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引っ越し日記、その二

先日「多くの人が何を求めているのかわからない、みんなはゴールドを欲しがっているのに私だけが海辺で1人珍しい石を探している感じだ」と愚痴みたいなことを書いたが(みたいなこと、というか愚痴だが)そんな私にも1つ、みんなが欲しがっているゴールドで、自分も欲しいやつがある。それは「部屋をいい感じにしたい」というゴールドである。私は「遠出しろい」と言われたら「じゃあアルゼンチン(飛行機で30時間)行ってきますね!」と旅立つが、「でも海外はだめ」と言われたら「じゃあもう家から一歩も出ません!」となるインドアとアウトドアが極端な人間なので、コロナ禍以降はほぼ毎日自分ひとりの部屋で生活をしている。そのため、ほぼ24時間を過ごす部屋で視界に入るものがいい感じでないと、精神が荒んでくるのである。う〜ん、部屋をいい感じにしたい。

ただここもちょい難しくて、30代半ばの女性ってだいたい結婚して子供がいるんですよね。「部屋をいい感じにしたいから何かお手本をくれ〜!」となってインスタやインテリア本を探したとき、だいたいがパートナーと暮らす60平米の2LDKとか、もしくは広いマイホームとかのお写真が出てきてしまうのです。かといって、ひとり暮らしの女性のインスタなどを見るとだいたいが20代で、韓国インテリアのお写真とかが出てきてしまう。韓国インテリア、20代の若い子がやるぶんにはかわいいなと思うし、60代でも70代でもそれが好きな人はやればいいが、渋めが好みな30代半ばの私にはちょっと厳しいんだわ。つまり、「30代半ばの独身の女が暮らすそんなに広くない賃貸の部屋をいい感じにするお手本」を探すのが、その時点ですでに至難の業なのです。手本がない! 仕方なく「20代だけど趣味が渋めの女性」とか「いっそ離婚したり死別したりで再びひとり暮らしになった60代の女性」とかを探し出してその中間地点をとるみたいなことをやっているが、まあ難しいですね。あとは家族で暮らしている同世代の人の部屋を局所的に参考にしたり。

すごく細かいのだけど「制度からはみ出して生きるのは大変だ」と私が感じるのはこういう部分です。みんながしないことをやろうとすると、先人がいない(少ない)ので「こういうときどうしたらいいんじゃ?」となりがち。でも差別されているとかクリティカルな問題ではないので、あんまり誰にも言えないっていうね。

(若い子がよくやっている韓国インテリア。これはこれで、好きな人はいいですけどね)

(ひとり暮らしならいっそ離婚した60代の女性とかでもいいんだが…となって探し出した方、ショコラさん。これはとてもいい本だが、好みでいうと、私はもうちょい渋めがいい! もうちょい!)

10月2日

引っ越してからというもの、常に片手にメジャーを持っているような生活をしている。片手にメジャー、つまり、部屋のいろんなところを随時測りたいのである。そして、そこに収まる収納ボックスの大きさを考えたり、壁に穴がちょっとしか空かないフックを引っ掛けてものを吊るスペースがあるかどうかを調べたいのである。が、この「片手にメジャー生活」はすぐに脳の容量がいっぱいになってしまい、私はわりと疲れる。

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