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サイボウズで「子どもたちに民主主義を教えよう」読書会を開催しました

「サイボウズらしいワクワクする子どもの学び場を創ろう」プロジェクトメンバーの前田小百合です。

この記事では、サイボウズ内の有志メンバーで開催した「子どもたちに民主主義を教えよう」読書会での気づきなどをシェアしたいと思います。

■ 読書会開催のきっかけ

きっかけは、今回の読書会にも参加した田中那奈さんと私がざつだんをしていて、「子どもたちに民主主義を教えよう」本についての話題になったからです。
私は、買ったばかりで未読だったのですが、那奈さんは読了していて、「これは自分が大人になって苦労していたことだった」「これを子どものうちに学んでいると良いだろうなと思った」という感想を教えてくれました。
そこから私も読み進め、確かにこれは”子供に教えよう”とありますが、まずは大人が学びたいことかも、と感じました。
そこでいろんな人と気づきをシェアし合いたいと思い、サイボウズ内で希望者を集めてみることにしました。

集まったメンバーがこちら。

  • 自律型組織づくりを支援するコンサルタント なかむらアサミさん

  • 財務経理を担当 田中 那奈さん

  • PICスクール事業を担当  小椋 としえさん

  • 非営利チームを応援する 渡辺 清美さん

  • 「サイボウズらしいワクワクする学びの場を創ろう」プロジェクト専任の前田 小百合(私)

    バックグラウンドは異なりますが、教育に関心を持つ5人。多様な視点からの気づきが得られそうな予感です。

■ ABDをやってみました

ABDとは、Active Book Dialogの略で、1冊の本を分担して読み、それぞれが発表し合う形式です。

[ABDとは]
1冊の本を分担して読んでまとめる、発表・共有化する、気づきを深める対話をするというプロセスを通して、著者の伝えようとすることを深く理解でき、能動的な気づきや学びが得られます。
またグループでの読書と対話によって、一人一人の能動的な読書体験を掛け合わせることで学びはさらに深まり、新たな関係性が育まれてくる可能性も広がります。アクティブ・ブック・ダイアローグ®という、一人一人が内発的動機に基づいた読書を通して、より良いステップを踏んでいくことを切に願っております。

未来型読書法 アクティブ・ブック・ダイアローグ(ABD)公式サイト(https://www.abd-abd.com)
より引用

メンバーの中には、まだ手にしたばかりで読んでいないメンバーもいれば、だいぶ前に読んで以来のメンバー、会が始まる前に少し読み進めたというメンバーもいますが、分担するページとプレゼンリレー開始の時刻を共有し、まずは読み進めてみました。

■ 皆さんからの気づき

1回目はABD、2回目はフリーで話す、という形で実施。
それぞれが仕事をしている中で、本のテーマに関連する気づきについて、それぞれ共有がありました。

①もっと早くこれを知りたかった!

私もこれまでとても苦労してきた」「誰も教えてくれなかったな・・・

人と仕事を進めるにあたり、「なんで分かってくれないんだ!」「全然分かってないな💢」とぶつかった日々。。
この本を読んで、「最上位の目標を一緒に共有せずに、手段について戦っていたからいけなかったんだ」と気づいた、とのこと。

これはメンバー全員、思い当たる節あり、という感じでした。

「みんな違う」を前提にしながら、「じゃあどこを目指していくの?」を皆で考えて、そこに向かって歩む
言葉にすると簡単ですが、難しいんですよね。
でもこれを知っているのと知らないのは全く世界が違いますね。
そしてどこでも通用するセオリー。仕事でも家庭でも地域活動でも。

②上から指示されないと動きづらい大人

自由に休憩が取りにくいんです。。
これは、とある大企業に研修をした時に出た話とのこと。
有給休暇を取得しづらい、周りが気になって早く帰宅しづらい、と確かに聞いたことはありますが、それはすでに昔の話で、さすがに今の時代はそんなことないだろうと思ったのですが、休憩すら取りづらいというのは、衝撃でした。。
これは、今でも”企業あるある”なんでしょうか・・・。

サイボウズでは
「チームワークあふれる社会を作る」という最上位目標がありますが、全社員がこの言葉を共有して活動をしています。
最上位目標に向かって皆進みますが、メンバーそれぞれがどういうペース(働き方)で、どういう道筋を辿って向かうかは、マネージャーと相談しながら、チームや個人で決めます。
働き方(具体的には週に何日、合計何時間など)を決めて、それに沿ってスケジュールを自律的に調整しますが、外的要因などで想定していた働き方から大きく外れる場合は、マネージャーもケアはしますが、基本的には自分で声を上げて周囲と調整することが求められます。
ですので、日々をどう過ごすかは個人次第。休憩をいつ取るかももちろん、自分で決めます。

子どもの成長を振り返ると、就学前は自分の興味がある活動を通して、文字を認識したり安全なハサミの使い方を覚えたり、友だちとの衝突から社会性を身につけたりしていました。
おおまかなスケジュールはありますが、子どもたちが上手に切り替えられるように先生の工夫があったと感じています。

小学校に入ると、急に一斉授業が始まり、チャイムで時間を区切る生活。5分休みにトイレに行ったり水分補給をしたり。
休み時間で外遊びをした直後、落ち着いて文章を読む気持ちではなくても、先生の一声で強制的に一斉授業が始まります。授業は、皆と同じペースで、同じことに取り組むことを求められます。
図工の時間、やっと作りたいものが思い浮かんで制作を始めたのに、チャイムが鳴ったので切り上げないといけないから辛い、という話を子どもから聞いたり。

学校生活は、自分の思い・やりたいことは脇に置いて
決まったルール(決まりやスケジュール)で動くことを強制される生活、それを9年から12年送っていたら、自主性は削がれてしまうだろうと感じます。

③自分の思いや気持ちに蓋をしてきたよね

仕事で、「どういうお気持ちですか?」と気持ちを尋ねる場面で、「え?」(そんなこと言われても何て言えばいいの・・・)と言葉が出ない。
「感じたことなど自由に感想を書いてください」と投げかけても、当たり障りのない言葉しか返ってこない。
そんなケースがあると共有されました。

学齢期から、上からの指示に従順に従うことが良しとされ、
自分の思いや気持ちに蓋をしてきた私たち。
仕事の場には感情を持ち込むべきではない、感情的になるのは未熟者、感情には蓋をすべき、という暗黙の了解もありますね。

自分の思い、他の人の思い、各々の思いを大切にしながら対話し、合意形成をしていく力を持たずに大人になった私たちですが、
この本を通して、今からでもより良い社会を作る当事者として、学び続けて、力をつけていきたいと感じました。

本の中で苫野さんがこのように言っています。

教育をめぐる議論って、すぐに「○○すべき」「いや、◇◇すべきだ」と「べき論」が交わされてしまいますよね。でも、べき論をめぐる対立は、多くの場合どこにも行きつきません。そこで、そんな信念の奥底にある欲望、つまり「○○したい」「◇◇でありたい」に目を向けてみる。するとそこに、意外と相互理解が生まれる可能性が見えてくるんですね。私たちは、異なる信念は許しがたく思ってしまうんですけど、その底の欲望に対しては、「ああ、その気持ちならわかるなぁ」なんて思えたりするんですね。だったら、そのお互いの欲望を満たす、もっといいアイディアを見つけていこうと、建設的な対話ができるようにもなる。意識しているといないとでは、議論の質が大きく違ってくるのではないかと思います。

「子どもたちに民主主義を教えよう」p136より引用

「○○すべき」という信念の奥底にある欲望を互いに出すと相互理解が生まれる可能性がある、とのこと。とても実践的なアドバイス。
すぐに実践できそうです!心に留めたいと思いました。

■ 最後に

この本で改めて「社会を作っていくのは私たち」であること。
「過去に誰かが作った今のシステム・ルールが今の時代に合っているのか、今の時代に生きる私たちが幸せに暮らしていけるものなのか」を、
当事者として批判的に検討し、適宜アップデートしていくことが大切であるということ。

「社会」というと、壮大で手触り感がないように感じがちですが、
仕事を通した活動、家庭生活、生活する地域での活動、それら全てが社会活動であり、その1つ1つの在り方が大切なんだと思いました。
特に「勝ちながら変える」「戦わなくて良いところから変えていく」という工藤先生の言葉は、実践されてきたからこその言葉ですね。今日からでも実践できそうです。

私個人としては、これからを担う世代である、子どもたちとの関わりの中で、自分の在り方に自覚的でありたいと思います。
また大人との関わりにおいても実践し、その葛藤や挑戦を、子どもたちと積極的に共有し、一緒に学んでいきたいと決意を新たにしました。

読書会は、サイボウズ内だけではなく、このプロジェクトに関心のある方ともやってみたいなという妄想もあります。
もしご興味がある方はぜひお声がけください!
お問い合わせはこちらにどうぞ。po@cybozu.co.jp

電車の中や喫茶店などいろんな場所に持ち運びながら読みました。ドッグイヤーや付箋がたくさん!

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