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【4/11〜12】タリン、それは仙台

エストニアのタリンに来ている。

日本からスリッパを持ってくるのを忘れたので、空港からホテルに移動し荷物を部屋に置いたあと、タリン市内でスリッパ探しの旅に出る。時刻は16時。本格的な観光は明日に回すとして、この日は「スリッパを買うこと」「晩ご飯を食べること」のみを目指して歩き回る。

タリン新市街

スリッパはなかなか見つからなかった。まあ確かに、日本でもどこで売ってるのかパッと思いつかないのでしょうがない。ショッピングモールの中を歩き回り、結局H&Mで10€のサンダルを買うことにした。旅行中に使い捨てるくらいのつもりでいたが、突っかけサンダルとしては思いのほかなかなかいい気がするので、日本でもゴミ捨てとか行くときに使おうかな……。

ところで、22時間くらい飛行機に乗ってきたのに、「このサンダル、ゴミ捨て行くときにいいな〜」とか考えているこの感じ。これはたぶん、タリンのゆったりとした空気がそうさせているのである。生きるか死ぬかの緊張感の中で街を歩かなければならなかったカンボジアのプノンペンや、ヨルダンのアンマンではホテルに戻ってきてさえそんなことを考えている余裕はなかった。

広くてゆったりとした街道。混みすぎず、かといって閑散としてもいない街中。余裕がありそうで落ち着いている人々。ファミリーや犬の散歩をしている人も多い。ZARAとTHE BODY SHOPが入っているショッピングモール。「このヘアブラシ欲しかったんだよね〜」と思いつつも荷物が増えるので帰国後にしようと思い直すバラエティショップ。この感じを、私は知っている。それも、とてもよく知っている…!

ジョーマローンだって入っているショッピングモール

エストニアのタリン。それはほどよく発展した日本の地方都市に似ている。海の向こうにはヘルシンキがあるくらい北にある都市なのでなんとなく仙台を思い浮かべたが、私は仙台に行ったことはないのでテキトーなことを言っています。本当にちゃんと訪れたことのある都市でいうと、静岡とか金沢に近い雰囲気がある。ただし北にあるとはいえ、タリンは札幌ではない。やはり仙台、という感じがする(※繰り返しますが、テキトーにしゃべっています)。東京や大阪よりよっぽどゆったりしていて治安がいいので、タリンより渋谷を歩いているほうが怖いくらいだ。

晩ご飯を食べるために、旧市街のほうへちょっとだけ足を伸ばす。歴史家が監修しているという中世の料理を堪能できる店に入ってみる。しかし入ったあとによく考えたら、私はラムとかの獣肉系が苦手なのだった。胃に自信がなかったため、マッシュルームのスープを頼む。

これだけでもお腹いっぱいのマッシュルームのスープ

治安面での不安をまったく感じないとはいえ、初日で疲れているのもあり大事を取って日の入り前にホテルに戻る。

ただし日の入り前といっても、タリンの春は明るく、20時を過ぎてようやく暗くなり始める。20時ちょっと前に部屋に戻り、タリンの1日目は終わった。

タリン2日目

2日目にようやく旧市街のほうを本格的に散策する。ホテルからは徒歩15分くらい。旧市街の入り口であるヴィル門を抜け、石畳の道の坂を登っていく。

1901年に帝政ロシアによって建てられたらしい

アレクサンドル・ネフスキー聖堂が見えてくる。観光客としては写真の撮りがいがあるけど、エストニアはプロテスタントの多い国であり、いきなり登場するロシア正教のこの教会はちょっと異様なのだとか。エストニアがロシアから最初に独立した頃に移転しようかという話も出たらしいが、結局ここに残ったとのこと。

内部は撮影不可だったので写真がないのだけど、ちょうど礼拝の最中であり、なんとなく部外者が入り込めない雰囲気だった。隣の人に合わせて十字を切り、冷やかしじゃないですよ感を醸してみる(冷やかしというか、普通に観光だが)。治安がいい治安がいいと言っているが、すぐ隣がロシアであることを思い出す。タリンは本当に何の不安もなく街中を歩けるくらいだけど、すぐ向かいにロシアが見えるナルヴァとかの雰囲気はもう少しピリついてたりするのだろうか。今回の旅程にナルヴァは含まないのでわからない。

トームキリク

近くでパスタを食べたあとに観光再開。少し歩くとトームキリク(大聖堂)が見えてくる。エストニア最古の教会らしい。華美な装飾はなく、質実剛健といった風情の内部。

KGB拘置監房にも行ってみる。というか、ここが私のタリン観光のメイン。エストニア・ソビエト社会主義共和国内部人民委員部(NKVD、のちのKGB)の拘置施設である。1941年からここに敵と見做された市民が収容され、尋問のあとに処刑場などに送られたとのことだが、そこまで陰惨な雰囲気はなかった。日本の地方都市を思わせるほどゆったりしたタリンだけど、少し歩くとやっぱりロシアの気配がある。

KGB拘置監房の入り口

そして次に訪れたのがオレフ教会。こんな感じで、内部は普通っちゃ普通なのだが…

オレフ教会の内部

塔に登れるというので、登ってみたらこれがめちゃくちゃハードな道のりだった。ロープを伝って急階段を258段登る。螺旋階段状なので、上のほうにいる人の「ゼェ…ハァ…」という息遣いが聞こえてくる。こんなにきついなら事前に言ってくれよ! 心構えをさせてくれよ! とおじさんに内心文句を言いつつ、なんとか登り切る。

たどり着いた塔の上からの景色は、頑張った甲斐あってなかなかよかった。ただし高所恐怖症の人にはまったくおすすめしない。下を見るより、上を見るほうが怖かった。

オレフ教会からのの眺め
塔のてっぺんが…近い!と思うと下を見るより怖かったんです

このオレフ教会は、何度か焼け落ちているが、15世紀くらいは世界一高い塔との評判があったそうだ。そして、この塔の建設に巨人が関わったという伝説があるらしい。私の中では巨人といえば北欧神話なので、エストニアにも巨人の伝説があるんだな〜などと考える。

塔を登るのが本気で疲れたので、「職人の中庭」なるちょっとした広場でシェイクを飲んで休憩。ケーキは頼まなかったけど美味しそうだった。

スイーツを見るの楽しい

晩ご飯は、強烈かつ突然の「ワッパー食べたい」欲によりバーガーキング。20日間も旅するので毎日贅沢するわけにも行かず、まあこんな日があってもいいかということにする。贅沢ではないがワッパーとポテトと水のセットで8€(約1200円)であり、別に安くはないのだった。

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