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【4/27】旧ユダヤ人街の市場で謎アンティークを買う

「昨日アウシュヴィッツに行った」という実感があまりないまま起きて、とりあえずヨーグルトとカチカチに固くなったパンを食べる。翌日にはこのアパートメントを出て空港近くのホテルに移動する。5泊は長いなと思っていたし、クラクフに5泊もしてやることあるか?と思っていたけど、クラクフは思っていた以上に素敵な都市で、結局はやりたいことをやりきれずにこの街を去ることになりそうだ。でも、やり残したことがあるというのはいい。またここに来る動機になる。クラクフにもまた縁があったらいいなと思う。

アパートメントから15分ほど歩き、この日はカジミエシュ地区(旧ユダヤ人街)に行った。『シンドラーのリスト』のロケ地があるとのことだったが、調べ方が甘かったのでどこにあるのかよくわからなかった。まあいいかということで、いくつかのシナゴーグを見学する。入れなかったところや内部の写真不可だったところもあるけど、ステラ・シナゴーグ、レム・シナゴーグ、テンプル・シナゴーグなどを見る。

ステラ・シナゴーグ(外観)
テンプル・シナゴーグ(外観)
テンプル・シナゴーグ(中)

カジミエシュ地区からは、第二次世界大戦時に多くのユダヤ人が姿を消した。そのため一度は荒廃してしまったが、最近は再開発が進んでおしゃれなカフェやホテルができ、若者がたくさん集まるようになってきたとのこと。

そんなカジミエシュ地区、歩いていて、「なんかここ既視感あるんだよなあ〜」という印象を受ける。なんだっけなんだっけとしばらくモヤモヤしていた。そうだ、エルサレムに似てるんだ!と気づいたときはすっきりした。ユダヤ人街がユダヤ人が作った都市に似ているのは当たり前すぎて気づいてみると当たり前ポエム以下だが、土地が違っても遠く離れた場所に「似たような街」を作ることができる、それが文化なのかもしれないと思う。中華街も日本人街も「らしさ」みたいなのがあって、言語化できないのが不思議だなと思う(言語化して作ろうとすると、歌舞伎町タワーの歌舞伎横丁みたいな、「わかるんだけどちょっと違うんだよなあ」みたいな感じになる気がする)。カジミエシュ地区はエルサレムに似ています。(当たり前ポエム)

ユダヤ料理の店
お腹キャパオーバーで入れず…
これなんだろう?
既視感

そのまま何も考えずに散歩していると、市場発見。「地球の歩き方」には週末しか出てないみたいなことが書いてあったので諦めていたのだが、あった!市場あった!

市場発見

小規模な市場ではあったけど、知らない野菜やら果物やらを見るのはやっぱり楽しい。出店的な要素が強いのかObwarzanek(オブヴァジャネック)やドーナツなんかもあった。Obwarzanek(オブヴァジャネック)、食べなかったんだけど食べればよかったなー。クラクフ名物のベーグルみたいなパンのことです。街中で売られている。

明日にはアパートメントを去るので食べ物はあまり買えないなー、さっと見て帰ろと最初は思っていたのだが、ガラク…アンティーク小物を売っているエリアを発見してめちゃくちゃ食いつく。シルバーやメダル、昔の硬貨、切手、古いカメラ、スプーンやフォーク、ナイフ、レコードなど一癖も二癖も三癖もありそうなものがたくさん並んでいた。メダルはもちろん何のメダルなのかさっぱりわからなかったが、よく見ると1つや2つやべえメダルが混ざっていても不思議ではない雰囲気だった(やべえメダル=ナチスドイツ親衛隊名誉バッジ的な)。アーミーなムードが漂っていたので。さすがにナチス親衛隊のバッジなんて混ざってないのかな。

こういう怪しげな(※失礼)市場で怪しげなアンティーク小物を買うのが私の長年の夢だったのだが、かといって全然欲しくないものを買うわけにもいかず、なんかないかななんかないかなとかなり真剣に物色する。物色していると店のおばさんに話しかけられる。「それはすごーく古いシルバーですよ。第二次世界大戦の頃のもので…」とかなんとか。古い!怪しい!ますます気分が盛り上がる。

結局、そのおばさんのいた店でシルバー(お香立て?)を買う。「それもさっきのと同じ、すごく古いシルバーですよ〜」と言っていたので、第二次世界大戦の頃のものということだろう。

第二次世界大戦の頃のものらしい

旅行中に読んでいた角田光代さんの本で、角田さんの母が「古着やアンティークは絶対に買わないほうがいい。元の持ち主の手を離れた時点で何らかのネガティブな要因があることは間違いないので、念が移る!」というようなことを古着を着る角田さんに注意している話があったことを思い出す。もしもそういったことがあるとして、クラクフの旧ユダヤ人街で出ているアンティークの「ネガティブ」はかなり重そうだ。このシルバーはどういった物語を持っていて、どういった経緯で市場に出回ることになり、私の手に渡ることになったのか。知ることはできないが、もしも背景を知ることができたら面白いのになあと思う。経緯はわかりませんが、名も姿もわからぬ元の持ち主に最大限の敬意をはらい、大切にします。

おしゃれカフェ

雰囲気のあるおしゃれカフェでココアを飲み、カジミエシュ地区の散歩を終えたあとは、ヴァヴェル城のあたりを散策。ヴァヴェル大聖堂の塔にのぼって、クラクフを一望できる高さまで行く。なんかこの旅行、塔にのぼってばっかりだな…。

ヴァヴェル大聖堂
眺めはよい

歩き疲れたのでアパートメントに戻る。この日は食材をすべて片付けなければならなかったので、残りの食材をすべてぶっこんだ見た目最悪のスープを作った。見た目は最悪だが味は普通。残りの食材以外に、日本では見ない謎野菜もスーパーで買ってぶっ込んでみました。

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