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「生き辛さ」を抱えながら毎日を生き抜くあなたに必要なのは落語です、間違いなく、ね。

あなただけこんばんは。D-8です。

どうも「孤高のSM作家」と思われてるみたいだということが最近分かったのですが、そんなかっこいい肩書きはもったいないほどに、中の人は超ふわっふわっしてるしふにゃふにゃ毎日を適当に生きてます。今日は、たまには、いかにもnoteっぽい軽いエッセイを書きたくなってしまいました。

今日はD-8の趣味の一つである「落語」についてのお話です。

生き辛さを抱えて毎日を生き抜くあなたへ

最近、スマホでニュースを流し見していると「生き辛さを抱えてる」っていう話題がたくさんあるな~って感じます。

この世の中は昔に比べたら、効率的で便利で安全な世の中になりました。でも、それと引き換えに、色々なことが複雑になってきてるし守らなければならないルールも増えています。で、そのルールに適応できなかったり、疎外感を覚える人が増えてきたんじゃないかなって思います。

たとえば、ヘンタイみたいな人たちにとって……ううん、ヘンタイじゃなくても学校ってきつかったと感じる人は多かったのではないでしょうか。理不尽な校則であったり、目に見えない暗黙のルールだったり、同調圧力だったりに息苦しさをみんな感じてたのではないでしょうか。

それに適応できないと「ADHD」とか「HSP」とかっていう大層な病名がついて「治療すべきこと」になってしまう。そんなのって辛すぎます。だって、たまたま今この時代に出来上がっただけの仕組みに馴染めなかったというだけで「お前は病気だ」なんて…ねえ~。

もし、生まれる場所と時代が違えば”欠陥”ではなく”能力”だったかもしれないのに。あなたと世界、どっちが間違ってるなんて、そんなこと分かり切ってることなのに、ね。

そもそも人間なんてどうしようもない生き物なんです。ダメだし、エロいし、頭が悪いし、性格だって悪いのがデフォルトなのに。

で、そんな人間のダメさ、弱さそのものをテーマとしてる芸術があるんですな。

それが、落語です。

落語で語られているのは人間賛歌

落語の物語って「人間賛歌」なんです。落語に出てくるのは、ダメな人間ばかり。

落語で一番有名な噺の「時そば」。あれは、立ち食いそばの勘定を誤魔化そうとする、みみっちいダメ男の話です。(デートにサイゼリヤどころの話じゃありませんよ)

「寿限無」は、息子の名付けの候補をいくつも挙げてもらっただけなのに、それを全部くっつけて長ったらしい名前にしてしまうバカな親の話です。(夫婦別姓とかキラキラネームどころの騒ぎじゃないです)

落語で主人公になるのは、頭が悪かったり、もしくは性格が悪かったり、はたまた根性がねじ曲がってたり。とにかくしょうもない人間ばっかり出てきます。そんなしょうもない彼ら彼女らが、大失敗するのが基本の形です。

でも、それを教訓話にするんじゃなくて、人間が持ってるおかしみとして笑い飛ばす、それが落語の醍醐味です。人間のだらしないところも、悪いところも、ままならないところも共感をもって笑いに変えられる芸術、それが落語という話芸=芸術だって自分は思ってます。

フィルターで加工されて歪なものは排除されたキラキラの世界なんかじゃなくて、泥臭くてどうしようもない人たちが生き生きと欲望に忠実に暮らしている、それが落語の世界です。

自分が大好きな落語家さんは…

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自分が落語を好きになったきっかけの噺家さんは、柳家喬太郎師匠です。

喬太郎師匠は古典もしっかりやるけれど、新作落語もたくさん作ってて、甘酸っぱくて切なくなるような恋のお話が多いんです。

この人の落語を聞いた時、話を聞いてるんじゃなくて、ほんとにその情景が目に浮かんだんです。それで、呼吸困難になるんじゃないかってくらい笑えるし、一瞬で心を掴まれて魅了されてしまう。これが「話芸」なんだって、そう思いました。

●●を舐めるのが生きがいのヘンタイ若旦那

柳家喬太郎師匠の持ちネタの一つに『擬宝珠(ぎぼし)』というお話があります。擬宝珠(ぎぼし)というのは、橋とかお寺のてっぺんについている金属製のお饅頭みたいな形をした飾りのことです。

これを舐めるのが大好きな若旦那の噺です。金属を舐めるのが好きなヘンタイフェチ…🙄

あらすじはこうです。

これまでたくさんの擬宝珠を舐めてきた若旦那。だけど、浅草寺の五重塔のてっぺんについてる擬宝珠を舐めたい。だけど五重塔はあまりにも高いところにあって舐められない。

だけど、舐めたい。舐めたすぎて焦がれて、舐めたさのあまり思い詰めるあまり、心の病になって本当に寝込んじゃう。しまいには若旦那は「舐められないなら死んでしまう」とまで言い出す。(迷惑すぎる…笑)

さすがに死なれちゃ困ると思った大旦那(ちなみに大旦那も金属舐めフェチのヘンタイ…ヘンタイ親子~😵‍💫)が手を打って、浅草寺に多大なお布施をして、最上階まで登れるようにわざわざ足場を組んでもらって舐められるようにしてあげる。

病に臥せっていた若旦那を無理やり浅草寺の前に連れてくると、途端に元気になってひょいひょいと五重塔のてっぺんまで登っていってペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ…👅

そして、それを大層羨ましそうに涎を垂らしながら見上げる大旦那。🤤

ヘンタイの営みって連綿と続いているんだよって。それこそ江戸時代からね。

SMを始めとしたヘンタイ界隈では、人が思いもよらないものを、ことさらに有難がって舐めたがるヘンタイがたくさんいるわけで、この若旦那の気持ちに共感できる読者諸兄姉も多いんじゃないでしょうか。

『擬宝珠』は変態親子の微笑ましい親子話ですし、そもそも落語じゃなきゃ成立しないような題材のくっだらない軽いお話だと思います。

たしかにくだらない軽いお話ではあるけれど、人の趣向というのは千差万別だし、その趣向が時として人を追い詰めることもあるんだなって思うと、気が楽になったりませんか?(そして、その趣向が満たされると途端に元気になる現金なところとかも共感できたりしませんか…?)

もし、ここまで読んでくれたあなたが生きづらさを抱えているのだとしたら、3000円を握りしめて寄席に行ってみてください。さらに19:00~以降だと1000円割引なところも多かったりします。

現代式のタッチパネル式の発券機とかも無いし、もちろんシネコンみたいな最新のネット予約システムとかも無いので、入口のモギリに黙って1000円札を3枚差し出すだけで、中に入れてもらえます。

ねえ、だからさ。生き辛くて仕方ないんだったら、ちょっと騙されたと思って行ってみてよ、ね?

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