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葬送

平野啓一郎が2002年に発表し、
2005年に新潮文庫から全4巻刊行された。

彼は京都大学在学中に執筆した「日蝕」が、
99年23歳で芥川賞を受賞して話題になる。

「葬送」は、「一月物語」を経て、
取り組んだ長編3作目に当たる。

文学を始めとする芸術が、
特に近代ヨーロッパでは、
政治的にも社会的にも思想的にも、
密接な関係で変貌する背景を重視する。

森鴎外と三島由紀夫の影響が少なくない。
こういう作家が、僕は大好きだった。

特に大衆向け作家、売れる作家が持て囃され、
日本人独自の美意識が、希薄になっていた。

まさに平野啓一郎がこの「葬送」で示したような、
美術や音楽が、どのようにして生まれ、
受け継がれ、革新し続けるのか、
という問いを、僕はずっと懐いていた。

ショパンもドラクロワも好きだ。
ロマン主義の代表的存在だ。

18世紀後半から19世紀前半、
激動のヨーロッパ、それは革命の連続で、
やはりナポレオンの存在が大きく影響する。

スタンダールやバルザック、ユーゴーなど、
ロマン主義文学も、激動と言える。

ただ音楽や絵画と違い、文学は翻訳が必要で、
この翻訳が、実に重要かつ難関だ。

このことにもっと早く気づいていれば、
史学科ではなく文学科を専攻したかもしれない。

「葬送」は、海外で翻訳されているだろうか。
フランス人の書評を、聞いてみたい。

そう思うのは、僕だけではないはず。

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