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【日記/56】最近しらべた麻薬2種

コカイン:

先日、コカ・コーラの工場から大量のコカインが見つかるという事件が報じられ騒ぎとなったが、初期のコカ・コーラには確かにコカインの成分が含まれていたらしい。だけど、今回の事件においてはコーラとコカインはまったくの無関係であるそうだ。少なくとも工場関係者はそう訴えている。

コカインを抽出するコカの樹の原産地は、南米である。しかし、「アンデスのインディオはコカの葉を常習的に噛んでいるので寿命が短い」という話はどうやら嘘のようだ。コカの葉には確かにコカインの成分が含まれているが、自然に生えている葉っぱにあるそれはごくごくわずかな量で、コカの葉を噛んでも中毒になんかならないそうだ。

コカの葉を噛むことは、高山病に効くらしい。アンデスの町ではどこでも、ビニール袋いっぱいに詰まったコカの葉が安く売られているという。噛み方にはコツがあり、ガムのようにくちゃくちゃ噛もうとすると上手くいかないらしい。

参考:高野秀行『巨流アマゾンを遡れ』

アヘン:

アヘンの原料となるのはケシという植物である。しかしこのケシ、実は原産地がわかっていないという。地中海沿岸だとする説、南西ヨーロッパであるとする説、東ヨーロッパであるとする説、などなどがある。栽培種しかなく、野生種が見つからないため、原産地がわからないのだそうだ。

人類とケシの付き合いは古く、最も古いケシの痕跡は新石器時代にまで遡ることができるらしい。きちんとした記録としては、紀元前1550年頃にエジプトで使用されていたという文書が残っているという。効能は、鎮痛剤、頭痛薬、それから「子どもの泣きすぎを防ぐ薬」。ドラッグというより、医薬品である。さらにその後、アヘンはギリシア世界で広まっていく。

そしてローマ帝国が没落すると、今度はイスラム世界でアヘンが広まる。コーランではアルコールが禁止されているが、ドラッグについてはノーコメントだ。そしてこの時代に広まったアヘンが、やがて中国、日本にまで伝わることになる。中国には、唐の時代(7〜10世紀)に伝わったという説と、元の時代(13〜14世紀)に伝わったという説があり、結論はまだ出ていないらしい。そして時代を経て、1840年からはご存知、清とイギリスの間でアヘン戦争が勃発する。

アヘン戦争の経緯は省略するが、清はイギリスからの輸入アヘンに対抗するため、自国でケシ栽培を行なうようになった。そしてケシ栽培に気候的に適している雲南省、貴州省がその栽培の地に選ばれる。以降、その地でケシ栽培を覚えた民族が微妙に南下し、ミャンマー・タイ・ラオスの国境地帯には「ゴールデン・トライアングル」と呼ばれる麻薬密造地帯が形成される。

歴史的な話はこれくらいにして、実際、アヘンを吸引すると人はどうなるのか。一説によると、とても幸せな気持ちになるという。だけどそれは、「今この状態」が満たされて幸せなのではなく、欲望が収縮していくらしい。つまり、今の状態がジョッキ1杯分だとして、ジョッキ半分を満たすビールしか入っていなければ「満たされない」が、欲望の器を小さくして、入れ物をジョッキからグラスに変えてしまえば、ビールの量は同じでも「満たされる」。食欲、性欲、物欲、名誉欲、ありとあらゆる欲望を収縮させる。すると、とっても幸せなのだそうだ。

参考:高野秀行『アヘン王国潜入記』

ビンロウ:

前に書いた。

【日記/38】赤い実ちゃん

続きはまた今度。

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