【比喩表現】へそ曲がりの作詞術②【例えツッコミ】

はいこんにちは。
近頃ついに同居人のルンバと会話し始めた作詞家、藤橋です。
帰ったらコードに絡まって息を引き取っているルンバさんに
労いの言葉をかけてやるのが日課です。ちょっとまずいです。

恒例の自己紹介はこちら。
【恥の多い】自己紹介【生涯】|ふじP (note.com)

今回は、作詞においてかなり重要な表現方法である「比喩」について
軽く触れてみます。
詳しくはそれっぽいサイトなどを見ていただくとして(その方が確実)

ここでは
良い歌詞に比喩はつきものであり、比喩力は鍛えられる
ということを書いてみようと思います。

まず、一言で比喩と言ってもその表現手法には様々な種類があります。

例えば、「今日は雨が降っている」という日常会話ひとつ取っても

① 空が泣いているようだ(直喩)
② 空が泣いている(隠喩、擬人法)
③ 天気が悪い(提喩)
④ お足元の悪い中(たぶん提喩か換喩)

など、言い表し方は無数にあります。
間違ってたらすみません。

具体的にどのように歌詞に使われているかと言うと、
こんな感じです。

★今宵の月のように / エレファントカシマシ
 俺もまた輝くだろう 今宵の月のように(直喩)

★ロビンソン / スピッツ
 誰も触れない二人だけの国(隠喩)

★ナビゲーター / THE BLUE HEARTS
 あー この旅は気楽な帰り道 のたれ死んだ所で本当のふるさと(提喩)

★紅 / X
 紅に染まったこの俺を(隠喩)

どうですか?
きっと、普段何気なく聴いている曲の中にもたくさん出てきます。
良かったら探してみてください。

さて、本題です。

作詞は、
限られた尺または字数の中で伝えたいことを伝える
という命題を持っていますので、
なにせ語彙力や表現の幅が必要になります。

一つの事象に対して、それを言い表す手段をどれだけ持っているか。
これは作詞者の表現力を構成する大事な要素の一つです。
中でも卓越した比喩力(そんな言葉あるのか知りませんが)というのは
「遠くにあるものを身近にグッと引き寄せて、共感を生む」
という効果を持つため、更に重要であるということです。

そして比喩力は、感受性や独自性と違って
比較的鍛えやすいという特徴も持ちます。
また、比喩力を向上させると、同時に独自性が向上するというメリットがあります。

ではどうやって鍛えるか。
とても簡単です。

注:あくまで「へそ曲がりが勝手にやっていること」としてお読みいただけると幸いです。

ぼくが普段から心がけていることの一つに
物事を分解して捉えてみるということがあります。

例として、
誰もが知る人や物(できれば固有名詞)を思い浮かべてみます。

いったん、野球のイチロー選手としましょう。

では、イチロー選手を分解してみます。
できる限り「イチローと言えば」から連想されるワードを思い浮かべます。
ここではオリジナリティや深い知識は必要ありません。
ベタであればあるほど良いです。

例えばこんなのがありますね。
・ヒット本数がすごい
・ポジションはライト
・右投げ左打ち
・レーザービーム
・細身なのにパワーがある
・髭が似合う
・愛知県出身
・次男なのに一朗
など、何でも良いです。
そしてこれはいったん忘れてしまいましょう。

次に、あなたが何かをプレゼンする場面を想像してみてください。

うちの商品はこんなに良くて、必ずヒットします!
と伝えたい時。

「あれ?ヒットと言えば、前に何か考えたな」と思い出すのです。
あ、そうそう、イチローだった。と。

そして、ちょっと整えて、
「ヒット間違いなしです。・・・全盛期のイチローくらい」
みたいなことを言うわけです。

間とタイミングさえ間違えなければ、笑いまで取れてしまいます。

ヒットというベタな共通項を持つ二つを繋ぎ合わせただけですが、
ここに表現の独自性が生まれました。

ちなみに
ちょっと気の利いた担当者だと「三割しか当たらんやろ」とか言ってきますが、そんな時は完全に負けたフリをしましょう。
これは、
相手が「うまいこと返したった」という優越感に浸る、という手土産を持たせることに成功しています。快挙です。

また、逆の使い方もあります。

相手が「ヒット間違いなしです」と言ってきた時に
「いや全盛期のイチローか」と返す という。
例えツッコミというやつですね。
まぁまぁの確率でウケます。

更には
〇〇とかけまして、〇〇とときます
という謎かけにも応用できます。
謎かけが得意な人は作詞が得意です。ぼくは謎かけが得意です。(自称)

以上、比喩力の鍛え方のほんの一部ですが、お伝えしてみました。
役に立ちましたでしょうか。
表現力を高めたいと思っている方がいましたら、
ぜひ、日常生活で少し意識してみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではでは。


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