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夜更けの思索宮

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時には哲学を、古代ギリシャを、あるいは皮肉やのイタリアの彼氏のような、ちょっといつもの場所をはなれて遊ぶ
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2021年11月の記事一覧

おっとりベネチアの登場

 ブローデル『物質文明・経済・資本主義 15-18世紀 世界時間』の第2章3節、『ヨーロッパにおける都市支配型の旧経済ーヨーロッパの最初の世界=経済』を読んでいきます。 外因によって檜舞台に登場 14世紀の黒死病による景気後退と、イタリア北部の工業地帯の発展により、アドリア海と北海、フランス地域まで移動する必要が無くなったことが、ベネチアが世界都市として地位を占めることになった要因である。そのため、羊毛取引(カリマラ組合)から羊毛製造へと発展したのだ。  不景気になると、

生まれ持つ属性が物を言う旧経済の都市

 ブローデル『物質文明・経済・資本主義 15-18世紀 世界時間』の第2章3節、『ヨーロッパにおける都市支配型の旧経済:ベネチア以前・以後』を読んでいきます。 新航路開発の実際の立役者:ポルトガル 新大陸発見というと、ジェノバ市民コロンブスを思い浮かべるだろう。しかし、そのための準備は、1400年以降、航海王子エンリケから航海王ジョアン2世によって着々と進められてきた。1487年に、バルトロメオ・ディアスによってアフリカ南端まで到達した。彼はその地を「嵐岬」と名づけたが、ジ

交換による資本主義と情報化時代のプラットフォーム

 今回は、ブローデル物質文明・経済・資本主義15-18世紀日常性の構造の都市の誕生と、情報化社会の企業について考えてみたい。 資本主義を土台にした中世都市の誕生 ブローデルによると、西ヨーロッパは3つのタイプの都市を見出した。それは、(a)開かれた都市、(b)閉ざされた都市、(c)後見下に置かれた都市という。都市は、農村によって作られ、また農村は都市によって築かれた。初期の年は、農村が再構成されたものであり、その結果元々存在した領主・世俗的君主・高位聖職者などの政治的・社会