見出し画像

経営に当てはめて考える           マクナマラの誤謬:McNamara fallacy

Robert McNamara:

Dataを駆使してベトナム戦争に勝利しようとしたが失敗した、ハーバードビジネススクール(MBA)出身の異色の国防長官。28歳の陸軍中佐時代、最も効率的に日本人を殺戮する方法としての、B29の焼夷弾攻撃の発案。その根拠は、"低コスト"で最大の殺戮効果をもつというものだった。その後、フォードに入社後、社長に上り詰めたものの数ヶ月で、J.F.ケネディが国防長官に抜擢。

ホーチミンの北ベトナムが、フランスの指示する南ベトナムに勝利、ドミノ理論から共産化の波に対抗すべく、アメリカが介入。マクナマラはそれを受け継ぎ、介入を増強、短期間で勝利すると宣言した。国防省改革では、 IT化を急激に推し進め、コンピュータを多く導入した。

1965年、北爆を開始。アメリカ兵の死者数とベトナム兵の死者数を”Kill ratio”とし、1:10を目標とした。敵兵の死者数を"Body count"と称し、年間増加率を評価した。死体の数を数えるだけの職務も存在した。しかし、予想と数値の結果に反し、戦争は泥沼化。しかし、ベトナム人の反米感情は、女性や農民までの自発的参戦を誘発した。南ベトナム解放戦線は、地の利を利用した予想外のゲリラ戦法(ブービートラップ)が出現。それらは、赤のナポレオンと呼ばれた天才軍事家ボー・グエン・ザップに指揮された。空爆による無差別攻撃により"Body count"の上昇を目指すも、ベトナム人はますます執拗に抵抗した。米兵の心理は磨耗し、脱走兵の数は急増した。戦況は明らかに悪化していた。しかし、それでも"Body count"や"Kill ratio"は良好に推移しているのであった。


経営において起こりうるマクナマラの誤謬の例をシミュレーションしてみる:


例えば、B社は中古車販売業で急成長を遂げており、市場シェアの拡大と利益の最大化を目標に掲げ、短期的な売り上げと利益の中心を重視したとします。成長初期段階で、低価格で大量の中古車を仕入れ、高額で販売することにより、売上高と利益は急激な増加を達成し、財務諸表は大幅な成長を示し投資家からも評価されたとします。

しかし、このアプローチにより、以下のような多くの弊害を引き起こし最終的には破綻しました。

  • 車両品質の低下:低価格で大量の中古車を仕入れる過程で、品質チェックの行き届きに限界がきました。顧客からのクレームが殺到し、評判は低下。

  • 信頼の喪失:短期的な利益追求のために適切なアフターサービスがなされず、リピーターの減少と信頼失墜が起こりました。

  • 不正行為の誘発:売上げ目標を達成するために、一部従業員が不正を働きました。車両の瑕疵を隠蔽したら、故意に車を傷つけるという行為を行いました。

  • 従業員の不満:コスト削減と利益追求の圧力のため、労働条件が悪化し、従業員の満足度が低下しました。これにより、生産性が低下し、高い離職率を招きました。

  • イノベーションの欠如:短期的な利益に重点を置くあまり、長期的な研究開発や新商品の開発が疎かにされ、競争優位性を失い始めました


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?