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筋膜リリース注射って?神経ブロックと何が違うの?

巷でも少しずつ注目を浴び始めた「筋膜リリース」

最近はネットでローラーなどの器具も売っていて僕も毎晩やってます!

首こり、肩こり、腰痛などの原因の多くは、筋肉やその周囲の結合組織(Fascia)が無理な姿勢や悪い姿勢などで悲鳴をあげ、自然に回復するはずの筋肉が回復できなくなって硬くなったものと言われており、その硬くなった圧痛点を「トリガーポイント」と呼び、そこを押したときに普段の肩こりなどの症状が再現される病態を「筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome: MPS)」と言います。

このMPSは、筋膜やその周囲の結合組織に炎症や痛み物質が蓄積して筋膜の癒着や萎縮により筋組織の柔軟性が損なわれている事が原因とわかってきました。

その筋膜や結合組織を剥がして滑らかにリリースする=「筋膜リリース」です。

僕たち医師は、その厚く硬くなった筋膜を超音波(エコー)で確認して生理食塩水などを注射で投与してリリースします。

➢ 筋膜って?

筋肉は、細い筋繊維を「筋膜」という薄い膜で包みユニット化し、それらが集まってグループになり、それもまた筋膜で包まれ、それらが組み合わさって全身の筋肉は構成され身体を支え、動かしています。

➢ 筋肉のコリや痛みの原因は?筋膜性疼痛症候群?

肩こり、首こり、腰痛などの原因の大部分は、急に重いものを持ったり、長い時間の無理な姿勢、悪い姿勢などで繰り返し筋肉に負荷が掛かって、筋肉や筋肉周囲の結合組織が悲鳴をあげ、通常、自己回復するはずの筋肉が自己回復できなくなって硬くなったものと言われており、その硬くなった圧痛点を「トリガーポイント」と呼び、そこを押したときに普段の肩こりなどの症状が再現される病態を「筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome: MPS)」と言います。

➢ 筋膜リリース注射って?

10年くらい前に、麻酔科の神経ブロック注射の薬を、本来のスペースではない所に注入した時にとても鎮痛効果があったことから応用され、当初は「筋膜間ブロック(スキマブロック)」として腰痛の患者さんに行った論文がおそらく日本では最初で、その後にいろいろな薬液を筋膜の間に注入した結果、生理食塩水は、局所麻酔薬と同等かそれ以上に痛みを軽くする効果があり、安全で、多い量を注入できる事がわかりました。

そして、エコーガイド下に注射をすることが当たり前になってきた時に、エコーで筋膜が白く厚くなっている場所と筋肉のコリのトリガーポイントが一致する事が多い事がわかり、そこに生理食塩水を注入して筋膜の癒着を剥がして組織が柔らかく伸びるようにする事でコリや痛みが改善される事が報告されました。それが現在の「筋膜リリース注射」です。

最近では、痛みのトリガーポイントは筋膜だけではなく、脂肪や腱や靭帯などの結合組織(Fascia)にもある事がわかってきて「筋膜リリース→Fasciaリリース」と呼ばれるようにもなってきました。

➢ 筋膜リリース注射と神経ブロックの違いは?

主に①値段、②注入量、③安全性3点の違いが考えられます。

① 値段について、現時点で生理食塩水を筋膜に投与する事は、医療保険では認められておらず、筋膜リリースの値段は各クリニック毎に値段が異なる自費診療になっています(平均的な値段わかりません!)。神経ブロックは保険で認められており、一番高い神経ブロックでも窓口で5000円を超えるものは、ほとんどありません。

② 注入量については、麻酔薬は注入できる量が限られているためせいぜい5~10mlが限界ですが、生理食塩水は特に制限はなく麻酔薬の倍以上の量を注入する事ができます。

③ 安全性については、生理食塩水は生理的であるので薬液に起因する弊害はほとんどありません。

筋膜リリース注射と神経ブロックのどちらが効果的かは、個々の病態にもよるので何とも言えません。

個人的には、生活習慣を気をつけ、適度なストレッチやローラーをコロコロして筋膜リリースをしてダメなら筋膜リリース注射を試みて頂けたらと思います!


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