指側)を向いているかどうかを確認します。
ポイント: 親指が外側に曲がっている場合、外反偏平足に伴う外反母趾の可能性があります。人差し指から小指までが外側をむいている場合、外転足の可能性があります。

3.2 適切な靴選びのポイント

 適切な靴を選ぶことは偏平足の予防に重要です。以下のポイントを参考にしてください。

  • 踵の素材がしっかりしている: 踵をしっかりと支える部分(ヒールカウンター)がある靴を選ぶことが重要です。靴のかかと部分を強めに挟んだ時に潰れるような靴は踵の支えが不十分です。

  • 指の付け根の位置で靴が曲がる:靴が曲がる位置と足の指が曲がる位置が一致していることが重要です。靴を前後から押したときに靴がつま先から見て約3分の1の位置(足の指の付け根)で曲がる靴が良いでしょう。全く曲がらない靴や靴の真ん中の位置で折れ曲がるような靴では靴底の剛性が不適切です。

  • つま先に1~1.5㎝余裕がある:爪や足趾を圧迫しないことが重要です。靴をしっかりと履いた時(踵が靴の奥に入っている時)につま先側に1~1.5㎝の余裕があるものが良いでしょう。この余裕が5㎜以下になれば買い替えを検討しましょう。足趾が曲がったり内側に押されるような靴はサイズが不適切です。

3.3 自宅でできるケア方法:偏平足の予防に役立つ運動3選

 偏平足の予防や改善のためには、足や足趾を強化し、距腿関節の可動性を高める運動が効果的です。

 運動を通じて、足の筋を強化しアーチを維持する力を高めることができます。また、適切な部位の柔軟性を高めることで、足の動きが改善され、偏平足の予防につながります。以下の3種類の運動を行ってみましょう。

①足を強化する運動

1. つま先歩き
方法:
 踵を上げてつま先で立ち、そのままゴールまで歩きます。
効果: 下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)を強化します。

2. かかと歩き
方法:
つま先を上げて踵のみで立ち、そのままゴールまで歩きます。
効果: 前脛骨筋(すねの筋肉)を強化します。

3.足の外側歩き
方法:
足の内側を上げて足の外側のみで立ち、そのままゴールまで歩きます。
効果: 後脛骨筋(ふくらはぎの奥の筋肉)を強化します。

4.柔らか床歩き
方法:
裸足で砂などの柔らかく適度に凸凹した床の上を歩きます。砂浜や砂場で行うのが理想的です。
効果: 足底内在筋(足の裏の筋肉)や足部の内返し筋群を強化します。

5. 背伸び遊び
方法:
背伸びをしてパズルのピースや、玉入れのボール、マグネットなどを手に取り遊びます。
効果: 下腿三頭筋を強化します。

6. 連続ジャンプ
方法:
輪の中を両脚で連続ジャンプします。慣れてきたら、ケンケンパやケンケンのみで輪の中を飛びます。縄跳びなども良いでしょう。
効果: 下腿三頭筋の筋力と筋力発揮のスピードを高めます。

②足趾を強化する運動

1.タオル握り運動
方法: 床にタオルを置き、椅子に座ります。つま先でタオルをつかみ、引き寄せます。数回繰り返します。
効果: 足底内在筋や足趾屈筋群を強化します。

2.ピアノ弾き運動
方法: 座った状態で足を床に置きます。つま先を使って音の鳴るおもちゃのボタンを押します。つま先を上げて下ろす動作を繰り返します。
効果: 足底内在筋や足趾屈筋群を強化します。

3.おもちゃ拾い上げ運動
方法: 足の指で小さな物(ビー玉やペン、小さなおもちゃ)を拾う動きをします。指を曲げて持ち上げる動作を繰り返します。
効果: 足底内在筋や足趾屈筋群を強化します。

③足部の適切な柔軟性を高める運動

1.アキレス腱ストレッチ
方法: 壁に手をついて立ち、片足を後ろに伸ばします。後ろ足のかかとを床につけたまま前膝を曲げ、アキレス腱を伸ばします。左右交互に行います。
効果: 下腿三頭筋の柔軟性を高め、距腿関節の可動性を改善します。

2.ボールロール
方法: 座った状態で足のアーチの下に小さなボール(テニスボールなど)を置きます。ボールを前後に転がします。
効果: 足底筋膜や足底内在筋の過緊張を抑え、適切に働きやすくします。

 これらの運動は、足の筋力を強化し、偏平足の予防に役立ちます。日常生活に取り入れて、健康な足を保ちましょう。

4. 医療機関での子どもの偏平足の治療

4.1 医療機関での評価方法

 医療機関では、医師や理学療法士によって以下のような方法で偏平足が評価されます。

①視診
靴の摩耗状態の確認:
靴底の摩耗パターンを確認し、偏平足による異常な摩耗がないかを調べます。偏平足の場合、靴の内側が大きく削れます。
視診: 内側縦アーチの高さ、踵骨の外反、前足部の外転、母趾の外反を確認します。これらの観察は立位と歩行時に行います。

②下肢のアライメント評価
大腿骨前捻角:
大腿骨の内への捻じれの角度を評価します。
膝関節の内外反: 膝関節の内反(いわゆるO脚)と外反(いわゆるX脚)を評価します。
下腿のねじれ: 下腿の骨のねじれの角度を評価します。
脚長差: 両脚の長さの差を評価します。

③関節可動域測定
足関節底背屈可動域(距腿関節の可動性)の評価:
足関節の底屈(足を下げる動き)と背屈(足を上げる動き)を評価します。
足関節内返し外返し可動域(距骨下関節の可動性)の評価: 足関節の内返し(足を内側に倒す動き)と外返し(足を外側に倒す動き)を評価します。
足趾屈曲伸展可動域の評価: 足趾の屈曲(曲げる動き)と伸展(伸ばす動き)を評価します。
股関節内外旋可動域の評価: 股関節の内旋(内側に捻る動き)と外旋(外側に捻る動き)を評価します。
下腿内外旋可動域の評価: 下腿の内旋(内側に捻る動き)と外旋(外側に捻る動き)の可動域を評価します。

④筋力測定
 
可能であれば徒手筋力検査によって足の筋力を測定します。難しい場合は以下のような方法で筋力を推定します。
足趾屈曲筋力:立位で前方への重心移動に対する足趾屈筋群の姿勢反応の程度を観察。足趾でお手玉などの握りやすいおもちゃをつまみ上げられるかを確認。
足関節底屈筋力:立位で前方への重心移動に対する下腿三頭筋の姿勢反応を観察。上方のおもちゃを踵を上げて背伸びして手に取れるかを確認。つま先歩きができるかを確認。
足関節背屈筋力:立位で後方への重心移動に対する前脛骨筋の姿勢反応を観察。踵歩きができるかを確認。
足関節内返し:タンデム立位や片脚立位で側方への重心移動に対する足部内返し筋群の姿勢反応を観察。立位で足部の内側を持ち上げて足の外側のみで歩けるかを確認。
股関節外転と外旋筋力:歩行時の骨盤の遊脚側の降下や、立脚側への体幹傾斜の有無を観察。骨盤と体幹を水平に保ったまま横歩きができるかを確認。低い台からの立ち上がりと着座の際や段差を上り下りする際に膝が内側に倒れないかを確認。

⑤評価指標を用いた検査
Foot Posture Index (FPI-6):
視診に基づいて足のアライメントを評価します。6つの項目(距骨頭の触診、外果上下方の曲線、踵骨の前額面上の位置、距舟関節の凹凸、内側縦アーチの形態・適合性、後足部に対する前足部の内外転)を-2から+2の範囲でスコアリングします。スコアが高いほど偏平足や外反足の程度が大きいことを示します。
Leg-Heel-Angle (LHA):脚(leg)と踵(heel)の角度を測ることで踵骨外反の程度を定量化します。LHAの正常値は3~5°(軽度外反)です。
Staheliアーチ指数: 足跡の最狭部の幅を測定し、足の最広部の幅で割った値です。高い値は偏平足を示唆します。
Chippaux-Smirak指数: 足跡の中足部と足の最広部の比率を測定します。高い比率は偏平足を示唆します。

4.2 医療機関での治療:理学療法と整形外科的アプローチ

 医療機関での治療では主に理学療法と整形外科的アプローチが行われます。
 理学療法と整形外科的アプローチを組み合わせることで、筋力の強化、適切な部位の柔軟性の向上、アライメントの改善が期待できます。これにより、偏平足による痛みや疲れやすさを軽減し、日常生活での動きを改善します。

理学療法
①筋力強化運動
方法:
理学療法士が指導する特定のエクササイズを通じて、足底筋群や足趾屈筋群、足部内返し筋群、下腿三頭筋などを強化します。
効果:足のアーチを支える筋肉が強化され、偏平足の症状が改善されます。

②ストレッチ
方法:
下腿三頭筋をターゲットにしたストレッチを行います。
効果:距腿関節の可動性が向上し、足の動きが改善されます。

③動作練習
方法:
歩行や立ち上がりなどの日常動作を理学療法士とともに練習します。
効果:正しい動作パターンを学び、負担の少ない歩行や立位を実現します。

整形外科的アプローチ
①インソールの処方
方法:
軽度の偏平足の場合、足の形状に合わせたインソールを使用します。
効果:足のアーチをサポートし、足全体のバランスを改善します。

②装具の処方
方法:
中等度の偏平足の場合、整形外科医が勧める装具を履くことで、足のアライメントを整えます。インソールよりも足のアーチをサポートする力が強いです。
効果:歩行時の負担を軽減し、痛みを和らげます。

③手術療法
方法:
重度の偏平足の場合、手術によって足のアーチを再構築します。
効果:足の根本的な構造が改善し、長期的な症状の軽減が期待できます。

まとめ

子どもの偏平足とは?
 
偏平足とは、足のアーチ(いわゆる土踏まず)が形成されず、足底が平らになる状態を指します。子どもは成長段階で一時的に偏平足になることが多く、通常は自然に改善します。しかし、成人まで続く場合もあり、外反偏平足になると踵が内側に倒れ、将来的に痛みや疲れやすさを引き起こす可能性があります。

 
偏平足の原因には、遺伝、疾患(脳性麻痺、ダウン症など)、関節の過度な柔らかさ、筋力の弱さ、過体重、足に合わない靴の使用などがあります。これらの要因が複合的に影響して偏平足を引き起こします。

 
偏平足の一般的な症状は、足や足首の痛み、疲れやすさです。アーチの低下により、足底の筋肉や関節に負担がかかり、衝撃吸収が不十分になるため、長時間の立位や歩行で疲労を感じやすくなります。症状が進行すると、膝や股関節、腰にも影響を及ぼし、姿勢や歩行に問題を引き起こすことがあります。

家庭でのチェック方法と対策
 
家庭で偏平足を確認する方法として以下が挙げられます:
1.足のアーチの確認: 子どもが立った状態で足の内側を観察し、土踏まずが形成されているか確認します。
2.ぬれた足跡の観察: 濡れた足で紙の上を歩かせ、足跡を観察します。
3.踵の内側への倒れ具合の確認: 子どもが立った状態で、後ろから踵が内側に倒れているか確認します。

 適切な靴を選ぶことは偏平足の予防に重要です。踵の素材がしっかりしている靴、指の付け根の位置で曲がる靴、つま先に1~1.5㎝の余裕がある靴を選びましょう。

 偏平足の予防や改善に役立つ運動を紹介します:
1.つま先歩き: 踵を上げてつま先で歩く。ふくらはぎの筋肉を強化します。
2.かかと歩き: つま先を上げて踵のみで歩く。すねの筋肉を強化します。
3.足の外側歩き: 足の内側を上げて外側のみで歩く。ふくらはぎの奥の筋肉を強化します。

医療機関での治療
 偏平足が進行し症状が悪化した場合は、医療機関での治療が必要です。医療機関では、視診や歩行の評価、関節可動域の測定などを行い、理学療法やインソールの処方、必要に応じた手術療法などを提供します。これにより、偏平足による症状を軽減し、日常生活の質を向上させることができます。

 偏平足の早期発見と適切な対策を行うことで、子どもの足を健康に保ち、将来的な問題を防ぐことができます。

参考文献


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