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ベートーヴェン交響曲第7番

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この曲をいつか演奏する日を夢見ていた、クラシックもロックも好きな、熟年素人チェリストの、悪戦苦闘の物語のはずが、鎮魂歌へと変わる、激動の半年を散文詩に。
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2024年4月の記事一覧

第四章

第四章

2月には僕が入団して初めてのパート練があった。
チェロパートは6人で、僕が一番の駆け出しだ。自分の音に自信がない。せめてもの救いは、午前中に合奏練があってから、午後にパート練だったことだ。

パート練の先生が指摘することで最もヤバいと思ったのは、右腕、つまり運弓だった。僕のような合奏初心者はどうしても音程を気にしてしまう。音は左手が大事だという思い込みが染み着いていた。それが、違うらしい。オケでは

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第三章

第三章

1月、いよいよ本格的に合奏練習が始まる。
指揮者からキツく言われたのは、強弱の次にリズムだ。駆け出しの僕からすれば、第3楽章から第4楽章が、早くてオロオロするところが多いのだが、第1楽章のリズムは、プロでも難しいのだとか。3拍子がどうしても2拍子になりやすい。メトロノームを使って毎日練習を、と言われても。
ただ第7番をよく聴いてきたからこそ、指揮者の言ってることがわかる。それだけでも、相当なアドバ

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第二章

第二章

12月の定期演奏会を無事に乗り切り、次回半年後はいよいよベートーヴェン交響曲第7番、となった。

練習日程が発表され、年内に初めての合奏練習があった。もちろん、自分なりに準備はしたが、弾けないところが多くて落胆。
それでも今まで指揮者からはモーツァルトの話ばかりだったので、ベートーヴェンの話は新鮮で衝撃だった。弾けるかどうかよりも、初めて知ることばかりで楽しかった。

それはパート譜を見た時から、

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