医療系学生が"ワクチン・ナショナリズム" に思うこと。 #16
ワクチン・ナショナリズムとは
先日ラジオのニュースコーナーを聞いていると、『ワクチン・ナショナリズム』という言葉が耳に入った。
ワクチン・ナショナリズムとは、
簡単にいうと”国家間のワクチン争奪戦”のことを意味する。
日頃は批判されることがしばしばである「自国第一主義」が、もとい今回の新型感染症対策に関わる事柄になると、各国でその色が顕著になってくる。
特に、この主義を普段より掲げているドナルド・トランプが大統領を務める米国は、世界中の製薬企業を相手に出資をすることでワクチンの”独占権”を得ようとしているという。
この傾向はその他の諸外国でも認められることであるが、
医療の本質として、これは明らかによくない傾向だと感じる。
これを良しとしないのは、自分が医療系学部の学生である故の考えなのか、
もし政治経済系を専攻していたら考えが違っていたのかはわからない。
協力して”共通敵”に立ち向かうことができないのか
けど、少なくと自分は、
なぜ人間はこうも協力して”共通敵”に立ち向かうことができないのか、と悲観的になってしまう。
こういう時こそ手を取り合おうではないか。
決して綺麗事ではなく、僕は現実の話をしているのである。
(ただ筆者が社会主義論者ではないということだけは言っておく。)
WHOは各国の貧富にかかわらず、ワクチンの平等性を担保するために動き始めている。
各国の代表はその役割として、自国を第一に考えなければならないかもしれない。それはしばしば国民からの批判によるものであることも確かだし、その考えが全く間違っているとは思わない。
自国民にとって”良いこと”は、他国民にとっては”悪いこと”なのかもしれない。
良いことをするには、心の余裕と金銭的余裕が要る。
TBS系ドラマ「MIU404」の4話で出てきた台詞であるが、これは実に世界の真実が詰め込まれていると思う。
(ドラマの回し者ではないけど、このドラマは心からお勧めする。世間の歪みや我々が奥底で思っているであろう心理を切実にかつ緻密に描かれている。張り巡らされた伏線と重厚なストーリーをぜひ堪能してほしい。)
ワクチンの平等な分配が”良いこと”だとするのであれば、
今の国々は”心の余裕”がないのであろう。
そして、それはある程度仕方ないことなのかもしれない。
ただ、ここでいう”良いこと”は何なのか、
しっかりと見極めなければならない。
自国民にとって”良いこと”は、他国民にとっては”悪いこと”なのかもしれない。
「正義とは何か」という議論に近いような気はするが、
少なくとも自分の利益を得ることだけが”良いこと”と決めつけるのは些か稚拙な気もする。
まぁ、これに関しては百人いたら百通りの意見があるのだろうし、まして77億人いるこの地球では一つの意見で統一されるわけがない。
それでも、一人一人が、他者を思いやり世界をよくしていこうと思う気持ちを少しでも持つことができれば、世界はまた良い方向に変わっていくのではないだろうか。
浅はかな、理想論とも言える結論を最後に述べてしまったが、
note記事の上でぐらいは、理想を語っていきたい。